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【展覧会レポート】女性が社会で活躍する素地を作り、道を切り開いたフィンランドの女性芸術家たち



マルヤ・サカリ フィンランド国立アテネウム美術館館長



今年は、トーベ・ヤンソンが生み出したムーミンの展覧会や、フィンランドを代表するアーティスト、ルート・ブリュックの展覧会など、フィンランドの女性作家にスポットが当たっていますね!本日は、6月18日(火)よりスタートした、こちらの展覧会レポートです。

9月23日(月・祝)まで、国立西洋美術館の新館展示室2階にて開催中の「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」。オープン前日に行われたオープニングセレモニーには、高円宮妃久子様も参加され、馬渕明子 国立西洋美術館長、マルヤ・サカリ フィンランド国立アテネウム美術館館長、タルヤ・ハロネン前フィンランド大統領、そして、ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使らが登壇し、華やかに行われました。内覧会での模様をお届けします。



男性中心だった時代に、
芸術で道を切り開いた女性たち


19世紀半ば頃に誕生したフィンランドで最初の美術学校は、創立当初から男女平等の美術教育を奨励したことで、女性たちは奨学金や留学のチャンスを掴み、よりよい環境で腕を磨くことができました。同展は、フィンランドの近代美術に革新をもたらし、芸術家としてのキャリアを切り開いた7名の女性芸術家たちにスポットを当てた展覧会となっています。

サカリ フィンランド国立アテネウム美術館館長は、日本での開催にあたり、「非常に嬉しく思います。日本でフィンランドの近代芸術に触れていただける良い機会」だと話し、ハロネン前フィンランド大統領は、同展を「日本・フィンランド外交関係樹立100周年の象徴的なイベント。多くの人に喜びと楽しみを提供できる展覧会」と挨拶。19世紀から20世紀にかけて、男性中心だった時代に、自分たちの道を切り開いた女性たちを紹介していると説明。芸術か家庭かを選ばざるをえない壁にぶつかりながらも、友情を通して互いを支えあい、サポートしあってきた女性たちは、時代を行く先駆者となりました。

オルパナ駐日フィンランド大使は、「美しい作品を披露するだけでなく、芸術における女性の役割も紹介されている」と、同展の女性芸術家たちは、現在でも女性たちのロールモデルだと話しました。ハロネン前大統領をはじめ、現在のフィンランド政府には主要ポストで活躍する多くの女性たちがいることについても触れました。

5人の画家と2人の彫刻家を紹介する
日本オリジナルの内容に再構成

フィンランド独立100周年の2017年より、国際巡回展として世界をめぐるモダン・ウーマン展は当初4人の芸術家のみの紹介だったそうですが、今回、日本オリジナルに再構成。5人の画家と2人の彫刻家、計7人を紹介することになったそうです。

国立西洋美術館の特定研究員、久保田有寿さんによると、国立西洋美術館での展示に新たに彫刻家2人を加えたのは、彼女たちの師匠が、同館の松方コレクションと深い関わりのあるフランス人彫刻家ロダンであるというのが理由だそう。同館の前庭や常設展にも、ロダンの彫刻が展示されている部屋がありますが、今回「モダン・ウーマン」展には、ロダンに学んだフィンランドの女性彫刻家の作品2点が展示されているということで、比較して鑑賞してみるのも一興です。

展示スペースは、大きく2つに分かれており、手前2つの部屋では、時代別に7人それぞれの作品を紹介。奥の部屋では、彼女たちの美術教育にフォーカスした素描や版画、留学時代の作品などが展示されています。

「ムーミンの原作者、トーベ・ヤンソンも、展覧会が巡回中のルート・ブリュックも女性。その女性芸術家の素地を作った芸術家たち」と久保田さん。絵画、彫刻、素描、版画といった、フィンランド国立アテネウム美術館のコレクション約85点を通じて、フィンランドの女性芸術家たちだけでなく、その背景にあった社会や文化とともに紹介する日本初の展覧会。「モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち」は、国立西洋美術館にて、9月23日(月・祝)まで開催中です。



日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念

モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
会期:2019年6月18日(火)~9月23日(月・祝)
会場:国立西洋美術館新館展示室2階
開館時間:9:30~17:30(毎週金・土曜日9:30~21:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、7月16日(火)(ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館)
観覧料金:当日 一般500円(400円)、大学生250円(200円)

※本展は常設展の観覧券でご覧いただけます。
※(  )内は 20 名以上の団体料金。
※高校生以下及び18歳未満、65歳以上は無料(入館の際に学生証または年齢の確認できるものをご提示ください)。
※心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。
※毎週金・土曜日の夜間開館時(17:00~21:00)、および毎月第2・第4土曜日は本展および常設展は観覧無料。
※「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日~9月23日)観覧当日に限り、同展観覧券で本展をご覧いただけます。
※本展は会場内での写真撮影が可能です。

<会場の様子を一部紹介> ※すべてフィンランド国立アテネウム美術館所蔵
一番下で紹介しているヘレン・シャルフベックのリトグラフは、ジブリ風のアニメ的な作品だなと親近感。エルガ・セーセマンの作品はどこかノルウェーの画家、エドヴァルド・ムンクの雰囲気が……と思っていたら、ムンクの表現に関心を持っていたとか。目の部分をぼやかしたりするなど、会場では彼女の《自画像》の作品もぜひ注目してみてください。


左(奥):ヘレン・シャルフベック《木こりⅠ》1910-11年 油彩・カラークレヨン、カンヴァス
右(手前):ヘレン・シャルフベック《母と子》1886年 油彩、カンヴァス

左(手前):エルガ・セーセマン《通り》1945年 油彩、カンヴァス
右(奥):エルガ・セーセマン《カイヴォプイストからの眺め》1941年 油彩、カンヴァス

左(手前):エレン・テスレフ《イカロス》1940年代 油彩、カンヴァス
右(奥):エレン・テスレフ《装飾的風景》1910年 油彩、カンヴァス

ヒルダ・フルディーン《考える老人》1900年 ブロンズ

左(手前):マリア・ヴィーク《人物習作》年記無し 木炭・クレヨン、紙
右(奥):マリア・ヴィーク《裸体習作、立つ少年》1903年 油彩、カンヴァス

左(奥):ヘレン・シャルフベック《快復期》1938-39年 リトグラフ、紙
右(手前):ヘレン・シャルフベック《シルクの靴》1938年 リトグラフ、紙

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(2019年07月17日更新)
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