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【映画】階級社会と価値観を痛快に覆す!R・オストルンド監督最新作『逆転のトライアングル』(2/23公開)




本日は、2月末に公開される話題作『逆転のトライアングル』をご紹介!鋭い人間観察眼とセンスの良さを髄所に感じるブラックユーモアで楽しませてくれるスウェーデンの鬼才、リューベン・オストルンド監督の話題作です。

リューベン・オストルンド監督は、『フレンチアルプスで起きたこと』(14)で、第67回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(17)で、第70回カンヌ国際映画祭最高賞であるパルムドールを受賞。さらに、この最新作『逆転のトライアングル』(22)が、第75回カンヌ国際映画祭で再びパルム・ドールを受賞し、2作連続で最高賞を受賞するという快挙を成し遂げています。リューベン・オストルンド監督は、ビレ・アウグスト監督とミヒャエル・ハネケ監督に次ぐ、カンヌ史上3人目の2作品連続パルムドール受賞者となりました。

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『逆転のトライアングル』の舞台は、ファッション業界。物語を引っ張っていくのは、モデルで人気インフルエンサーのヤヤと、若干落ち目の男性モデルカールの美男美女カップル。二人は、ヤヤが招待を受けた豪華客船クルーズの旅へ。億万長者のアプリ開発実業家や、ロシアの新興財閥「オリガルヒ」、家族経営で武器製造会社を営んでいた英国人老夫婦といった超お金持ちと乗り合わせます。また、アルコール依存症の船長、高額チップのためなら何でもするクルーらなど、クルーズ船の中はクセ者だらけ。

そんなある日、船長と共に豪華ディナーを楽しむはずの夜に、酷い嵐で船が難破。船内はカオスと化し、さらに、なんともアンラッキーなことに、船は海賊に襲われ、無人島に流れ着きます。食べ物も水もSNSもなく、階級も社会的立場もなくなった無人島で、突如、階級ピラミッドの頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群のトイレの清掃婦でした。



出演は、人気に陰りが見え始めたイケメンモデルのカールには、『マレフィセント2』の英国出身俳優ハリス・ディキンソン、人気インフルエンサーであり、カールの恋人でもあるヤヤは、本作が遺作となった南アフリカ出身のチャールビ・ディーン(2022年8月に32歳の若さで他界)。無人島で予想外のサバイバル能力を見せるトイレ清掃婦のアビゲイルには、本作でゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされたフィリピン出身のドリー・デ・レオン、さらには、『スリー・ビルボード』などでアカデミー賞®に3度ノミネートされたアメリカの名優ウディ・ハレルソンがアル中の船長を演じました。



物語は3章に分かれており、最初の舞台はファッション業界、次はクルーズ船、最後は無人島。冒頭からファッション業界にありそうな皮肉がコミカルに描かれていて、見ている者の心を掴んでいきます。

クルーズ船の野外ショットは、かつて“20世紀最大の海運王”と言われたオナシス家が所有していたという船「クリスティーナ・オー号」を使って撮影されました。「その船を沈没させた時は、とても愉快なメタ的要素が加わったと思った。あの船は60、70年代のエリート層の力強い象徴のようなもの」と、オストルンド監督。

船での撮影時に、コロナが拡大。ロックダウンに入る直前に撮影を終えることができたとか。「あと数日ロックダウンが早まっていたら、本作は完成していなかったかもしれない」と話していたそうです。



以前、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の日本公開時に来日したオストルンド監督に、お話しを伺った際、こちらの新作を手掛けている途中だったようで、めちゃくちゃ話したそうで仕方がない!といった感じでした(笑)監督が本当に楽しそうに話すので、凄く面白いものに違いないと、日本公開を楽しみにしていました。

オストルンド監督の鋭い人間観察眼、重たくなりがちな際どいテーマを、ブラックユーモアでさらりとかわす芸術的なスタイルは期待を裏切らない。どんな風に展開していくのか、最後まで目を離せない作品です。

生きていく知識と技術を持ち合わせている、トイレの清掃婦だった女性により、それまでの階級社会のピラミッドがひっくり返った瞬間は痛快!ぜひお見逃しなく!

リューベン・オストルンド監督が描く社会風刺、ブラックユーモアのセンスが光る『逆転のトライアングル』は、2023年2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ日比谷他、全国ロードショー。



逆転のトライアングル
監督 & 脚本:リューベン・オストルンド(『フレンチアルプスで起きたこと』、『ザ・スクエア  思いやりの聖域』)
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン  他
原題:Triangle of Sadness/2022年/スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス/カラー/
シネスコ/5.1chデジタル/147分/字幕翻訳:稲田嵯裕里
配給:ギャガ
http://gaga.ne.jp/triangle

2023年2月23日(木・祝)、TOHOシネマズ  日比谷  他  全国ロードショー

Fredrik Wenzel © Plattform Produktion



(2023年03月23日更新)
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