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【デザイン】フィンランドと日本に共通する文化がヒント!日本人デザイナーが手がけたアルテックのベンチとは?




10月16日より、東京・表参道のArtek Tokyo Storeにて、空間・プロダクトデザイナーの二俣公一(ふたつまた こういち)氏によるアルテックの新作「キウル ベンチ(Kiulu Bench)」の発表と販売開始を記念した展示イベント「Landscape of Design」がスタートしました(11月18日迄)。

キウル ベンチは、今年2019年の日本・フィンランド外交関係樹立100周年を記念して作られた「FIN/JPN フレンドシップ コレクション」の最後のプロダクトとしてリリース。「キウル」とは、サウナで使われる「桶」のこと。どのようにしてこのデザインが生まれたのか。二俣氏より、内覧会にてキウル ベンチ誕生についての話を聞くことができました。



フィンランドと日本に共通する
公衆浴場の文化に着想を得たデザイン

建築や内部空間、家具など、多岐にわたるデザインを手がけている二俣さんは、フィンランドのアルテックより、デザインの依頼を受けます。フィンランドに一度も行ったことがない二俣さん。全くゼロからのスタートでした。

フィンランドと日本に共通するものとして思い浮かんだのは、お茶の文化、自然への接し方、自然の取り入れ方など。特に、フィンランドのサウナと日本の銭湯・温泉文化という、両国の公衆浴場の文化から「桶」に共通点を見出し、両脇に桶を半分にしたような収納付きベンチを思いつきます。



今年1月、初めてフィンランドを訪れた二俣さんは、本などでは何度も見ているアアルト建築を目の当たりにして、無駄がなく、合理性を突き詰めた美しさに感動。学生のような気分でウキウキしたといいます。自身の作品にも「知らないうちに影響を受けているのかなと感じます」と二俣さん。

現地フィンランドで試作に取りかかり、座面の大きさや全体のバランス、脚部分など、試行錯誤を繰り返してようやく完成。出来上がると、アルテック本社でアアルトのサウナベンチと並べてみたり、重ねてみたりしたそう。サイドの曲線が印象的な二俣さんのベンチは、アアルト作品のような温もりや柔らかさを感じます。


モデレーターを務めた土田貴宏さん(左)、写真家の津田直さん(中央)、デザイナーの二俣公一さん(右)


周知の素材を使って、
新しい造形を作りたい

今年4月、ミラノで初めて披露されたキウル ベンチ。行ったことのないフィンランドに、かなり直前ではあったものの、1度でも見ていてよかったと二俣さん。「イチからだったので、すごく時間がかかりました」と、ミラノまでギリギリのスケジュールだったようですが、作品の出来には非常に満足している様子。アルテックとの仕事については、「違和感なく、やり取りもスムーズ。共感することも多くて、一緒に開発できて幸せでした」と笑顔。

何かを合体させて新しい形を作ることや、利便性のあるものに興味があるといい、「機能を突き詰めていった先にある美しいものを作っていきたい」といいます。「結果、それが“遊び心”に繋がっていたらいいなと思う」と二俣さん。

また、制作にあたり、二俣さんの強い味方だったのが、写真家の津田直さんの存在。北欧に幾度となく足を伸ばし、現地に詳しい津田さんから情報を得ていたそうです。途中からトークに加わり、「内側から外側へ膨らんでいこうとする木の力を感じるデザイン」と、キウル ベンチを初めて見たときの感想を話してくれました。


「キウル ベンチ」キービジュアル(津田さんの写真×二俣さんのキウル ベンチ)


二俣さんのキウル ベンチと津田さんの写真がコラボレートしたビジュアルは、キービジュアルとして使用されています。写っている湖は、夜中に撮影した白夜のイナリ湖。サーメの末裔の家に滞在していた時で、比較的長く居たのでよく覚えていると津田さん。力が抜けたときに撮れた写真だそう。湖、光、白夜、森と、何気ないフィンランドのリラックスした自然の風景が収められています。

アルテックの新作をイチからデザインした日本人デザイナーとして、アルテックの歴史に名を刻んだ二俣さんの「キウル ベンチ」。大小の2つのサイズに、ブライトレッド・ブラック・クリアの3色で展開されています。


カラー:ブライドレッド・ブラック・クリア
本体:バーチ材、バスケット:バーチ材成型合板
※2019年冬より発売開始予定


Landscape of Design
会期:2019年10月16日(水)~11月18日(月)
会場:Artek Tokyo Store
<トークイベント>
日時:2019年10月26日(土) 17:00~18:00
会場:Artek Tokyo Store
登壇者:二俣公一
※要事前申込。詳細はこちらまで!

<おまけ>
レセプションでは、キウルベンチの赤と黒にちなみ、料理やドリンクも赤と黒で構成されていました。美味しそうに木箱に並んだおいなりさんは、福岡で創業35年、今年9月に日本橋コレド室町テラス1階にて関東初の店舗をオープンした「だしいなり海木」。二俣さんが店舗をデザインした行列のできる人気のおいなりさん専門店。しっかりとしみ込んだお揚げは、もっちもちの食感!(「イナリ湖」にもかけました?)


●だしいなり海木
https://kaiboku.jp/
https://mitsui-shopping-park.com/urban/muromachi/store/1385693.html
●葉山の「和がし 葉な」の生どらやきも絶品!
http://wagashi-hana.com/



(2019年10月22日更新)
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