HOME > What’s New > 2017年 > 2017年06月26日

【映画】強大な圧力を前に、兄弟は夢で戦った デンマーク映画『きっと、いい日が待っている』(8/5公開)




1967年当時、デンマーク・コペンハーゲンにあるゴズハウン少年養育施設を中心に、子供に対する強制暴力・薬物投与問題が21世紀になって発覚。報告書が公表されました。映画『きっと、いい日が待っている』は、60年代に実際に起きたそれらの事件をもとに描かれた物語です。

主人公は幼い二人の兄弟、13歳のエリックと10歳のエルマー。やんちゃ盛りのエリックと、宇宙飛行士になることを夢見るエルマーは、ある日、児童養護施設に預けられたことをきっかけに、それまでの平穏な人生が一瞬で奪われてしまいます。独裁的で閉ざされた施設の中は自由なんていっさいなし。初めて経験する恐怖や絶望。そんな状況下で、幼い兄弟たちは自分たちの力で未来を切り拓いていこうとします。

デンマークのアカデミー賞と言われる「ロバート・アワード2017」で、作品賞、オリジナル脚本賞、助演男優賞、助演女優賞 、美術賞、衣裳賞と、最多6部門を受賞。 監督は、映画監督ラース・フォン・トリアーが所属する映画製作会社「ツェントローパ」の新鋭、イェスパ・W・ネルスン。スタッフやキャストは、デンマーク史上最高視聴率を獲得した人気テレビドラマ「THE  KILLING/キリング」の実力派が集結。



「THE  KILLING/キリング」の原案、製作総指揮を務めたことで知られるソーレン・スヴァイストゥルップや主演を務めたソフィー・グローベル、マッツ・ミケルセンの兄であり、幅の広い演技で物語に厚みを出すラース・ミケルセンらが出演。また、主演を務めたエリック役のアルバト・ルズベク・リンハートと、エルマー役のハーラル・カイサー・ヘアマンはその演技に賞賛を浴びるデンマークの新鋭。共に映画初出演というから驚きです。



デンマーク映画はたとえ残酷なテーマでも、「目をそらさず見つめてほしい」と訴える(ちょっと心が元気でないとハードな)作品が多い印象なのですが、こちらは最後、子供たちがどんな切り口で突破してくれるんだろうと、はじめからすごくドキドキしながら子供たちの言動に注目してみました。

60年代に実際にあったデンマークでの話ですが、そんなに昔の話ではないですよね。日本でもいまだ教育機関で虐待や体罰のニュースを聞いたりしますし、全く古い話でも、そして他の遠い国の話でもなく、世界共通して“わが国でも起こっていること”と感じる内容だったのではないかと。



キャストも一人ひとり、キャラクターが立っていました。ソフィー・グローベルが演じたハマーショイ先生からは母性と戸惑いのような感情が伝わってきましたし、ラース・ミケルセン演じるヘック校長は、怖くもかっこよく。。いや、ものすごく怖いんですけど、彼の醸し出すあの品格がかっこよさと怖さを倍増させていたといいますか。作品に厚みどころか、ものすごい圧を感じました。このあたりも必見です。

1960年代なので、なにげに車が可愛いのも気になります。どこも同じような砂色の世界に、時折登場するポップな可愛いカラーの車は「自由の象徴」に見えたかもしれません。アクセントになっていました。

現在、「幸せの国」といわれるデンマークで、60年代に実際にあった話。『きっと、いい日が待っている』は、2017年8月5日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。



【ストーリー】
1967年、コペンハーゲン。13歳のエリックと10歳のエルマーは母親と3人で、貧しいながらも、つつましく幸せに暮らしていた。ある日、病気が悪化した母親が入院することになってしまう。幼い兄弟だけでは生活していけないと役人に判断され、エリックたちは男子児童向けの養護施設に預けられることになる。夢も希望も持てない独裁的で閉鎖された施設の中で彼らがとった行動とは――。


きっと、いい日が待っている
監督:イェスパ・W・ネルスン
出演:ラース・ミケルセン、ソフィー・グローベル、ハーラル・カイサー・ヘアマン、アルバト・ルズベク・リンハート他
2016年/デンマーク/デンマーク語 /原題:Der kommer en dag(英題:The day will come)
配給:彩プロ
©2016 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa International Sweden AB.

2017年8月5日(土)より YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開



(2017年06月26日更新)
このページの先頭へ