北欧のライフスタイルが近年注目を浴びていますが、今年に入ってからフィンランドの人々の暮らしに欠かせない「サウナ」に着目した催しが多く見られます。
今年5月、東京・昭島市のアウトドアブランドが揃うモリパークアウトドアヴィレッジ内にオープンしたサウナ専門店「サウナソッピ」をはじめ、銭湯文化のある日本に、もっとサウナを広めたいという動きやイベントが急増中。来年の日本・フィンランド外交関係樹立100周年に向けて、サウナ通じた両国の交流がより盛んになる予感!
先日、お声がけいただいて参加してきたのは、日本フィンランドデザイン協会主催のイベント。テーマは、「TAUKO=タウコ=ひといき」。フィンランドに生きる人々にとって、サウナとはどんな存在なのでしょうか。
イベントでは、来日したデザイナーやクリエイターたちから、サウナとの付き合い方、サウナは仕事や生活にどんな影響があるのかといった話を聞きました。意外とこういった話を聞く機会がなかったので、大変興味深いものでした。
ドシー五反田にある、熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させるロウリュ。この日かける水の香りはミント。まだ誰も入っていないサウナ。およそ100℃くらい。
会場となったのは、先月、フグレン浅草が1・2階に入り、話題となったデザインカプセルホテル「ナインアワーズ」が運営するサウナ併設のカプセルホテル「ドシー五反田」(五反田店は普段は男性のみ利用可。恵比寿店は男女共に利用可)。
本場フィンランドでサウナを体験したナインアワーズ代表の油井啓祐さんは、シンプルにシャワーとベッドのみを提供するカプセルホテルを運営するナインアワーズにとって、温浴施設を作ることにはじめは躊躇したそうですが、自身のフィンランドでの体験をもとに良いと思ったサウナを作ってみようと、サウナ併設のカプセルホテル「ドシー」をオープン。
内装デザインを担当した建築家の長坂常さんは、ロウリュと、フィンランドの湖の代わりに水風呂に入っているような感覚を味わえるウォーターピラー(体を這うように水が流れるシャワー)が利用できるサウナを作りました。フィンランドのサウナと日本のカプセルホテルが新しい形で溶けあう場所でのイベントとなりました。
好きなタイミング、自分のペースで
リラックスして、自分をリセットする
イベントの冒頭で、日本フィンランドデザイン協会フィンランドの理事長、エリナ・アールト(Elina Aalto)さんと、駐日フィンランド大使館を代表して、コッコ兄さんこと、マルクス・コッコさんが挨拶。日本とフィンランドのサウナ文化の違いに気づいたコッコさん。よく、「どのくらいサウナにいるべきなのか?」という質問をもらうのだとか。これに対して、「出たいと思ったら出る。リラックスできたときなど、自分の好きなタイミングでいいと思う」とコッコさん。あくまでも自分のペースで入るのが一番。
また、グラフィックデザイナーでマガジン「IMAGE」のアートディレクターを務めるアンッティ・グルンステン(Antti Grundstén)さんにとって、サウナは「清らかな場所」だそう。家にサウナがないので、毎週日曜にヘルシンキの公共サウナに出かけるのだとか。いつも繰り返すルーティーンがあり、シャワーを浴びて、サウナに入って、外で涼んで、サウナに入って、泳いで、サウナに入って、泳いで、ピクルスとトゥルニというベリーのジュースを飲んで、またサウナに入ってシャワーを浴びて終了、というのが一連の流れで、だいたい2時間ほどかけてサウナを楽しむそうです。
「きれいになった、すっきりしたという感じ。とても深い眠りにつくことができます。(サウナに行くことは)教会に行くような感覚かもしれません。頭の中を空っぽにして、落ち着いた気持ちになり、エネルギーが充電された感じになる」とのこと。また、水が近いこと、ミニマムな空間であること、空気の循環がいいことが、良いサウナの条件だとか。
デザイナーのテロ・クイトゥネン(Tero Kuitunen)さんも自分の「TAUKO(ひといき)」について話しました。サマーコテージに行っても、どこにいっても繋がってしまうテジタルな環境から逃れて、息抜きする手段として辿りついたのが「サウナ」だったそうです。
「サウナは、唯一携帯電話を持って入らない、必要のない場所」と話すテロさんのお気に入りは、ヘルシンキから1時間半くらいの街にあるサマーハウスのサウナ。それは、1928年から使われている貴重かつ原始的なサウナで、なるべく余計ことはしないようにしているのだそう。冬は湖の穴を開けて入るのだとか。テロさんにとって、冬場もサウナに入ることはとても大切なことだそう。
(左上)油井さん&長坂さん/(右上)山口さん/(左下)アンッティさん/(右下)テロさん
後ろの可愛いイラストのポスターはアンッティさんが手がけたもの。
フィンランドでもサウナブーム再び!
都市部で人々が交流できる場所
フィンランドの設計事務所「Oopeaa」に務める建築家の山口一紀さんは、フィンランドにおける現代のサウナ建築について、自身の事務所が手がけている小さなものから大きなサウナ施設をはじめ、いくつかサウナを紹介してくれました。(オウルに新しいサウナ施設を計画中というお話も!)
フィンランドの人はサウナには少々うるさいらしい(笑)「サウナに入っていると、批評が始まる。自分が関わったサウナについて言われるとドキドキしてしまう(笑)」というエピソードを披露。また、「景色を見ながら入るとすごく静かで。独りぼっちなようで、そうでない。“誰かと一緒に孤独になっている”という、不思議な状態が生まれる」とも。
「自分は外国人としてフィンランドにいるけれど、裸になって地元の人と同じことをすると、自分が受け入れられたような気がする」と、サウナはとても大切な存在だと話す山口さん。サウナは、誰がどんな肩書きで、どんな仕事をしていて、何歳でどこの国出身というもの全てを取っ払って、「とてもフラットになれる場所」だそう。
お話を聞いていると、サウナに入りたくなりますね!日本でもロウリュのあるドシーのような施設もありますし、フィンランドに行ったときにはサウナからフィンランドを見つめてみるのも面白そう。最後に、山口さんの話に登場したサウナを一部ご紹介!
●Lonna Sauna(ロンナ・サウナ)
山口さんたちが手がけたロンナ島にあるサウナ。5月からの夏季限定。夏を過ぎると風が強く、冬には海が凍ってしまうため辿り着けない。島で飼っている犬がいるそう。街の夜景が広がる側ではなく、あえて海のほうに開けた造りになっている。「何もない景色が一番美しい」という考えから。
●Allas Sea Pool(アラス・シー・プール)
山口さんたちの事務所が手がけている水上に浮かぶ、屋内の温水プールと屋外の海水プール、そしてサウナのある施設。都市部の中で人々が交流できる場所を作りたいという目的も。夏はものすごい来場者数になるため、ばったり知り合いに会ってしまう可能性大。
●Sompa Sauna(ソンパ・サウナ)
山口さんが「とても民主的。フィンランドらしいサウナ」とおすすめなのが、手入れなど地元の人で管理・運営されている公共サウナ。誰でも自由に使える。
ドシー五反田にある、熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させるロウリュ。この日かける水の香りはミント。まだ誰も入っていないサウナ。およそ100℃くらい。
会場となったのは、先月、フグレン浅草が1・2階に入り、話題となったデザインカプセルホテル「ナインアワーズ」が運営するサウナ併設のカプセルホテル「ドシー五反田」(五反田店は普段は男性のみ利用可。恵比寿店は男女共に利用可)。
本場フィンランドでサウナを体験したナインアワーズ代表の油井啓祐さんは、シンプルにシャワーとベッドのみを提供するカプセルホテルを運営するナインアワーズにとって、温浴施設を作ることにはじめは躊躇したそうですが、自身のフィンランドでの体験をもとに良いと思ったサウナを作ってみようと、サウナ併設のカプセルホテル「ドシー」をオープン。
内装デザインを担当した建築家の長坂常さんは、ロウリュと、フィンランドの湖の代わりに水風呂に入っているような感覚を味わえるウォーターピラー(体を這うように水が流れるシャワー)が利用できるサウナを作りました。フィンランドのサウナと日本のカプセルホテルが新しい形で溶けあう場所でのイベントとなりました。
好きなタイミング、自分のペースで
リラックスして、自分をリセットする
イベントの冒頭で、日本フィンランドデザイン協会フィンランドの理事長、エリナ・アールト(Elina Aalto)さんと、駐日フィンランド大使館を代表して、コッコ兄さんこと、マルクス・コッコさんが挨拶。日本とフィンランドのサウナ文化の違いに気づいたコッコさん。よく、「どのくらいサウナにいるべきなのか?」という質問をもらうのだとか。これに対して、「出たいと思ったら出る。リラックスできたときなど、自分の好きなタイミングでいいと思う」とコッコさん。あくまでも自分のペースで入るのが一番。
また、グラフィックデザイナーでマガジン「IMAGE」のアートディレクターを務めるアンッティ・グルンステン(Antti Grundstén)さんにとって、サウナは「清らかな場所」だそう。家にサウナがないので、毎週日曜にヘルシンキの公共サウナに出かけるのだとか。いつも繰り返すルーティーンがあり、シャワーを浴びて、サウナに入って、外で涼んで、サウナに入って、泳いで、サウナに入って、泳いで、ピクルスとトゥルニというベリーのジュースを飲んで、またサウナに入ってシャワーを浴びて終了、というのが一連の流れで、だいたい2時間ほどかけてサウナを楽しむそうです。
「きれいになった、すっきりしたという感じ。とても深い眠りにつくことができます。(サウナに行くことは)教会に行くような感覚かもしれません。頭の中を空っぽにして、落ち着いた気持ちになり、エネルギーが充電された感じになる」とのこと。また、水が近いこと、ミニマムな空間であること、空気の循環がいいことが、良いサウナの条件だとか。
デザイナーのテロ・クイトゥネン(Tero Kuitunen)さんも自分の「TAUKO(ひといき)」について話しました。サマーコテージに行っても、どこにいっても繋がってしまうテジタルな環境から逃れて、息抜きする手段として辿りついたのが「サウナ」だったそうです。
「サウナは、唯一携帯電話を持って入らない、必要のない場所」と話すテロさんのお気に入りは、ヘルシンキから1時間半くらいの街にあるサマーハウスのサウナ。それは、1928年から使われている貴重かつ原始的なサウナで、なるべく余計ことはしないようにしているのだそう。冬は湖の穴を開けて入るのだとか。テロさんにとって、冬場もサウナに入ることはとても大切なことだそう。
(左上)油井さん&長坂さん/(右上)山口さん/(左下)アンッティさん/(右下)テロさん
後ろの可愛いイラストのポスターはアンッティさんが手がけたもの。
フィンランドでもサウナブーム再び!
都市部で人々が交流できる場所
フィンランドの設計事務所「Oopeaa」に務める建築家の山口一紀さんは、フィンランドにおける現代のサウナ建築について、自身の事務所が手がけている小さなものから大きなサウナ施設をはじめ、いくつかサウナを紹介してくれました。(オウルに新しいサウナ施設を計画中というお話も!)
フィンランドの人はサウナには少々うるさいらしい(笑)「サウナに入っていると、批評が始まる。自分が関わったサウナについて言われるとドキドキしてしまう(笑)」というエピソードを披露。また、「景色を見ながら入るとすごく静かで。独りぼっちなようで、そうでない。“誰かと一緒に孤独になっている”という、不思議な状態が生まれる」とも。
「自分は外国人としてフィンランドにいるけれど、裸になって地元の人と同じことをすると、自分が受け入れられたような気がする」と、サウナはとても大切な存在だと話す山口さん。サウナは、誰がどんな肩書きで、どんな仕事をしていて、何歳でどこの国出身というもの全てを取っ払って、「とてもフラットになれる場所」だそう。
お話を聞いていると、サウナに入りたくなりますね!日本でもロウリュのあるドシーのような施設もありますし、フィンランドに行ったときにはサウナからフィンランドを見つめてみるのも面白そう。最後に、山口さんの話に登場したサウナを一部ご紹介!
●Lonna Sauna(ロンナ・サウナ)
山口さんたちが手がけたロンナ島にあるサウナ。5月からの夏季限定。夏を過ぎると風が強く、冬には海が凍ってしまうため辿り着けない。島で飼っている犬がいるそう。街の夜景が広がる側ではなく、あえて海のほうに開けた造りになっている。「何もない景色が一番美しい」という考えから。
●Allas Sea Pool(アラス・シー・プール)
山口さんたちの事務所が手がけている水上に浮かぶ、屋内の温水プールと屋外の海水プール、そしてサウナのある施設。都市部の中で人々が交流できる場所を作りたいという目的も。夏はものすごい来場者数になるため、ばったり知り合いに会ってしまう可能性大。
●Sompa Sauna(ソンパ・サウナ)
山口さんが「とても民主的。フィンランドらしいサウナ」とおすすめなのが、手入れなど地元の人で管理・運営されている公共サウナ。誰でも自由に使える。
オールメイドインフィンランドのテキスタイルブランド「Jokipiin Pellava(ヨキピン・ペラヴァ)」のサウナマット(おしりに敷くマット)。なんと、偶然にも、少し前に個展を開催し、来日していたデザイナー、アヌ・サーリさんのデザイン!(フィンレイソンのパンダ柄を手がけた人気デザイナーです)