先日、駐日フィンランド大使館にて、フィンランドのガラス器・陶器ブランド「イッタラ」の新作「Raami(ラーミ)」の発表会が催されました。館内では、朝、昼、夜をイメージしたテーブルセッティングが披露されており、フィンランドのお家におじゃましているかのような、あたたかい雰囲気に包まれました。
日本・フィンランド外交関係樹立100周年の6名の親善大使のうち、ピアニストの舘野泉さん、女優の小林聡美さん、アイドルの藤咲彩音さんの3名も来場。イッタラのグローバル・マーケティング・ディレクターのアンナ・ヴァルティアイネンさんと舘野さん、小林さんとのフィンランドトークも盛り上がりました。新作「Raami」と共に、その模様をお届けします。
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2019年は日本・フィンランド外交関係樹立100周年!親善大使6名発表&関連イベントが目白押し左から女優の小林聡美さん、アイドルの藤咲彩音さん、ピアニストの舘野泉さん、ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使
■ティーマに続く、イッタラの伝統にイッタラを見るたびに、子供の頃の楽しい思い出が浮かんでくると話すペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使は、Raamiコレクションを見て、「フィンランドの伝統を肌で感じることができるアイテム」とコメント。「フィンランドのデザインは少しアヴァンギャルドな部分もありつつ、機能性もきちんと備わっているのが特徴。イッタラの製品は、フィンランドデザインに大きな影響を与えてきた。世界にフィンランドデザインを広めた先駆的存在」と大使が言葉を添えるように、イッタラは長きにわたり、フィンランドデザインを支えてきたブランドの一つです。
世界で活躍するイギリス人プロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンとイッタラのコラボレーションから生まれた新しいテーブルウェアコレクション「Raami」は、あのカイ・フランクが手がけた「Teema(ティーマ)」以来初となる、フルラインナップで取り揃えたというイッタラ渾身のシリーズ。「シンプルですっきりとしていて、素直で。家族や友人とのくつろぎの場にぴったり。ティーマに続く、イッタラのクラシックになり得る」と大使も絶賛。ジャスパー・モリソンとイッタラは、互いが持つ共通の哲学の有形化に成功したと賛辞を贈りました。
イッタラのグローバル・マーケティング・ディレクター、アンナ・ヴァルティアイネンさん
■フィンランド・ト-クショー with 舘野泉さん&小林聡美さんイッタラのグローバル・マーケティング・ディレクターのアンナ・ヴァルティアイネンさんが、舘野さんと小林さんに、いくつかフィンランドに関する質問を準備。フィンランドに行ってみた印象、住んで感じたことなど、トークが繰り広げられました。
――フィンランドの印象は?(アンナさんが持つ日本の印象は、「たくさんの人がいるのに、いつも人々は落ち着いている感じがする」とのこと)
小林さん:東京とは時間の流れが違うなと思いました。例えば東京では、赤信号に変わる直前にダッシュで渡る人がいるけれど、フィンランドではみんな絶対に走らない。街を走っている人はいないと事前に聞いていて、本当にいなかったことを思い出します。
舘野さん:フィンランドに住んで55年になります(驚くアンナさん&会場もどよめく)。1962年に初めてフィンランドへ行きました。フィンランドの家族と仲良く暮らしていましたが、当時は本当に何もない、非常に慎ましい暮らしの中で、あたたかく自然に振る舞っていて、そして、自分たちの国に誇りを持っていることに心を打たれました。
――北欧デザインが日本でブームのようですが、なぜ人気があると思う?
小林さん:日本人も暮らしの中に四季を取り入れて楽しむので、根底的なところ、自然との関わり方が似ているから共鳴するところが多いのかなと思います。
――フィンランドをひと言で表すと?
舘野さん:シンプルで、自然で、あたたかい。(3つ言っちゃいましたねぇ、と舘野さん^^)
小林さん:(自分への質問じゃないと思って、うっかりしてました……と前置きして)「大人っぽい」でしょうか。
この質問、いいですよね!皆さんはフィンランドをひと言で表すと、何ですか?
筆者は、「クリーン」で「正直」。風通しがよく、透明性がある、という意味で。(ふた言ですね^^)
トーク中、この日のイッタラのテーブルコーディネートを見て、「ホームシックになりそう」とおっしゃっていた舘野さん。それだけイッタラの器たちは身近なんだなとしみじみ。
一年で最も好きなひとときは、フィンランドのサマーコテージで過ごすことだとか。「森と湖だけ。水の流れや水の動き、風の動き、鳥の声を聴き、その静けさの中で、自分を浄化する感じがあって。大好きです」という言葉が、胸に響きました。
■フィンランド語で「フレーム(枠)」を意味するRaami「モノは雰囲気を作る」ということを常に提唱しているジャスパー・モリソン。Raamiをデザインするにあたり、「とても素敵な雰囲気、家族や友人と過ごす食卓を美しく縁取ってくれる」といった意味もコレクションに込められているようです。
朝食、ランチ、ティータイムやディナーといった、どんな場面でも人々が楽しめるようなコレクション。Raamiには、ガラス、陶器、木というさまざまな素材が使われており、4つのルックで構成されています。
まず1つ目は、グラス類。タンブラー(3色)、カラフェ、キャンドルホルダー(2色)のフルーテッドデザインは、光を浴びると生み出される美しい影が特徴的。外側がつるつるで、内側に凹凸を付けたデザインは、どことなく懐かしさを感じますが、ヨーロッパでは革新的なデザインなのだそう。
2つ目は、ステムのある4種のグラス(アペリティフ、レッドワイン、ホワイトワイン、スパークリング)。シンプルでエレガント。ちょっぴり小ぶりなサイズのグラスは、ただワインを楽しむために作られました。とは言いつつも、アペリティフの小さなグラスは前菜やデザートにも使えそう。
3つ目は、プレート(3サイズ)、ボウル(3サイズ)、カップ&ソーサー、マグ、ティーポット、オーバルプラターからなるセラミックアイテム。プレートやボウルの縁に見られる柔らかなカーブが特徴的。最後に4つ目となるアイテムは、木製のサービングトレイ(2サイズ)。あたたかみのあるナチュラルな雰囲気がテーブルコーディネートのアクセントになりそうです。
「全部同じもので揃えたテーブルセッティングの時代は終わった。今の時代、大事なことは、テーブルの雰囲気」であるとモリソン。形式ばらず、人々に心地よい雰囲気を作り出すテーブルウェアコレクションだと、よりアットホームでリラックスした雰囲気が生まれる。それがRaamiというわけです。
使われることが本当に考えられているなと感じるのは、今、家にあるものと組み合わせても、なんの違和感もなく、Raamiを迎えられそうだな、ということ。そんなオールラウンダーRaamiは2月13日に産声をあげたばかり。イッタラの新たな伝統の誕生です。
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