2012/07/17

【特集】全国巡回展「フィンランドのくらしとデザイン-ムーミンが住む森の生活」(宇都宮)

全国巡回展
「フィンランドのくらしとデザイン-ムーミンが住む森の生活」
The Essence of Finnish Design and Culture
Mythology, Moomin, and People in the Intimate Wilderness
日時:2012年6日10日(日)~8月26日(日)
会場:宇都宮美術館(第ニ会場)


  6月10日より、第ニ会場・宇都宮美術館へと会場を移した「フィンランドのくらしとデザイン」展。少しばかりの湿度を感じつつも、まだ肌寒さを感じた6月半ば、待ちに待った展示会へ行ってまいりました。
宇都宮駅からバスに揺られること約25分。きれいに建ち並んだ住宅街になってくると、あたりは一気に森の中へ。さあ、いよいよ森のフィンランドの旅のはじまりです。
 
   
   
 
 
 


緑の清々しい香りと空気に包まれ、頭も心もすっかりリラックスモードに。
展示会メインロゴとなる、ユホ・ヴィータサロ氏デザインのNuppuのポスターが見えてくると、ああ、ここだと確信。胸が高鳴ります。
   
         
 
(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture
エントランスから正面受付を経て右方向へ進むと、ピンク・ブルー・グリーンの見覚えあるNuppuがお出迎え。
東京・Bunkamuraで開催されていたプレイベント「フィンランドのくらしとデザイン展への招待」以来、すっかりお馴染みのデザインです。

 
         
         
  「森の家」を中心にぐるりと展示されている広々としたスペース「中央ホール」ほかに、2つの会場があります。展示は下記の3つの時代に分かれて紹介。フィンランドの絵画・文学・建築・工芸作品など、展示は約350点にものぼります。

【第1章】フィンランド・デザインの黎明~森に育まれたナショナル・ロマンティシズムと近代(19世紀末から20世紀初頭)
【第2章】モダン・デザインの黄金時代~くらしから生まれ、くらしを豊かにする「グッド・デザイン」(ミッドセンチュリー)
【第3章】「グッド・デザイン」で生み出す持続可能な社会~森とともにある都市と、未来のために(2000年代)

右写真の「森の家」は、栃木県日光市に住む空間アーティスト、小坂憲正氏によって建てられました。

(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture
   
         
 
     
 
 
(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture
フィンランドの別荘や野山には、子供たちが夏に集い、遊ぶための手づくりの「森の家」がよく見られるそうです。

フィンランドの子供たちが遊びそうな玩具や可愛いグッズも一緒に展示されています。中を覗いていると、思わず入りたくなる衝動にかられますが、ここはグッとガマン(笑)

絵本の中に出てくる秘密基地のような小屋。フィンランドの子供たちはわくわくしながら過ごしたりしているのでしょう。
   
         
         
  まず1つ目の会場に入ると、フィンランドの画家たちが描いたフィンランドの風景を眺めることができます。奥に見える作品は、夏を描いたエーロ・ヤルネフェルト(1863~1937)による「スオミの風景」。

また、冬は炉辺、夏は戸外で音楽を楽しんできたというフィンランド人。手前に見えるのは白樺の皮で出来た民族楽器「トゥオヒトルヴィ」。どんな音色が出るのか、気になるところです。

(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture
   
         
         
   
(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture
フィンランドの歴史を語る上で外せない「カレワラ」神話にまつわる貴重な作品をはじめ、アルヴァ・アアルトとともに2大巨匠と言われ、ヘルシンキ中央駅を デザインした建築家としても知られるエリエル・サーリネンが手がけた貴重な図面や家具、インテリア作品なども数多く展示されています。    
         
         

 
(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish Design and Culture

 
 
         
  2つ目の会場に入ると、奥のほうから目に飛び込んでくるのは、色鮮やかなファブリックたち。フィンランドを代表するアパレルメーカー、マリメッコ社の代表的な生地がずらりと展示されています。この部屋では、フィンランドの「衣食住」が紹介されており、人々をハッピーにするデザインと生地のクオリティ、流行に左右されないシンプルなフォルムで子供からご高齢の方まで幅広く愛される「衣」の代表・マリメッコ社。「食」は人々の暮らしに根付いているカイ・フランクの「キルタ」やタンブラーシリーズで知られるイッタラ社。「住」は、アルヴァ・アアルトのデザインで、あらゆるシーンで見ることができるアルテック社の家具が展示されています。
     
         


(c)Utsunomiya Museum of Art / The Essence of Finnish
Design and Culture

    フィンランドを代表する家具メーカー、アルテック社のコーナーでは、巨匠アルヴァ・アアルトのチェアや、彼が手がけた「木工レリーフ」が壁に飾られていました。

アアルトは自然と人間が対話し、豊かな暮らしを送ることができるような建物や環境のデザインを心がけたそうです。アルテック社は現在もアアルトがデザインしたチェアや照明の生産を行う一方で、古いスツールを集めてリサイクルをする「セカンド・サイクル」というプロジェクトを推進中。アアルトが築いた精神を後世に伝えようとしています。


       


自然と人間が共存・対話し、豊かな暮らしを築いていこうとするフィンランドのスタイルは、21世紀に入っても受け継がれており、フィンランドの未来への取り組みなども必見。今後のフィンランドの動きにも目が離せません。

森の中にいるような心地の良いレストラン&カフェや、企画展にまつわる、ここでしか見られないようなフィンランド・グッズ、さらにはフィンランド関連の書籍などを閲覧するスペースもあり、フィンランドの知識をさらに深めることができます。

宇都宮美術館は、8月26日(日)まで。他会場巡回予定。



       
         
         
 
 
    全国巡回展「フィンランドのくらしとデザイン-ムーミンが住む森の生活」
会期・会場:
2012(平成24)年4月7日(土)~6月3日(日) 青森県立美術館
6月10日(日)~8月26日(日) 宇都宮美術館
9月1日(土)~10月8日(月・祝) 静岡市美術館
10月19日(金)~12月24日(月・祝) 長崎県美術館
2013(平成25)年1月10日(木)~3月10日(日) 兵庫県立美術館

展覧会オフィシャル・ウェブサイト
http://www.finland-design.com/
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宇都宮美術館
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