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【映画】料理で打ち解け、サウナで心を通わす。身も心も温まる『世界で一番しあわせな食堂』(2/19公開)




フィンランドを代表する映画監督、カウリスマキ兄弟の兄、ミカ・カウリスマキが監督を務めた新作『世界で一番しあわせな食堂』が、2021年2月19日(金)より、新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他にて全国順次公開されます。

舞台はフィンランドの北部・ラップランド地方の小さな村。中国・上海からやって来た料理人チェンが、食堂を経営するフィンランド人女性シルカと出会い、料理を通じて国籍や文化の違いを乗り越え、地元の人たちと交流し、互いを家族のように思いやる気持ちが芽生えていく、心温まる作品です。

美しい自然と美味しい料理、
言葉はほんの少しで大丈夫。


主人公は、妻を亡くし、幼い息子を一人育てていた上海の料理人チェン。かつてピンチの時に助けてくれた恩人のフィンランド人を訪ねるために息子を連れてフィンランド北部の小さな村にやってきました。バスを降りたところにある食堂に居合わせた人々に、恩人の名前を知っているかどうか尋ねてみたものの、聞き覚えのない名前だといいます。

ある日、食堂に観光バスが止まり、中国からの団体客がやってきて、地元料理のジャガイモとソーセージ以外の料理はないのかと尋ねられ、困り果てていたシルカを見て、チェンはすぐに出来るものをと、急遽スープ麺を提案。思わぬところで、故郷の本格的な料理を食べることができた団体客はその味に感激。はじめは怪訝そうに周りでうかがっていた地元の人たちも、いつの間にかチェンの作る料理の虜に。チェンが食堂を手伝う代わりに、シルカはチェンの恩人探しに協力することになります。



母国フィンランドを舞台に、異文化との出会いと、そこから生まれる喜びを描いたのは、弟のアキ・カウリスマキ監督と共にフィンランド映画界を代表するミカ・カウリスマキ監督。トナカイたちが住む森、どこまでも静かな湖。体に優しい料理と美しい自然が人々の心を溶かしていく。音楽やダンス、フィンランドの魂であるサウナも登場。大きな役割を果たします。

ミカ監督がラップランドを選んだのは、「視覚的に美しくエキゾチックなだけでなく、素朴でオープンな場所だから」だそう。圧倒的な自然の前で、嘘や隠し事なんてできない。オープンにならざるを得ない。そんな環境のもと、シンプルな英語でコミュニケーションを交わし、常に真っすぐで正直なチェンの姿に、地元フィンランドの人々が安心して心を開いたのがわかります。

シンプルな会話に、美味しい料理があり、そこに美しい自然があると、人々はありのままの姿でいられるのかもしれません。



シルカとの関係にもピュアでドキドキしてしまうのですが、チェンの料理する姿、所作が美しく見とれてしまいました。包丁さばきや調味料を入れたり味見をする姿など、一つひとつの流れが美しく、それも含めて中華料理の歴史や文化。日本料理にも通ずるところがあり、見どころの一つになっています。

チェン愛用の包丁や調味料を入れた木箱が登場するのですが、これがまた趣があって素敵。まるで魔法を使ったかのように、地元の食材を彩り豊かに仕上げていくチェン。温かくて美味しい料理で心を通わす……『かもめ食堂』を思い出しました。劇中に出てくる、お料理が美味しそうでたまりません!



人々が力を合わせたら、
世界は美しい場所になる。


ミカ監督作の日本での劇場公開(映画祭除く)は、2014年の初めに公開された『旅人は夢を奏でる』以来でしょうか。(『王となった少女』は、フィンランド映画祭2016で上映済み)

監督は、昨秋のインタビューにて、舞台やキャストについて、また、見どころなどをこう話しています。

<町の名前について>
劇中でチェンが発音に苦しむ町の名前「ポホヤンヨキ」は、架空の名前。とりあえず付けた名前がそのまま使われることになったそうです。「映画がある種の童話的な内容なので、町の名前も架空であるということはよかったのではないかと思う」と監督。

<キャストについて>
キャストについては、地元のアマチュア俳優もキャスティングしたそう。映画に田舎の雰囲気のリアリティーをもたらすためで、食堂にいる何人かの男性は地元の人たち。子供たちもほとんどが地元の子。そのうち2人の子は、なんと監督の実の子供さんだとか!孫娘さんも子供に紛れて映っているそうですよ!

<中華料理との接点>
「80年代に中華レストランが出来始めたけれど、味は今一つだった」とか。しかし、近年はとても良い中華レストランがオープンしていて、食事も美味しいそうです。(ミカ監督は、日本食とイタリアンも好きだそう)

<伝えたいメッセージ>
グローバリズムがテーマの作品。それを市井の人を通して描きたかったと監督。監督が考えるグローバルな世界とは、「人や国が協調的に生き、お互いを尊重し合い、地球を壊すのではなく守ろうとする世界」のこと。「観た人が未来に対する希望を感じてくれたらいい。もし力を合わせたら、私達の世界は美しい場所になるということを実感してほしい」

<日本映画ファン>
昔からずっと日本映画のファンだというミカ監督。「溝口健二、小津安二郎、黒澤明が好き。私の映画にこうした巨匠からの影響が垣間見えるはず」。2013年(以降にも来日されているかもしれませんが)に来日したミカ監督。当時、来日は10年ぶりだったそうです。

ちなみに、ミカ監督が来日したのは、フィンランド映画祭2013でオープニングを飾った『旅人は夢を奏でる』上映の時。当時、新作を撮っている最中だったため、ゆっくりと滞在できなかったミカ監督。ほんの数日の日本滞在だった監督は、レセプションの時に、「日本から来てと言われたらNOとはいえない。10年ぶりの来日だが、寿司と酒の味は変わらないようだ」と挨拶をして笑いを誘っていました。とっても気さくで、素敵な監督でした。

また日本に行きたいと強く思っているとのこと。ぜひいらしてほしい!

今年の冬は、一部の地域では雪が多く、とても寒い日が続きますね。世界の幸福度3年連続ナンバーワンの国フィンランドを舞台に、相手を思う大切さを描いた作品で、心も身体もポカポカに温まりましょう。

2021年2月19日(金)より、新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他、全国順次ロードショー!



【ストーリー】
フィンランド北部の小さな村にある食堂へ、上海から料理人チェンとその息子がやって来た。恩人を探しているというが、知る人は誰もいない。食堂を経営するシルカは、チェンが食堂を手伝う代わりに、恩人探しに協力することとなる。恩人探しが思うように進まない一方で、チェンが作る料理は評判となり食堂は大盛況。次第にシルカ、そして常連客とも親しくなっていくチェンだったが、観光ビザの期限が迫り、帰国する日が近づいてくる。



世界で一番しあわせな食堂
監督:ミカ・カウリスマキ
脚本:ハンヌ・オラヴィスト
出演:アンナ=マイヤ・トゥオッコ、チュー・パック・ホング、カリ・ヴァーナネン、ルーカス・スアン、ヴェサ=マッティ・ロイリ
2019年/フィンランド・イギリス・中国/英語・フィンランド語・中国語/114分/カラー/シネスコ/5.1ch/G/原題:Mestari Cheng/字幕翻訳:吉川美奈子
配給:ギャガ
後援:フィンランド大使館
http://gaga.ne.jp/shiawaseshokudo
©Marianna Films

2021年2月19日(金)、新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他、全国順次ロードショー

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(2021年01月13日更新)
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