HOME > What’s New > 2021年 > 2021年02月22日

【映画】ノルウェーの伝説的ブラック・メタルバンドの悲劇を描いた『ロード・オブ・カオス』(3/26公開)



主人公のユーロニモスを演じたロリー・カルキン


本日は、3月26日に公開されるノルウェーの伝説的ブラック・メタルバンドを描いた北欧映画をご紹介!

1980年代後半、黎明期のブラック・メタル・シーンにおいて、サタニズム(悪魔崇拝主義)を掲げ、過激な宣伝やライブパフォーマンス、コープスペイント(死化粧)で世界のメタル・シーンを席巻した「メイヘム(Mayhem)」というノルウェーの伝説的なバンドの物語です。

バンドリーダーのユーロニモスは、メタル・シーンにおいて中核的な地位を確立するべく、“誰が一番邪悪か”を競い合うアンダーグラウンド集団「インナーサークル」を結成。活動はユーロニモスの想像を超え、過激化し、放火、暴動、果ては複数の殺人事件までに発展。社会問題と化しました。

同作品は、ノンフィクション『ブラック・メタルの血塗られた歴史』を原作に、世界をリードした音楽と、いまだ解明されていない、闇に隠された事件に触れた「メイヘム」の、あまりにも切なく、痛々しい青春を鮮やかに描いた音楽ドラマです。



監督は、ブラック・メタルの父と言われるバンド「バソリー(Bathory)」の元ドラマーで、ローリング・ストーンズ、マドンナ、ポール・マッカートニー、メタリカなどのMVも手掛けるスウェーデン生まれのジョナス・アカーランド(ヨーナス・オーケルンド)。当時のメタル・シーン内部にいた監督ならではの視点と演出、関係者たちへの緻密な取材で、当時の音楽と世界観、メンバーの心情を繊細かつ大胆に描写しました。

音楽を担当するのは、アイスランドを代表するポストロックバンドのシガー・ロス。北欧音楽の才能が結集。映画に厚みを持たせています。

キャストはなんと、スウェーデンやノルウェーの俳優ではなく、アメリカ人俳優をメインに起用。舞台はノルウェーですが、会話は英語で繰り広げられます。注目は、メイヘムを立ち上げた主人公のユーロニモス。なんと、『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンの実弟、ロリー・カルキン。準備に1年間かけ、役になりきったそう。

途中からものすごく印象的だったのは、彼の瞳の美しさ。声も一人落ち着いていて、カリスマ性を感じます。繊細で優しく、ヴォーカルのデッドを亡くし、テッドの死を利用したことにより知名度を得たことに、どう感じたのか。



また、キーマンのベルゲン出身のヴァーグを演じたエモリー・コーエンの演技も必見。ふっくらとした体形で大きなクリクリとした目を持つ穏やかな雰囲気の彼から発される言葉は非常に挑発的。そして実行してしまうその狂気に圧倒されます。

仲間の一人、ファウストを演じたのは、スウェーデンのスカルスガルド一家の5男、ヴォルター・スカルスガルド。長い髪の毛から覗く瞳からは、まだあどけなさを感じます。ヴォルター・スカルスガルドにも注目です。

脚本を担当したデニース・マグナソンは、日本で2012年に公開されたノルウェー映画『孤島の王』を手掛けた人物。『孤島の王』は、ヴォルター・スカルスガルドの父で、北欧を代表する俳優、ステラン・スカルスガルドが出演しています。(こんなところで繋がっているとは!)

▼『孤島の王』
http://www.hokuwalk.com/News/page/page_id/012012040900015001



予想通り、物理的にも心理的にも多くの血が流れます(R18指定)。それぞれの持つ才能をリスペクトしつつも、嫉妬し、愛が見え隠れして、とにかく切ない。辿り着いたのは天国だったのか、それは地獄なのか。最後のユーロニモスの言葉が響くこと間違いなし。お聞き逃しなく!

バンドの名声を夢見た北欧ノルウェーのブラック・メタルバンド「メイヘム」の真実と虚構の物語。映画『ロード・オブ・カオス』は、3月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか、以降順次公開!

【ストーリー】
1987年、ノルウェー・オスロ。19歳のギタリスト、ユーロニモスは、ヴォーカルのデッドたちとともに「真のブラック・メタル」を追求する全く新しいバンド「メイヘム」の活動に熱中。デッドの過激な行動により「メイヘム」は熱狂的にブラック・メタル・シーンに受け入れられる。しかしある日、テッドがショットガンで自殺。発見者のユーロニモスは遺体の写真を撮り、頭蓋骨の欠片を友人らに送付、宣伝することでカリスマ化。インナーサークルを作り、王として君臨するように。しかし、メンバーのヴァーグが起こした教会放火を機に、主導権争いが熾烈化。歯止めが効かなくなった果てに待ち受けていたものは――。



ロード・オブ・カオス

出演:ロリー・カルキン(ユーロニモス)、エモリー・コーエン(ヴァーグ)、ジャック・キルマー(デッド)、スカイ・フェレイラ(アンマリー)、ヴォルター・スカルスガルド(ファウスト)
監督・脚本:ジョナス・アカーランド(『SPUN/スパン』)
脚本:デニース・マグナソン(『孤島の王』)
原作:『ロード・オブ・カオス ブラック・メタルの血塗られた歴史』(著:マイケル・モイニハン、ディードリック・ソーデリンド)
音楽:シガー・ロス(『バニラ・スカイ』)
原題:LORDS OF CHAOS/2018年/イギリス・スウェーデン・ノルウェー合作/117分/R18+/字幕監修:川嶋未来(SIGH)
配給・宣伝:AMGエンタテインメント、SPACE SHOWER FILMS

http://lordsofchaos.jp

© 2018 Fox Vice Films Holdings, LLC and VICE Media LLC

2021年3月26日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー。以降順次公開。

​​​​​​​


(2021年02月22日更新)
このページの先頭へ