EMMi Administrator /Raija Lehtonen
2014年はムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン生誕100周年ということで、日本でも、ムーミン原画展、世界キルト展、トーベ・ヤンソン展など、関連イベントには数多くの来場者が訪れ、さらには、フィンランド国外初となるムーミン切手も発行されるなど、日本でのムーミン人気はここ数年で、さらなる盛り上がりを見せています。
ヘルシンキまで直行便で行けるという好アクセスから、日本からフィンランドを訪れる人も増え続けています。今年5月8日からは、成田・名古屋・大阪に加え、福岡便もスタートする予定。ますますフィンランドへ行く人が増えると予想されます。
ショッピングや料理、街並み散策も楽しみだけど、皆さんは具体的にヘルシンキでどんなところに行きたいですか?
先日、ヘルシンキ市副市長であるリトゥヴァ・ヴィルヤネンさん(左)、ヘルシンキ市立美術館HAM館長のマイヤ・タンニネン=マッティラさん(中央)、そして、ヘルシンキ・フェスティバルディレクターのトピ・レヘティプーさん(右)が来日。ヘルシンキの魅力や、訪れておくべきオススメのスポットなどを教えていただきました!
驚きで満ちあふれているヘルシンキへようこそ!
近いところでのおすすめは、「ヘルシンキデイ」
(リトゥヴァ・ヴィルヤネン ヘルシンキ市副市長)
国土は日本とほぼ同じだというフィンランドですが、フィンランド人の人口は世界で500万人強。首都ヘルシンキは世界で2番目に安全な都市(※1)であり、EUの首都の中では3番目に安全な街。ある外国人ジャーナリストが“ウォレットテスト”という、財布を使った実験を実施。街の中で12人に財布を落としてもらったところ、11人の財布が持ち主のもとに戻ってきたとか。
(※1)同じ2位に、スイスのチューリッヒとベルンがランクイン。1位はルクセンブルク。
http://www.goodnewsfinland.com/helsinki-2nd-safest-city-in-the-world/急成長を遂げている国の一つであるため、「スマートな都市をどうやって作っていくか?エコ都市はどうやって作っていくのか?」という目標を掲げ、それなら市民に委ねようと、誰でも一日だけレストランを開くことができる「レストランデイ」や不要なものを交換したり、フリマを開いたりすることのできる「クリーニングデイ」といった、市民参加型のイベントが積極的に開催されています。
また、美術館をはじめとする文化的施設も数多く、1キロメートル圏内に5つの美術館があるというのも魅力的。なんでも、ヘルシンキ市は、建築費の1%は文化的なものに使うという決まりがあるそう。
リトゥヴァ副市長のおすすめイベントは、「ヘルシンキデイ」。ヘルシンキ市の誕生日である6月12日に開催されるイベントで、コンサートやダンス、映画、スポーツ、ワークショップなど、一日中家族でたっぷりと楽しめます。
フレスコ画を描くトーベ
Helsinki City Hall, restaurant Kaupunginkellari. Tove Jansson and Niilo Suihko painting the fresco Party in the Countryside. © Helsinki City Museum / Foto Roos
HAMはお肉ではなく美術館(笑)
美術館が好きなら、ヘルシンキへ!
(マイヤ・タンニネン=マッティラさん ヘルシンキ市立美術館HAM館長)
ヘルシンキ市立美術館HAMでは、今年の1月29日より、トーベ・ヤンソンの常設展がスタート。ヤンソンの大作であるフレスコ画2点をはじめ、絵画、写真、スケッチを鑑賞することができます。実は、ヘルシンキにある美術館では初めてのことだとか。
Tove Jansson: Party in the City, 1947
© Tove Jansson Estate. Photo: HAM / Hanna Kukorelli
Tove Jansson: Party in the Countryside, 1947
© Tove Jansson Estate. Photo: HAM / Hanna Kukorelli
中でも、それぞれ5メートル幅ほどあるフレスコ画「都会のパーティ」(上)と「田舎のパーティ」(下)は、日本各地を巡回したトーベ・ヤンソン展で披露できなかった(大きすぎて運べなかった)ため、「ぜひヘルシンキで見てくださいね!」とマイヤ館長。トーベ本人が描かれているフレスコ画ですが、「ムーミンもいますよ。ヘルシンキで見つけてね」と、ムーミンの居場所はヒミツ。皆さん、わかりますか?
HAM © HAM / Maija Toivanen
ヘルシンキ市立美術館HAMは、昨年9月に完全改修を終え、テニスパレスがあった場所に再オープン。1937年、屋内テニス場を目的として建設されたテニスパレスは、当時の機能主義を代表する建物でした。
今年10月7日から来年の1月にかけて、草間彌生さんの展覧会がHAMで開催される予定。ヘルシンキの人々は、日本のアートも大好きだそうです。
朝から晩まで、街全体がお祭りムードに大変身!
8月から9月上旬に開催「ヘルシンキ・フェスティバル」
(トピ・レヘティプーさん ヘルシンキ・フェスティバルディレクター)
ヘルシンキは文化的なイベント、アトラクションがいっぱい。中でも、昨年30万人の来場者数を記録した、北欧で最も規模の大きいマルチアートの祭典「ヘルシンキ・フェスティバル」は必見。元々は、50年前に始まった作曲家のジャン・シベリウスのお祭りで、クラシック音楽祭として発足しました。今年は8月19日から9月4日に開催されます。
幅広いジャンルの音楽、パフォーマンス、ビジュアルアーツ、サーカスなど、さまざまな「芸術」にスポットを当てたお祭りで、街自体がいつものヘルシンキとはがらりと雰囲気が変わるそう。
今年のプログラムの目玉をいつくか紹介してくれたトピさん。興味深かったのが、クラシック音楽プログラムで公演する「ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団&グスターボ・ドゥダメル」。楽団員はスラム出身。数十万人の子供や若者を救ってきたベネズエラの無料クラシック音楽教育プログラム「エル・システマ」が育んだ楽団です。世界が注目するスター指揮者による音楽を聴けるチャンス。
こちらの公演は9月2日、ヘルシンキ・ミュージック・センターで行われる予定。大ホールの音響設計を手がけたのが、日本人音響設計家の豊田泰久さん。
また、夜7時から朝7時まで12時間にわたって行われる異色イベント「哲学の夜」なども非常にユニーク。9月2日、フィンランド国内外の哲学者らが集まり、現代美術館キアズマにて開催されます。徹夜で哲学トークを聞く会!?「どうしても眠たくなったら一度寝に帰って、また来ることもできるよ」とトピさん。無料で出入り自由な、オールナイトイベントです。
より深く、ヘルシンキの内面に突っ込んだ街の楽しみ方を教えてくれた3人。ヘルシンキの人々がこよなく愛する街で、同じ時間、風景、空気を、いっしょに感じてみてはいかがでしょう。
「私たちの街は、みなさんの街でもあります。ようこそヘルシンキへ!」
▼関連リンク
ヘルシンキデイ(ヘルシンキの誕生日である6月12日に開催)
http://www.helsinkipaiva.fi/enレストランデイ(日本でも開催。次回は5/21)
http://www.restaurantday.org/ja/クリーニングデイ(日本でも開催。次回は5/28)
http://cleaningday.jp/ヘルシンキ市立美術館(HAM)
https://www.hamhelsinki.fi/ヘルシンキ・フェスティバル(今年は8月19日~9月4日開催)
http://www.helsinginjuhlaviikot.fi/ヘルシンキ・ミュージック・センター
https://www.musiikkitalo.fi/フィンランド政府観光局
http://www.visitfinland.com/ヘルシンキ市観光局
http://www.visithelsinki.fi/