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【監督Q&A】デンマーク映画「愛する人へ」@ SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014



7月19日(土)より11回目となるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014が開幕しました!

オープニング・セレモニーとオープニング作品「サンシャイン/歌声が響く街」(ジャパンプレミア)の上映が行われ、27日(日)までの9日間、埼玉県川口市のSKIPシティにて開催されています。

今年は新設されたアニメーション部門を加え、世界84の国と地域から応募された727作品の中からノミネートされた長編部門12作品、短編部門12作品、アニメーション部門14作品の3部門38作品のコンペティション上映が行われます。

映画祭最終日となる27日(日)に各賞が発表され、グランプリ受賞作品が上映されます。栄冠は誰の手に?!(※2014年の受賞結果はこちら!

今年は北欧からデンマークの注目作品が出品されているということで、「愛する人へ」をお目当てに、SKIPシティへ行ってまいりました!

スウェーデン出身のスター俳優、ミカエル・パーシュブラントが演じるのは、世界的な人気を誇るシンガーソングライターのトーマス。レコーディングのため故郷デンマークへと戻ってきます。そこに現れた娘のジュリーが、薬物依存のリハビリ施設に入らなければならないと、孫にあたるノアをトーマスに託します。娘にも孫にもどう接して良いかわからないトーマス。それでも、ギターに興味のあるノアと音楽を通じて少しずつ心を通わせていきます。そんな矢先、二人に訪れたのは・・・。

 

上映後のQ&Aに登壇したのは、ペアネレ・フェシャー・クリスチャンセン監督。「愛する人へ」は長編4作目。日本ではまだ知られていないですが、デビュー作から注目され、すでに世界的に知られる監督です。

トリアー監督のもとで、映画の編集業務に携わっていたクリスチャンセン監督。徐々に、自分で考えた物語で映画を作ってみたいと考えるようになり、特に「音楽」を取り入れた作品を作りたかったのだとか。

ミカエル・パーシュブラントってこんなに歌える俳優さんなんだ!と思っていたら、なんと、役の中で歌うのは初めてのこと!かなりの時間を費やして練習されたそうです。

「詩も曲も、すべて彼の声質に合わせて書き下ろしました」

劇中で披露される曲、これがどれも魅力的。音楽づくりについては、「トーマスの生い立ちから考えてみた」とのこと。たとえば、トーマスの父はスウェーデンの森の小さな教会のオルガン弾きで暴力的でアルコール中毒だったという設定。歌にトーマスに内面が表れるように作りこんだとか。

歌っているといえば、トリーネ・ディアホルムが演じる、トーマスの仕事のパートナーであり、よき理解者であるモリー。トーマスとのデュエットのシーンなど、聞いているこちらまで心地よくなってくるほどのかっこ良さ。

時間をかけて、じっくりと、ものすごくていねいに作品を作っているというのがひしひしと感じられます。

また、トーマスの娘が薬物依存という設定から、デンマークにおける薬物についての質問も。

監督は「スカンジナビア全体で、アルコール中毒・薬物中毒は大きな社会問題」と話し、どこかの誰か他人の話ではなく、実際に家族の中に1人はそういう問題を抱えている人がいるという現実があるようです。

人は、どのようにして「痛み」を避けるのか、どのようにして「痛み」から逃げるのか、そして、どのようにして「痛み」が人を形作るのか、ということを描きたかったのだとクリスチャンセン監督。

ストーリーもさることながら、孫のノア役のソーフス・レノヴはじめ、俳優陣の演技は本当に想像以上に素晴らしく、脇役のアジア人もなかなかのスパイスになっていました。

アジア人の起用は意図的な演出ですか?とお聞きしたところ、デンマークでは移民も多く、アジア人の俳優さんも多いようです。配役もいたってナチュラルな設定のよう。

今回、デンマークのことを知りたい、デンマーク国内の映画事情なども知りたいという声もあがりました。あらためてデンマークという国における「映画」の立ち位置がわかり、ものすごく勉強になったので、ここに監督のお話とともにご紹介します。

●世界的に有名な監督を続々と輩出!
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をはじめ、デンマークが生んだ世界的に有名な監督にラース・フォン・トリアー監督がいます。クリスチャンセン監督は、トリアー監督の会社で働いているのだとか。そのほかには、トマス・ヴィンターベア監督やスサンネ・ビア監督、ロネ・シェルフィグ監督なども。名前を並べるだけでもゴージャスな顔ぶれです。

●デンマーク人は映画好き!
デンマークは映画好きな国民性で、この「愛する人へ」も国内でかなりのチケットセールスがあったそうです。国内ではハリウッド映画や賞に輝いた監督作品が必ずしも売れているというわけではない様子。(デンマークでは「愛する人へ」は「スパイダーマン」より約5万枚多くチケットを売り上げたとか)

●国をあげて映画をサポート!
人口約600万人のデンマーク。映画を通じて、国をあげて自分たちの文化を守ろうとしているのだそうです。文化的なもの、自分たちの言語などを維持することを目的としているのだとか。

●デンマーク人による、デンマーク人の映画が見たい!
自分たち自身を理解するために、自分たちデンマーク人についての映画を見たいという傾向にあるそうです。

デンマーク人にとって「映画」は単なる娯楽ではなく、文化であるとともに、教育的な側面もありそうですね。

こういったことをていねいにお話してくださったクリスチャンセン監督。日本も・・・考えさせられます。

見どころ満載のデンマーク映画「愛する人へ」。映画祭での上映は終了してしまいましたが、日本で劇場公開となった暁には、ぜひ観ていただきたい作品です。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014は27日までまだまだ開催中!個人的に、韓国のハン・ドンウク監督の「恋に落ちた男」も気になる!国内の選りすぐり作品が集まった短編にもご注目ください。


 ⒸRolf Konow
愛する人へ(Someone You Love)
監督:ペアネレ・フェシャー・クリスチャンセン
出演:ミカエル・パーシュブラント、トリーネ・ディアホルム、ビアギッテ・ヨート・スレンセン、ソーフス・レノヴ、イヴ・ベスト
デンマーク/2014/100分
【映画祭公式HP紹介ページ】
http://www.skipcity-dcf.jp/films/films11.html
【トレーラー】
Someone You Love Official Trailer UK Subs
http://youtu.be/HUReZCUaxBQ
【北欧区記事】
【7/19-27】デンマークの実力派が演じる注目作登場!SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014 

 
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014
会期:2014年7月19 日(土)~27 日(日)
会場:SKIPシティ映像ホール/多目的ホールほか(埼玉県川口市)
大宮ソニックシティ国際会議室 (※7月19日のみ)
主催:埼玉県、川口市、SKIP シティ国際映画祭実行委員会、
特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会
公式サイト:http://www.skipcity-dcf.jp

※2014年の各賞が発表されました!>>こちら! 「愛する人へ」は受賞ならず残念!



(2014年07月29日更新)
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