HOME > What’s New > 2015年 > 2015年05月11日

【7/4公開】楽しいはずのバカンスが一変!スウェーデン映画「フレンチアルプスで起きたこと」



本日は、こちらのスウェーデン映画をご紹介!
「フレンチアルプスで起きたこと」

日本に本格的な夏がやってくる7月、涼しい映画館の中で映し出される雪山のシーンは格別?!
ある出来事をきっかけに続く緊張感と、かみ合わずギクシャクする空気に終始ハラハラ。北欧から世界の映画シーンへと躍り出た、スウェーデンの新星リューベン・オストルンド監督の話題作がいよいよこの夏公開となります!



「フレンチアルプスで起きたこと」は、2014年カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査員賞に輝き、アメリカ公開後も評論家や映画ファンの間で大絶賛。外国語映画賞最多15冠を獲得し、さらにはvariety誌の「2015年観るべき映画監督TOP10」に選出され、世界をあっと驚かせました。

日本では、昨年の東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で、「ツーリスト(原題:FORCE MAJEURE)」というタイトルで上映。長編4作目にして、北欧スウェーデンから一気に世界の映画シーンへと駆け上がったリューベン・オストルンド監督による話題作です。

スウェーデンで実際に起きた人種間のいじめ事件を取り上げ、2011年東京国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した「プレイ」をはじめ、人間の社会的行動やそこに潜む心理を追求した描写が特徴的。「フレンチアルプスで起きたこと」もまた、そんな監督の特徴がよく表れている作品で、鋭い観察力と、緊張感のある展開ながら、ちょこちょことウィットに富んだ会話を盛り込むという、緩急のバランスがすばらしい。次に何が起こるの??と、次の展開を期待してしまう、北欧ミステリーを彷彿させるスリリングな展開も見どころのひとつ。

本作は、オストルンド監督が長年興味を抱き続けてきた、ある質問がテーマになっているそうです。それは、「人間は自然の大災害のような突然起きた予期せぬ事態で、どのように行動するのか?」

  

撮影地となったフランスのレザルクは、1950年第に建設されたキッチン付きアパートメントスタイルのスキーリゾート地です。作品に登場するような中流家族が訪れ、普段忙しい父親が張り切って旅行を計画し、家族をもてなす、とっておきのバカンス。もちろん、「パパ、かっこいい」「パパ、ありがとう!」なんて言葉を期待できる、パパにとっては大切なバカンスとなるはず、でした。

しかしこの物語では、休暇で雪崩に遭遇し、良き父であり、良き夫であるトマスが、恐れをなして家族を置き去りにして逃げてしまいます。危機を脱した時、彼は己が恐怖心に飲み込まれてしまったことに気づき、そのことに恥ずかしさを覚え、これまでのスマートな自分と、今回の出来事で発覚した情けない自分との狭間で、葛藤に陥ることになります。

トマスがとっさに見せた“期待はずれの行動”。そのガッカリな行動が引き金となり、家庭生活が根底から揺らぎはじめます。5日間というバカンスの間に、トマスは家族の信頼を取り戻すことができるのか?再び“理想のパパ”の座に返り咲くことが出来るのか?

 

スウェーデンという国は、「男女平等」という観念が非常に強い印象。しかし、そんなスウェーデンでもやはりどこかに「男性」であることを男性は求められ、期待される役割があるのだなと感じました。周りからの目、家族からの目、何かレッテルを貼られ、縛られているような感覚。それが剥ぎ取られたとき、はじめはプライドが物をいい自分を守ろうとしますが、徐々にどうすれば良いか混乱に陥り、そんな自分が情けなくなり・・・。

男だって、女だって、パパやママ、夫や妻というものから解放され、大声をあげて叫びたい。そんな叫びをあげることができない現代社会に生きる人間を絶妙に、ユーモラスに描いています。雪山をよく知るオストルンド監督は、ふわっふわの新雪の斜面をダイナミックに降りてくるシーンを取り上げていますが、トマスをはじめ、私自身も、雪山が全てを浄化してくれているような感覚になりました。

実際、私も雪山に行くと、いつも横に寝そべり、雪にまみれ、ジタバタします(笑)足を取られ、転んだとき、素直に自分の弱さを認め、大の字になる。雪山でなくても、自然には人をリセットしてくれるチカラがあり、人はそれを必要としているのではないかと。

ちなみに、スウェーデンではフランスにスキー旅行へ出かけるというのは、そう特別なことではないようです。飛行時間は2~3時間、格安航空券なら2万円代で行けてしまうそうで、東京から京都や大阪に行くような感覚だとか。とはいうものの、4人家族がフレンチアルプスの高級リゾートで5日間というのは、それなりに「地位」「収入」のある一家だということがわかります。

また、緊張感や恐怖感をあおる演出として効果的なのが、劇中でリピートされるヴィヴァルディの『四季』の「夏」。次の展開への架け橋となっているだけでなく、トマスや家族たちの内なるカオスを描写しているとか。このあたりにも注目してみてはいかがでしょうか!

「フレンチアルプスで起きたこと」は、7月上旬、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開!

【ストーリー】
フレンチアルプスに5日間のスキーバカンスにやってきたスウェーデン人一家、スマートなビジネスマンのトマスと美しい妻エバ、愛らしい娘のヴェラと息子のハリー。普段仕事に忙しいトマスは、たまに取った休暇で高級リゾートを奮発し、ここぞとばかり家族サービスに精を出す。バカンス2日目。絶景のテラスレストランで昼食をとっている最中に爆発音が鳴り響き、目の前で雪崩が発生する。それはスキー場の安全確保のため、人工的に起こした雪崩だったが、予想外に勢いを増し、テラスの客をめがけて向かってきた。辺りは大混乱に陥るが、幸い大事には至らなかった。しかし雪崩の瞬間、トマスが見せた“期待はずれの行動”により、家族間の空気がぎくしゃくし始める。バラバラになった家族の心は、再びひとつに戻る事ができるのか・・・?

【監督】リューベン・オストルンド(Ruben Östlund)
1974年、スウェーデンの西海岸沖にある小さな島スティルソ(Styrso)で生まれる。グラフィック・デザインを学びヨーテボリ大学に入学、そこで彼の作品のプロデューサーとなるエリック・ヘメンドルフと出会い、後に制作会社プラットフォーム・プロダクションを設立。スキーの名手でもあるオストルンドは、90年代後半に3本のスキー・フィルムを撮っており、いずれの作品もオストルンドの重要なトレードマークとなる長いシークエンス・ショットが独自の世界観として魅力を発揮している。長編3作目にあたる「プレイ」(2011)はカンヌ国際映画祭の監督週間でプレミア上映され、クープ・ド・クール賞を受賞。欧州議会が選出する2011年度LUX賞にノミネートされ、北欧映画のNo.1を決定するノルディック映画賞を受賞。「フレンチアルプスで起きたこと」は長編第4作目にあたる。

 
フレンチアルプスで起きたこと
監督・脚本:リューベン・オストルンド
出演:ヨハネス・バー・クンケ、リサ・ロブン・コングスリ、クララ・ヴェッテルグレン、ヴィンセント・ヴェッテルグレン、クリストファー・ヒヴュー、ファンニ・メテーリウス
2014/スウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェー/スウェーデン語、英語/カラー/1:2.35/デジタル/5.1ch/118分
※第27回東京国際映画祭ワールドフォーカス部門上映時タイトル「ツーリスト」
※原題「TURIST」 ※インターナショナルタイトル「FORCE MAJEURE」
日本語字幕:寺尾次郎
後援:スウェーデン大使館/提供:マジックアワー、フィルムメイカーズ
配給・宣伝:マジックアワー 
(C)Fredrik Wenzel
公式HP:http://www.magichour.co.jp/turist/
7月4日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!



(2015年08月05日更新)
このページの先頭へ