HOME > What’s New > 2017年 > 2017年05月01日

【映画】少年たちの心の叫びがアイスランドの漁村に静かに響く 映画『ハートストーン』(7/15公開)




近年、国際映画祭で非常に高い評価を得ているアイスランド映画。これまで北欧区でも、『馬々と人間たち』(14)、『ひつじ村の兄弟』(15)、『好きにならずにいられない』(16)などをご紹介してきましたが、いずれも個性的で印象深い作品ばかり!ここ最近、毎年日本でもアイスランド映画が公開されていますが、今年も嬉しいニュースです!7月に、注目の映画『ハートストーン』が日本にやってきます。

アイスランドの漁村を舞台に、脆く傷つきやすく儚く切ない思春期に差しかかった少年たちの心の揺らぎや叫びを、深く、ていねいに描いた作品。世界中の映画祭で絶賛されているというアイスランドの若き俊英、グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督が、自身の少年時代の体験をもとに作った初の長編作品です。

少年から大人への階段は、とまどいの連続。登る道は一つではなく、性への目覚めも個人差があり、それが異性ではなく同性である場合も。それに気づいた瞬間の心のうちを深く掘り下げ、誰にも言えず、どうしたら良いかわからない行き場のない苦しみが繊細に描かれており、胸がしめつけられました。

『ハートストーン』のストーリーは、監督自身が幼い頃に過ごした漁村での経験がもとになっているとか。「少年時代の経験というのは人生にとても明確に、美しく、そして厳しい形で影響を与える」と監督。友情、自分を受け入れること、家族の大切さなど、特に若い人たちに大切なメッセージを届けることができたらという監督の思いが込められています。



子供から大人へ急に変化をとげるわけではなく、ゆっくりと変化していく中で、思い悩み、その悩む時間も妙に長く感じられるもの。体は変化していくのに心はまだ大人じゃない、大人からは「もう子供じゃないんだから」と言われたかと思うと「まだ子供なんだから」とか言われたり。また、周りの人の目が気になって人と比べたり、それにイライラして自分に嫌気がさすことも。そんな毎日やってくる色んな感情に揺さぶられまくりの思春期時代に、同性を好きになった、同性から告白されたという方もいらっしゃるかもしれません。

もし自分なら、いったいどんな言葉をかけてほしいだろうか…
もし自分なら、どんな言葉をかけてあげられるのだろうか…
問いかけられ、考えさせられる映画です。

また見どころとしては、監督が少年時代に体験したかもしれない、大人のお手伝い(馬やひつじは欠かせない!)がアイスランドっぽいですし、思春期ならではの男子の(こちらがちょっと照れてしまうような)可愛いわちゃわちゃ感や、すぐ大人にバレて叱られちゃうんだけど行動してしまう若さや企みや冒険心が出ているシーンなども、なんとも清々しくて、キュンとなります。こちらもお見逃しなく!

厳しい環境のもと、あたたかく強い絆で結ばれた親友の2人の少年の澄んだ瞳から目が離せない!
アイスランドからやってくる心に響く映画『ハートストーン』は、7月中旬、YEBISU GARDEN CINEMA ほかロードショー!



【ストーリー】
アイスランドの美しく雄大な自然が広がる小さな漁村で育った幼なじみで大親友のソールとクリスティアン。大人びた美少女ベータが気になりはじめるソール。クリスティアンもベータの女友だちハンスからの好意を受けとめ、4人は行動を共にするようになる。しかし、心を通わせ合うソールとベータに、クリスティアンは複雑な表情を浮かべていた。ある日の出来事がきかっけとなり、ソールとクリスティアンの間に歪みが生まれてしまう。そこで思いつめたクリスティアンは―――。

【グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督プロフィール】
1982年アイスランド生まれ。アイスランド芸術アカデミーを卒業後、デンマークで脚本を学ぶ。製作した短編は200以上の映画祭で上映され、50を超える国際賞を受賞。2013年の『クジラの谷(原題:Whale Valley)』はカンヌ国際映画祭短編部門で特別表彰。自身初の長編作『ハートストーン』は、カンヌ国際映画祭設立のシネフォンダシオン・レジデンス参加中に執筆したもの。


ハートストーン
監督・脚本:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
2016/アイスランド,デンマーク/HD/アイスランド語/カラー/ 129分/シネマスコープ/5.1ch
原題:Hjartasteinn/英題:Heartstone
配給・宣伝:マジックアワー
www.magichour.co.jp/heartstone/

7月15日(土)YEBISU GARDEN CINEMA ほかロードショー!



(2017年06月09日更新)
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