2020年1月21日(火)より、東京都美術館にて、デンマークの画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864-1916)の作品をはじめとするデンマークの名画の数々を、日本で初めて本格的に紹介する展覧会「ハマスホイとデンマーク絵画」が開催されます。担当学芸員による展覧会の見どころ、著述家のイェンス・イェンセンさんによるミニトークの模様をお届けします。(※招待券プレゼントあり!)
静けさを作品の中に閉じ込めたような室内画表現で知られるハマスホイは、17世紀オランダ風俗画の影響が認められていることから“北欧のフェルメール”と評されている画家。2008年に国立西洋美術館で開催されたハマスホイの展覧会には、想像を超える反響があったとか。今回は2008年時に来日していない作品も多数紹介される予定です。
同展は、東京と山口のみ開催。東京会場となる東京都美術館の真室佳武館長は、「2020年は東京オリンピック・パラリンピックの年。文化の祭典の一つとして、本展もその位置づけにあります」と挨拶。また、デンマーク・デザイン展を開催した会場でもある山口県立美術館の岡田実館長は、「デンマークのデザイン文化を紹介するとともに、幸せな国・ヒュゲの国という生活文化も一緒に紹介していきたい。山口県内はもちろん、広島や福岡など西日本地域在住の人にもぜひ来てもらいたい」と話していました。
美術ファンの心を揺さぶる、人物の肖像や身近な風景
本展を担当した山口県立美術館の萬屋健司学芸員は、デンマークへの留学経験があり、学生時代からデンマーク美術を研究していたという、日本では数少ないハマスホイ研究者。ハマスホイって誰?デンマーク美術?と、美術界でデンマークは“マイナーな国”とされてきましたが、今回、本展のような形で開催されることに対して、「非常に感慨深い」と萬屋学芸員。
画家として幼い頃から教育を受けていたハマスホイは、1890年代頃から室内画を描き始め、移り住んだストランゲーゼ30番地のアパート内で描いた室内画が国内外で評判になります。長い間、評価されることがなかったハマスホイの作品ですが、1980年代にアメリカやヨーロッパで開催された北欧絵画展などで再評価されることに。「フランス、ドイツ、イタリアといった西洋絵画にはない独特な静けさが絵画から伝わってくる」、「時間を忘れて絵に浸らせられてしまう」と、徐々にクローズアップして紹介されるようになりました。
ハマスホイの作品を特徴づけるキーワードとは?
この時代の画家はハマスホイをはじめ、17世紀のオランダ絵画の影響を受けているそうです。キーワードは、静けさ、ミニマルな色彩と構成、色彩を抑えた豊かな色調、そして、ノスタルジー。
例えば、《背を向けた若い女性のいる室内》の中に描かれているロイヤルコペンハーゲン製のパンチボウル。蓋がぴったりと閉まっていないのはどうしてかと調査のためにある家を訪れた萬屋学芸員。見せてもらったパンチボウルが、なんとハマスホイが実際に絵に使った本物だったというから驚き。よく見ると、針金で修復されていたそう。この時代でもアンティークは人気で、歴史を含めて、ボウルが辿ってきたものを描きたかったのではないかと。当時は街が近代化していき、古いものにある歴史や文化が消えていく中で、それらへの郷愁、慈しみを表しているのではないかといわれています。
展覧会は4部構成になっており、第1章は黄金期を、第2章はハマスホイと交流のあったスケーイン派のクロイアをはじめとする絵画(※本展では「スケーエン派」→「スケーイン派」)、第3章は国際化と室内画の隆盛を紹介した19世紀末のデンマーク絵画、そして第4章はハマスホイの作品が披露されます。ハマスホイ作品約40点のうち、特に「(美術館の協力により)風景画が3点とも揃って展示できるのはすごいこと」と萬屋学芸員。貴重な日本初公開の作品も多数来日予定です。
ヒュゲを感じるデンマーク絵画も来日
記者発表会には、デンマーク人の著述家、イェンス・イェンセンさんがゲストとして登壇。「会話をしながら、ゆっくりと落ち着いた時間。その様子」のことを表現した「ヒュゲ」は、日本をはじめ、世界中で有名なデンマークの言葉のひとつ。日本にもヒュゲの時間は存在するとのこと。それは、「鍋やすき焼きをみんなで囲んだり、家族や友人とお花見をしたりすることもヒュゲだと思う」とイェンセンさん。
そんなヒュゲを感じるデンマーク絵画も来日予定。ハマスホイの作品は、「色彩がないハマスホイの作品はヒュゲかどうかというと、ヒュゲではないかも」とのことですが、「食事の後に、歌を歌いながらクリスマスツリーの周りを回りながら踊るヴィゴ・ヨハンスンの作品《きよしこの夜》はまさにデンマークですね」と解説。「デンマークでは有名ですが、クロイアのような日本ではまだあまり知られていない画家もいます。もっとハマスホイのように知られるといいなと思います」と呼びかけました。
ハマスホイをはじめ、素朴でじんわりと良さが伝わってくるデンマーク絵画の魅力を感じることができるチャンス!「ハマスホイとデンマーク絵画」は、2020年1月21日より東京、2020年4月7日より山口にて開催されます。
ハマスホイとデンマーク絵画
<東京会場>
会期:2020年1月21日(火)~3月26日(木)
会場:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
時間:9:30~17:30 ※金曜日、2/19(水)、3/18(水)は20時まで。入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日、2/25(火) ※ただし2/24(月・祝)、3/23(月)は開室
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html
<山口会場>
会期:2020年4月7日(火)~6月7日(日)
会場:山口県立美術館(山口市亀山町3-1)
時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日 ※ただし5月4日(月・祝)、6月1日(月)は開館
展覧会公式サイト:
http://artexhibition.jp/denmark2020/
※本展の表記については大阪大学言語文化研究科の指針に準じているとのこと(スケーエン→スケーイン、ハンマースホイ→ハマスホイ、ヒュッゲ→ヒュゲ)
▼ヴィルヘルム・ハマスホイの弟Svend Hammershøiは、ケーラーに貢献した人物!
ヴィルヘルム・ハマスホイの弟、Svend Hammershøi(1873–1948)は、デンマークを代表するセラミックメーカー「Kähler(ケーラー)」に長く携わり、数々の作品を生み出しただけでなく、技術継承にも力を入れるなど、ケーラーに大きく貢献した人物。ブランドロゴの「HAK」もデザインしました。詳細:
https://www.kahlerdesign.dk/inspiration/kaehlers-historie/historien-om-svend-hammerhoei/
ヴィルヘルム・ハマスホイ 《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》 1910年 国立西洋美術館蔵 〔東京展のみ出品〕
ヴィルヘルム・ハマスホイ 《背を向けた若い女性のいる室内》 1903-04年 ラナス美術館蔵 © Photo: Randers Kunstmuseum
ヴィルヘルム・ハマスホイ 《画家と妻の肖像、パリ》 1892年 デーヴィズ・コレクション蔵 The David Collection, Copenhagen
ヴィルヘルム・ハマスホイ 《若いブナの森、フレズレクスヴェアク》 1904年 デーヴィズ・コレクション蔵 The David Collection, Copenhagen
ピーザ・スィヴェリーン・クロイア 《スケーイン南海岸の夏の夕べ-アナ・アンガとマリーイ・クロイア》 1893年 ヒアシュプロング・コレクション蔵 © The Hirschsprung Collection
ヴィゴ・ヨハンスン 《きよしこの夜》 1891年 ヒアシュプロング・コレクション蔵 © The Hirschsprung Collection
「ハマスホイとデンマーク絵画」(東京都美術館)に、抽選で5組10名様をご招待!
北欧区をご愛読いただいている皆様に、東京都美術館で開催される展覧会「ハマスホイとデンマーク絵画」に、抽選で5組10名様をご招待いたします!
応募期間は、
ただいま~12月4日(水)正午までとなります。
なお、住所・氏名など記載のないものは無効となりますので、ご注意ください。
■当選者数:抽選で5組10名様
■締め切り:2019年12月4日(水)正午まで
■当選発表:展覧会の招待券とチラシの発送をもってかえさせていただきます。
■応募方法:タイトルに「
ハマスホイとデンマーク絵画招待券プレゼント」と明記の上、下記の
<必ずお読みください>に目を通していただき、必要事項を添えて下記宛にお送りください。
応募先 その① support★hokuwalk.com(★を@に変えてお送りくださいね)
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