7月28日より、東京富士美術館にて、展覧会「長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~」が開催されています。オープン前日に行われた記者発表会と展覧会会場の模様、見どころをお届けします!
記者発表会では、アストリッド・リンドグレーン社のシニアアドバイザーで、アストリッド・リンドグレーンの孫娘であるマリン・ビリングさんが挨拶。「週末になると私たちと一緒に遊び、本を読んでくれたり、劇場や映画館へ連れていってくれたり、旅をして楽しい冒険へと誘ってくれました」と、祖母アストリッドとの貴重なエピソードを披露。
出版社を退職した後、大人が決めたルールに縛られない、自由で大きな心を持った女の子について書いたのが、『長くつ下のピッピ』でした。彼女は自分の中に残っている“子供の自分”を大切にし、当時の正しいとされる概念に縛られずに本を書いたといいます。また、オピニオンリーダーとして、さまざまな権利を守るために戦い、意見を述べるときは常にあたたかさとユーモアを持って語っていたそうです。
また、特別ゲストとして、母親がスウェーデン人で自身もスウェーデン生まれのタレント、結城アンナさんが登場。幼いころからリンドグレーン作品に囲まれて育ち、お子さんにも読み聞かせをしていたそうです。アンナさんのお気に入りは『やかまし村の子供たち』。展示を見て、「期待していた以上に凄い内容」と興奮気味に伝えてくれました。
左から結城アンナさん、マリン・ビリングさん、東京富士美術館館長の五木田聡さん
<展覧会の見どころ>
1章 長くつ下のピッピ
全世界100カ国語以上で翻訳され、出版部数が総計1億6000万部以上にのぼるリンドグレーンの代表作の一つ、『長くつ下のピッピ』を紹介。注目は、リンドグレーン自らタイプして愛娘の10歳の誕生日に贈ったピッピの原稿。その表紙のイラストは、なんと切り絵なのだとか。貴重なオリジナル原稿はもちろん日本初公開。また、リンドグレーン作品の世界を彩るイングリッド・ヴァン・ニイマンの挿絵原画も必見。市松模様や千鳥模様、浮世絵の技法を使うなど、日本からの影響も見られます。
2章 アストリッド・リンドグレーン
ここではリンドグレーンの素顔や人物像に迫ります。スウェーデン・スモーランド地方の自然豊かな農場で家族と過ごした幸せな幼少時代は、彼女が生み出す物語に強く影響を与えています。ドキュメンタリー映像や、1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で行ったスピーチ「暴力は絶対だめ!」の映像、愛用品の数々、切手や紙幣、ゆかりの地の紹介パネル展示などで彼女の生涯を知ることができます。ちなみに、速記が得意だったというリンドグレーン。頭の中に浮かんだ物語を速記で紙に書き、後でタイプライターを使って仕上げていたとか。
3章 アストリッド・リンドグレーンの生んだ小さなヒーロー&ヒロインたち
また、こちらでは、リンドグレーンの様々な児童文学の世界が原画で紹介されています。リンドグレーンの父親が育った村を舞台に、自身の子供時代の思い出を描いた『やかまし村の子どもたち』、ノスタルジックながらも現代的な親子のあり方を描いた『ちいさいロッタちゃん』。さらに、『ペーテルとペトラ』『親指こぞうニルス・カールソン』『ミオよわたしのミオ』『やねの上のカールソン』『赤い鳥の国へ』『おもしろ荘の子どもたち』『エミールはいたずらっ子』『はるかな国の兄弟』『よろこびの木』など、スウェーデンの文化や魅力を伝える作品がたっぷりと紹介されています。ロッタちゃんの秘密のお部屋の再現も!
リンドグレーン作品へのトリビュート展示
スウェーデンの陶芸作家リサ・ラーソンとアストリッド・リンドグレーンのコラボレーションとなるピッピ人形の初期モデル、エミールやイーダ、ピッピ人形の最新モデル、本展のために特別に制作されたピッピ人形が並び、宮崎吾朗監督によるアニメーション作品『山賊の娘ローニャ』のイメージボード等の資料の展示や、リンドグレーン作品にインスパイアされたアーティストの作品が紹介されています。
常識にとらわれず、権力に屈せず、自分が信じたものを貫く。強い意志とユーモアで子供たちに愛を注ぎ続けたアストリッド・リンドグレーン。彼女が生んだ作品がなぜこれほどまでに世界中で愛されているのか、その理由を知ることができる内容です。
展覧会のお楽しみとして、展覧会公式グッズも勢ぞろい。リサ・ラーソンが本展のために制作した《ウマを持ち上げるピッピ》も会場にて販売されています。また、新宿伊勢丹の洋菓子「Fika」とのコラボから生まれた、キュートなパッケージの「Fika×ピッピ オリジナルクッキー」もお見逃しなく。
東京富士美術館での「長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~」は、9月24日まで。その他、全国巡回予定です。
日本・スウェーデン外交関係樹立150周年記念
長くつ下のピッピの世界展
~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~(東京富士美術館)
会期:2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)
会場:東京富士美術館 本館・企画展示室1~4(東京都八王子市谷野町492-1)
時間:10:00~17:00 ※16:30 受付終了
休館日:月曜日 ※9/17(月)は開館、9/18(火)は休館
入館料:大人 1300(1000)円、大高生 800(700)円、中小生 400(300)円、未就学児無料
※新館常設展示室もご覧になれます
※土曜日は中小生無料
※( )内は各種割引料金[20名以上の団体・65歳以上の方・当館メルマガ登録者ほか]
※障がい児者、付添者1名は半額[証明書をご提示下さい]
※誕生日当日にご来館された方はご本人のみ無料[証明書をご提示下さい。休館日の場合は適用できません]
公式HP:http://www.pippi-ten.com
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Instagram:http://instagram.com/pippiten
<巡回会場(予定)>
2018年12月15日(土)~2019年1月27日(日)みやざきアートセンター(宮崎)
2019年2月8日(金)~2019年3月4日(月)美術館「えき」KYOTO(京都)
2019年4月27日(土)~2019年6月16日(日)松坂屋美術館(名古屋)
2019年7月6日(土)~2019年8月25日(日)(予定)福岡市博物館(福岡)(予定)
2019年9月14日(土)~2019年11月10日(日)愛媛県美術館(愛媛) ほか、全国巡回予定
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「長くつ下のピッピの世界展」東京富士美術館を皮切りに全国を巡回!(7/28-9/24)
<会場フォトギャラリー>
会場入り口。
リンドグレーンがタイプし、娘の10歳の誕生日に贈った『長くつ下のピッピ』原稿。これは言うまでもなく必見です。
絵本の世界をリアルに再現した〈ごたごた荘〉の大型模型はフォトスポットになっています。
リンドグレーン作「エミール」シリーズのほか、ノルウェーのプリョイセン作「スプーンおばさん」シリーズなどの挿絵を手がけたのは、スウェーデンのビョルン・ベルイ。
スウェーデンの陶芸作家リサ・ラーソンとのコラボレーションによるピッピ人形たち。
展覧会のお楽しみ!公式グッズも勢ぞろい。「ゴタゴタ荘のチョコクランチ」やオリジナル缶に入った「アイシングビスケット」など、お土産にぴったりなアイテムがずらり。