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【展覧会レポート】陶芸の歩みからフィンランドを知る「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」開催中(目黒区美術館 9/6迄)




2019年の日本・フィンランド外交関係樹立100周年を記念して、今春から全国5カ所で巡回中の「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」。7月14日より、東京・目黒区美術館での展示がスタートしました。前日の13日のオープニングセレモニー&内覧会に出席。会場の見どころをお届けします。

フィンランドというと、これまではテキスタイルをはじめとした、“デザイン”の視点での作品が数多く紹介されることがありました。今回は陶芸という切り口で、より“アート”の視点で、1900年から1950・60年代までのフィンランド史に触れることができる貴重な機会になっています。


秋山光文 目黒区美術館館長


セレモニーに参列した駐日フィンランド大使館の報道・文化担当参事官、マルクス・コッコさん夫妻もまた、展示を見て、幼いころに見たことのある器、フィンランドの街並みや風景を感じたそうです。

会場は、年代を追いながら5つのアプローチで紹介。「第1章 フィンランド陶芸の萌芽 ナショナルロマンティシズム」では、1900年のパリ万国博覧会でフィンランドの成熟した文化を国内外に示すことに成功し、独立の気運の高まりとともに手工業分野が活性化。教育にも力を入れ、作家を育てていくこと重視していった時代が紹介されています。



「第2章 近隣諸国の影響を受けて アール・デコ」では、ロシアからの独立を果たし、陶磁器のデザイン性を高めようと、アラビア製陶所をはじめ、海外からも積極的に作家を招聘。1932年に美術部門を開設し、そのユートピアともいえる自由な創作の場こそが、フィンランド陶芸の特質を決定づけた時代。当時才能を発揮した作家の作品が並びます。

ここから、フィンランド陶芸が大躍進。「第3章 フィンランド陶芸の確立 オーガニック・モダニズム」では、美術部門に在籍する作家を中心にフィンランド陶芸が注目され、国際的スターも排出。中でも、トイニ・ムオナなどは陶磁器だけでなく、他の分野にも影響を与えた作家でした。


トイニ・ムオナのニョロニョロのような白い筒花瓶は、干し草をイメージしたのだとか。


そして、「第4章 フィンランド陶芸の展開 ビクトリアリズム」では、陶芸の概念を塗り替える代表格、日本でも人気のビルゲル・カイピアイネンやルート・ブリュックが登場。装飾性の高い絵画的な美しい陶板作品から、当時の暮らしの様子が垣間見えます。


カイピアイネンの陶板作品

ブリュックの作品はこちらの「聖体祭」のみ撮影可だったのですが、他にも素晴らしい陶板が多数紹介されています。カイピアイネンの作品数も多くて興奮してしまいました。


「第5章 プロダクト・デザイン フィンランドと日本」では、新しい時代のデザインとして、テーブルウェア「ティーマ」シリーズの前身といわれる、カイ・フランクの「キルタ」をはじめ、戦後のフィンランドを象徴するプロダクト・デザインが紹介されています。



<フォトスポットは2カ所>
1階エントラスを入ってすぐにある、ルート・ブリュックによる陶板「聖体祭」の巨大写真パネルと、2階「第5章」展示室の奥、薄緑色の壁がフォトスポットになっています。この2カ所のみ写真撮影が可能!フィンランドを代表する家具ブランド「アルテック」のドムスチェアとともに、マリメッコのファブリックパネルが飾られています。

目黒区美術館での「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア」は、9月6日まで。 



日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア

会期:2018年7月14日(土)~9月6日(木)
会場:目黒区美術館
東京都目黒区目黒2-4-36
http://www.mmat.jp/
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日:月曜日 ただし7月16日(月・祝)は開館し、翌7月17日(火)は休館
入館料:一般800(600)円、高大生・65歳以上600(500)円、小中生無料
※障がいのある方は半額・その付添者1名は無料、( )内は20名以上の団体料金
※目黒区在住、在勤、在学の方は受付で証明書類をご提示いただくと団体料金になります
(他の割引と併用はできません)

<巡回会場(予定)>
2018年11月17日~2019年2月24日 岐阜県現代陶芸美術館(岐阜)
2019年4月20日~6月30日 山口県立萩美術館・浦上記念館(山口)
2019年7月13日~10月14日 大阪市立東洋陶磁美術館(大阪)

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※会場写真はすべて許可を得て撮影しています。






(2018年10月03日更新)
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