頑固な老年男性、オットーを演じるのは、名優トム・ハンクス。
スウェーデンの人気作家、フレドリック・バックマンによる世界的ベストセラー小説「幸せなひとりぼっち(En man som heter Ove)」。同タイトルで2015年にスウェーデンで映画化され、日本でも2016年に公開された作品を、覚えている方、またはご覧になった方は、いらっしゃいますか?
スウェーデンで国民の約5人に1人が観たという大ヒット作。口コミで評判が海外にも広がり、ハリウッドでリメイクされることになりました。ハリウッドリメイク版では、『オットーという男』というタイトルで、3月10日より日本で劇場公開されます!
『幸せなひとりぼっち』の頑固な老年男性のオーヴェは、ハリウッド版ではオットーという名前に。しっかりと北欧系の名前になっているところがポイントです。ルールにも他人にもやたらと厳しく、常に機嫌が悪いオットー。妻に先立たれ、会社はクビ、生きる目標も気力も失い、自らの手で人生に終止符を打とうと試みるも、近所に引っ越してきた賑やかな家族の度重なる訪問に邪魔をされ、ネコの世話をすることになるところも全て、スウェーデン版に忠実に作られています。
嫌われ者のオットーを演じるのは、2度のアカデミー賞に輝く名優トム・ハンクス。そして、本作を手掛けたのは、『プーと大人になった僕』や『ネバーランド』など数々のヒューマンドラマを手掛けてきたマーク・フォースター監督。また、メキシコで最も人気のあるコメディ女優の一人、マリアナ・トレビーニョが賑やかなご近所さんのマリソルを好演。トム・ハンクスと相性抜群の演技を見せています。
主題歌「Til You're Home」は、女優でシンガーソングライターとしても活躍するリタ・ウィルソンが手掛けました。本作に魅せられたトム・ハンクスがプロデューサーを担当し、ハンクスの妻であるウィルソンもまた、フォースター監督から依頼を受け、曲を担当することになったそうです。
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人生にある笑いと涙と喜びを、いっぱいの愛で教えてくれる『幸せなひとりぼっち』【特集】より深く楽しめるエピソード満載!『幸せなひとりぼっち』ハンネス・ホルム監督インタビューリメイク版をあまり見る機会のない筆者は、ハリウッド版は一体どんな風になっているんだろう、全く描き方が違ったりするんだろうかと、興味津々。ご近所の家族は、イラン人家族からメキシコ人家族だったりと、ところどころ、ローカルに合わせた設定になっている部分もありました。
はっきりと言えるのは、『オットーという男』は、『幸せなひとりぼっち』を見ている人でも、同じストーリーにも関わらず、描き方やアプローチで、こんなにも涙が止まらないものなのかということでした。新鮮な気持ちで見ることが出来ましたし、いつまでも続く余韻に、圧倒されました。
キャラクターが魅力的なのはスウェーデン版も突出しているのですが、妻との回想シーン、恋人時代、新婚時代のシーンが絶妙なタイミングで入り、オットーの過去と現在の対比、彼の生きてきた人生がより色濃く映し出されているのを感じました。
お世話をするハメになったネコは、スウェーデン版もハリウッド版も、モフモフのネコが登場。
少しネタバレになってしまいますが、自分の信念をどこの車のメーカーかで表現するシーンがあり、スウェーデン版ではスウェーデンの国産メーカー、サーブとボルボが出てくるのですが、ハリウッド版では、アメリカ国産車の名前が出てくるところが面白いです。
このシーンは、スウェーデン版を手掛けたハンネス・ホルム監督がインタビューで、「映画の本筋とは関係なかったけど、気に入ったエピソードだったのであえて入れました(笑)」と話しているように、そのユーモアあふれる車のお話のくだりにも、ぜひ注目してみてくださいね。(外国車メーカーの使い方も面白かったですよ!)
また、スウェーデン版のリスペクトを感じるセムラを食べるシーンも必見。舞台はアメリカですが、随所に感じる“北欧”にも注目してみてくださいね。
純粋にハリウッド版を見て楽しむのも良し、スウェーデン版の映画や原作などを先に見ていても楽しめます。『オットーという男』は、2023年3月10日(金)より、全国の映画館で公開!
オットーという男監督:マーク・フォースター
脚本:デヴィッド・マギー
原作:フレドリック・バックマン「幸せなひとりぼっち」(ハヤカワ文庫)
出演:トム・ハンクス、マリアナ・トレビーニョ、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、レイチェル・ケラー
2022年/アメリカ/原題:A Man Called Otto
https://www.otto-movie.jp/2023年3月10日(金)より、全国の映画館で公開