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【展覧会レポート】おなじみから希少な一点ものまで。リサ・ラーソンの創造の全貌に迫る(リサ・ラーソン展 @ 松屋銀座 6/5迄)



展示の最後にはフォトスポットもありますよ!


松屋銀座にて開催中の「リサ・ラーソン展 知られざる創造の世界  —  クラシックな名作とともに」。日本で4度目の開催となる今回のリサ・ラーソン展では、陶芸家リサ・ラーソンの「既に知られているリサ・ラーソン」と「まだ知られていないリサ・ラーソン」にフォーカスした約250点が披露されています。

会場のショップでは、フィギュアをはじめ、ふきんや手ぬぐい、テーブルウェア、文具といった暮らしに便利なグッズ、可愛いパッケージでギフトにもぴったりのスイーツといった豊富なアイテムで最後まで楽しませてくれます。もう行ってきたよという方、いらっしゃいますでしょうか。




所狭しと並ぶリサ・ラーソングッズ。スイーツから生活雑貨、フィギュアまで豊富な品揃え


本日は、初日の開会式にゲスト出演したスウェーデン出身の俳優・庭師の村雨辰剛さん(以下、村雨さん)と、開会式の司会を務めたスウェーデン出身の落語家、三遊亭好青年さん(以下、好青年さん)の二人を囲んで、メディア向けに行われたトークの模様、そして、展覧会のレポートをお届けします。


「マイキーのポップアップカード」作りにトライし、作品を見せてくれた村雨辰剛さん(左)と三遊亭好青年さん(右)奥に見えるのは、リサのネコ作品を集めたコーナー


元々知っていたけれど、日本に来てからリサ・ラーソンの作品の素晴らしさを知り、今ではすっかりファンという村雨さんは、「リサの作品はスウェーデンらしさを感じるし、大人な感じで、でも可愛らしさもあって。日本の人が見て、可愛いと思うだろうなと。作品の中に日常感があり、繋がりを感じさせる点が魅力だと思います」と、リサ・ラーソンの人気の秘密を分析。

特に、「ネコのミア(大きな動物園シリーズ)」がお気に入りだという村雨さんは、「『ネコのミア』を見ると、芽吹(めぶき/村雨さんの愛猫の三毛猫)のことを思い出しますね」と村雨さん。斜め上を見上げる、なんともいえない表情が芽吹ちゃんを感じると話し、リサのネコ作品が勢揃いしたコーナーは「たまらないですね」と笑顔。

また、好青年さんは、スウェーデンに居た頃は当たり前のような存在だったというリサの作品。日本に来てから、こんなに人気があるんだと驚いたそうです。「とにかく、リサは動物が好きなんだなと感じますね。でも、狙って可愛らしく作っているのではなく、リサが見たもの、感じたものをそのまま形にすると、たまたまこんな風に可愛らしくなった、という感じがします」と話していました。

ここで少しだけ、ペットトークになった二人。村雨さんの愛猫、芽吹ちゃんは、村雨さんが帰宅すると、犬のように寄ってきて出迎えてくれるのだとか。スウェーデン南部のスコーネ地方の生まれで、小さい頃から豊かな自然のある場所で、馬や豚、鶏やウサギといった、たくさんの動物に囲まれて過ごした村雨さん。「正直いって、田舎です(笑)」と、スウェーデンの先輩LiLiCoさんからもいつもイジられているというエピソードも披露。

犬のようになついて寄ってくる村雨さんの愛猫の話を聞いて、好青年さんは、「私のスウェーデンの実家のネコはまったく寄ってこないですよ。わざと無視していると思います。人を見ていますね(笑)」と笑いを提供。村雨さんの出身地をぼかしつつ「田舎」だと言っていた好青年さんの生まれは、「スウェーデン第4の都市、ウプサラ」(スウェーデン最古のウプサラ大学のある街)。

「日本でいうと、どのあたりになりますか?福岡くらいでしょうか?」と質問者が尋ねると、「うーん、多摩センターくらいかな?(笑)」と好青年さん。スウェーデンと日本を織り交ぜながら、最後までトークを盛り上げてくれました。



会場は、ゆったりとした会場設計になっています。皆さんのお気に入りの作品はどの作品ですか?






リサ・ラーソンの名作たちがずらり。動物フィギュアに目が行きがちですが、女性や子どもをモチーフにした人物像も多数あります。




アドベンチャーゲーム「人喰いの大鷲トリコ」とのコラボ作品


不思議な架空の動物フィギュアも多く披露されていました。中には、2016年発売の少年と巨獣の絆を描くアクションアドベンチャーゲーム「人喰いの大鷲トリコ」(PlayStation4用ソフトウェア)とコラボレーションした作品も。リサは、「人喰いの大鷲トリコ」の少年と大鷲トリコとの間に芽生えた不思議な絆を陶器で表現したそうです。



動物や人物のイメージが強いリサの作品ですが、建物も頻繁に造形作品やレリーフのテーマとして取り上げていました。リサにとって、家は安心感の象徴だったそう。丸みを帯びた作品が多い中で、リサの角ばったフォルムはとても新鮮。建物でも彼女の作品らしく、とても表情豊かです。


装飾的な丸形モチーフは、日本の家紋のよう。



メディアで作品や生活が広く紹介されたリサ・ラーソン。リサ自身のコレクションから出品された貴重な資料も展示されています。


子どもをモチーフにした作品も多数。お顔がなんとも愛らしい。


これまでに目する機会が少なかった原型作品やユニークピースといった希少な作品群も。学生時代や若手の頃に、色々な表情を与えることができる粘土の可能性にリサが魅せられていたことがわかる作品が並びます。



例えば、ヨガに大きな関心を持っていた頃、自身でも実際にヨガを行い、作品づくりの発想源にしていたようです。緊張した時や動いている時に体が持つ感覚、力強さを表現しようとしました。





これまでに多くの企業とコラボレーションしてきたリサ。1970年代にはレリーフ状の動物や薄い吹きガラスの器などを手掛けたり、限定商品として鋳造されたブロンズ作品があります。このような陶芸以外の作品も、コレクターの高い関心を集めているようです。



リサの夫、画家で版画家のグンナル・ラーソンは2020年にこの世を去りました。尊敬しあい、インスピレーションを与えあっていた二人。粘土を用い、リサからの影響を感じる彫刻やレリーフ作品が並びます。



リサ・ラーソンは、自身が大学で陶芸を学び、若手陶芸家だった1950年代、将来日本で展覧会を開催することは夢にも思わなかったといいます。それでも、いつも日本の芸術や美学に尊敬の念を抱き、インスパイアされてきました。「スウェーデンと日本は遠く離れているのに、日本を身近に感じることが多かった」というリサ。作品の中には、日本からインスピレーションを得て制作したものもあります。

現在でもなお、制作を続ける彼女は、子どもたちに創作を支えてもらい、孫たちから新しいアイデアをもらいながら、ひ孫たちに囲まれて幸せに過ごしているとのこと。次にどんな素敵な作品が生まれるのか、まだまだリサから目が離せない!今後の活躍にも期待です。



リサ・ラーソン展
知られざる創造の世界  —  クラシックな名作とともに
Lisa Larson:Seen and Unseen

会期:2023年5月17日(水)~6月5日(月)会期中無休
会場:松屋銀座 8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1)
時間:10時~20時  日曜は19時30分まで ※最終日は17時閉場。入場は閉場の30分前まで https://www.matsuya.com/ginza/events/2023/0421/lisa-larson/

▼巡回先予定
2023年7月8日~8月27日 秋田・アトリオン
2023年9月9日~11月19日 北海道立帯広美術館
2024年3月2日~5月28日 滋賀県陶芸の森陶芸館
2024年6月8日~8月25日 岐阜県現代陶芸美術館
※日程・会場は変更になる場合あり

▼今年で国内4回目の開催!
「北欧の豊かな時間 リサ・ラーソン展」(松屋銀座)開催!(2014年9/11-23)
未発表&レア作品多数!「北欧を愛するすべての人へ リサ・ラーソン展」開催中(2017年9/13-25)
「リサ・ラーソン展 創作と出会いをめぐる旅」、東京・松屋銀座を皮切りに全国を巡回(2020年2/23-3/4)
動物フィギュアだけじゃない!まだ見ぬリサのディープな世界「リサ・ラーソン展」(2023年5/17-6/5)




(2023年05月30日更新)
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