※画像は、メッツァ・パビリオン会場展示より(以下同じ)
9月7日(火)から10日(金)まで、駐日フィンランド大使館敷地内にあるメッツァ・パビリオンにて「LIFESTYLE FINLAND WEEK」が開催されました。4日間にわたり、ファッションを中心に、全10のフィンランドブランドが紹介されたイベントです。
【9/7-10】メッツァ・パビリオンにて「LIFESTYLE FINLAND WEEK」開催
本日は、足を運べなかったという方、オンラインも見逃してしまったという方のために、(北欧区が参加した)ファッションブランドIvana Helsinki(イヴァナ・ヘルシンキ)のトークショーでのお話をピックアップしてお届けします。(筆者は全3つのトークショーのうちの2つに参加)
まずは、現地フィンランドより、Ivana Helsinkiの創業者でデザイナーのパオラ・イヴァナ・スホネンさんがショップ兼オフィス内部を案内してくれました。その後、来春夏の新作コレクションをはじめ、Ivana Helsinkiのデザインの特徴やシグネチャーパターンを紹介。さらには、海外のショーでの驚きのエピソードまで披露。フィンランド出身で駐日フィンランド大使館商務部のラウラ・コピロウさんもトークを盛り上げてくれました。
ショップ兼オフィスをパオラさん自らガイド!
閑静な住宅街は幼少時代に住んでいた場所。
1998年創業のIvana Helsinkiは、北欧のウィメンズブランドとして唯一パリコレクションに正式参加した北欧を代表するブランド。フィンランド出身のパオラ・イヴァナ・スホネンさんによって立ち上げられたIvana Helsinkiは、パオラさんの幼少期の思い出や夢、風景や自然がモチーフになっています。人気のオリジナルテキスタイルは、過去と現在をミックスさせたデザインワークが特徴的。アートとシネマをブランドのテーマに掲げていることから、毎シーズンのフィルム制作にも注力しています。
ショップ兼オフィスは、パオラさんが幼少期に住んでいたという、ヘルシンキ東部の閑静な住宅地にあります。ショップの一角には、スイミングプールを改装したというスペースも。大きな窓のあるお気に入りのオフィススペース、ご自身のデスクなども見せていただきました。「ぜひここも見てもらいたいんです」と、窓からの光がたっぷり入る高い天井のあるお手洗いも見せてくれました。
今はもう秋になってしまったので片付いていましたが、広いテラスは、夏至のパーティーなども開くことができる多目的スペース。屋外にチラっと、エーロ・アールニオのパスティルチェアが見えたかと思ったら、オフィス内にもアールニオのボールチェアが2脚ドーンと置かれていました。アルテックの照明などもあり、フィンランドデザインに囲まれた空間に目が忙しい(笑)犬の声が聞こえたと思ったら、どうやらオフィスでパオラさんと私達を呼んでいたようです(?)
デザインのインスピレーションは幼少期の記憶から。
可愛さの中に、ロックで自由なマインドをミックス。
パフスリーブといった可愛らしいドレスのデザインの中にも、ちょっとした捻りやロックで自由なイメージのプリントなどを取り入れるのがIvana Helsinkiの特徴。例えば、花と稲妻のモチーフが組み合わさっているデザインは、可愛らしさだけでないイメージを与えます。ファブリックプリントは全てがオリジナルで、アーカイブは1万点以上もあるそう。プリントやワンピースドレスがコア商品です。
Ivana Helsinkiのデザインは、パオラさんが幼い頃に集めていた花々をモチーフにしたものや、自然、草花(花菊/デイジー)、ヒッピースタイルにスカンジナビアデザインを加えたものが特徴だとパオラさん。
例えば、フィンランドの夏のはじめに一面に咲くたんぽぽの花をモチーフにしたパターンや、パオラさんの祖母の家にあったレトロな手描きプリントからインスパイアされたもの。さらには、キンポウゲ(Leinikki)の花を散りばめた、背景が暗めで花がシルエットになっているようなデザインなど。
また、Ivana Helsinkiでは、過去のコレクションとの繋がりを持たせていく、残していくという手法を取っており、新作デザインに過去のパターンを加え、見るたびに新しい発見があるというのも特徴の一つ。
さらには、通常、テキスタイルはパターンをリピートして作られるのですが、Ivana Helsinkiでは、一定のリズムにせず、実際の自然の形を感じさせるために、モチーフを自由に配置しているそう。例えば、それが花だったりすると、まるで実際の花畑を彷彿させたり、リズミカルに配置しないことでユニークで自由を感じるデザインになっています。
現地フィンランドと繋いで行われたライブトークショー
Ivana Helsinkiが直面した騒動とは?
仏や米での思い出深い仰天エピソード。
パオラさんは、国外でショーを開催した時の、思い出深いエピソードをいくつかシェアしてくれました。
Ivana Helsinkiのアイコン的なモチーフには、花や蝶々、鹿などがあります。その鹿をあしらった「バンビ」コレクションは、Ivana Helsinkiの代名詞的存在。フランスのパリでショーを開催した時は、「小さな国からやってきた新参者のブランドなので、人が来てくれないかもしれない」と心配したパオラさんたちは、レストランなどにチラシを配りまくったそう。
しかし、蓋を開けてみたら、なんと、会場のホテルの前に大行列が出来ており、セレブらが中に入れない、どこからともなく叫び声が聞こえる、といったカオスな状態に陥ったとか!この時点で、Ivana Helsinkiのロック的マインドを感じますね。
また、パオラさんが勉強のために渡米していた2011年に、ニューヨークで開催したショーでの出来事も強烈でした。アメリカのドナルド・トランプ前大統領の元妻、イヴァナ・トランプ氏より、「イヴァナ」の使用を巡って訴えられたというお話です。
「ニューヨークのファッションショーでのクレイジーな話です」と切り出したパオラさん。「イヴァナ」の使用は商標違反だということで、グーグルで調べたパオラさん顔写真の紙と訴状を持って、トランプ氏の代理人がショーの会場に乗り込んできたそう。
しかしながら、インターネットで調べた写真と、ショーの時のパオラさんのルックスが違うように見えたため、パオラさんはその代理人に捕まらずに済んだのだとか。ちなみに「イヴァナ」は、パオラさんのセカンドネームで、創業時からずっと使い続けてきたもの。
このことは1年ほどで和解できたそうですが、アメリカの新聞記事にはたびたび、“小国のファッションブランドが、大国に訴えられた”といった見出しが登場し、結果、「私達には大きなPRになりました」と、思わぬことに巻き込まれてしまったけれど、結果オーライだったようです。
好評だったPLAZAやユニクロとのコラボ。
今後も、日本企業とのコラボはある?
Ivana Helsinkiは、過去には、PLAZAやユニクロなど、日本企業とのコラボレーションが見られました。
トークショーで、駐日フィンランド大使館のラウラさんは、「物欲はないほうなのに、(Ivana Helsinkiと日本のコラボが)嬉しかったので、たくさん買った記憶がある」と話していました。
PLAZAとのコラボは、筆者もノートを数種類購入した記憶があります。バンビや星モチーフのグラフィック、マトリョーシカのデザインのものがありました。他の雑貨もとても可愛く、素敵だったのを覚えています。
パオラさんは、「商品の方向性とプリントをどういう風にマッチさせるか悩みました。一つは、アイコニックなバンビ。もう一つは、80年代のイメージも入れました。あと、サードコレクションでマトリョーシカ。スラヴとスカンジナビアの融合として使いました。祖母がロシアによく行っていたんです」と、PLAZAとのコラボデザインについて触れました。
また、ラウラさんは、「フィンランドの企業で初めて、ユニクロとコラボレーションしたんですよね。ユニクロとのコラボ商品も購入しました」と笑顔。
「ユニクロは、非常にカジュアルなウェア。30種以上のグラフィックを使用しました。いろんなプリントが使われています」とパオラさん。筆者もスカーフを購入しました。この時はグラフィカルなデザインが多かったと思いますが、ユニクロのシンプルなウェアのスパイスになっていました。
また日本企業とのコラボレーションは今後あるのでしょうか。今後のIvana Helsinkiの活躍、展開にも注目です。
<メッツァ・パビリオン会場展示>
会場では、Ivana Helsinkiの最新のウェアやアクセサリー、ブランドを代表するデザインやアイテムが展示されました。
Ivana Helsinki
http://www.ivanahelsinki.com/
▼マトリョーシカやバンビのパターンデザインの画像はこちらで見ることができます。http://andfika.co.jp/licensing/ivana-helsinki.html
写真提供:アンドフィーカ