2013/05/29

【特集】造形作家YOSHiNOBU ムーミンとその仲間たち

造形作家YOSHiNOBU ムーミンとその仲間たち



  2013年3月に開催され、反響を呼んだCASE galleryでの羊毛フェルトのムーミン展。そこで披露されたムーミンと仲間たちを手がけたのが、造形作家YOSHiNOBUさんです。贅沢にも、ムーミンワールドふたたび、といった素敵な空間での取材。「昨日お花を持ってきてくださった方がいて」と作品のそばに美しい花を添えてくださったYOSHiNOBUさん。柔らかな口調でスルスルと出てくる言葉には、作品づくりへの愛情と、原作者へのリスペクトに満ち溢れていました。

YOSHiNOBUさんの作るムーミンは、ムーミンキャラクターズ社公認。ムーミンを作ることになったきっかけ、作品づくりの苦悩、トーベ・ヤンソンへの想い・・・造形作家という視点からの興味深いお話です。
 
   
   
 


(展示会ポストカードより)


 
ムーミンとの出逢い。
初めて作ったキャラクターは「うみうま」

YOSHiNOBUさんがムーミンを作ることになったのは、昨年のこと。6年前から「立体」を作りはじめ、今年で7年目。中でも「動物」を作ることによって、YOSHiNOBUさんの中で「立体」の基礎を確立できたといいます。

これまでずっと手がけてきたものは、動物など、現存するものでした。それが、「原作のあるもので、他の作り手が手がけたものと対話してみたいと思うようになった」そうです。

       
         
そんな矢先、大のムーミン好きというわけではないのに、身近に実際に存在しそうな「ムーミン」に興味を抱くようになったYOSHiNOBUさん。

ちょうどなぜか自宅にあったムーミンキャラクターが「うみうま」で、花がついているこのユニークなキャラクターを作ってみたい!と思い、まずは小さな「うみうま」を羊毛フェルトで作ってみたのだそうです。

それを今回展示会を開催することになったCASE gallery代表の湯川氏に披露したところ、話が進み、ムーミンキャラクターズ社に公認され、日本でもムーミン制作の許可を取得。2013年3月の展示会開催に至りました。
 



         
         





 (展示会ポストカードより)        (展示会ポストカードより)
         
こちらが展示会で披露された、日本でも人気のスナフキン。

髪の毛があったり、なかったりと、スナフキン像もさまざま。ムーミンに大切なアドバイスをくれるお兄さん的な存在のイメージもありますが、実は「へのへのもへじ」のような、「誰でもない人」という設定なのだとか。
       
         

      展示会には黄色と赤色の服の2種類のリトルミイが登場。トーベ・ヤンソンが黄色の服を着たリトルミイの絵を描いていたので作ってみたそうです。「ミイだって着替えるだろうしね」とYOSHiNOBUさん。

注目はミイの洋服の裾あたり。「これは汚れ。ミィならそのあたりをゴロゴロと転がって、服が常に汚れてるんじゃないかと思って」なるほど、納得!
         
         
ムーミンキャラクター制作の壁。
まずは原作者トーベ・ヤンソンを読み解く

ムーミンキャラクターたちを制作するうえで困惑したのが、まず情報量がない中で制作するということ。生きている動物であれば、その道の専門家や図鑑などから、色々と情報を取得することができますが、架空のムーミンたちはそうはいきません。

原作の挿絵を見ても、キャラクターのサイズさえはっきりとわからない。服の色もシーンごとで異なる・・・「挿絵と文章もマッチングしないんですよね(笑)」 とYOSHiNOBUさん。
     

(「YOSHiNOBUがおくる羊毛フェルトの
ムーミン展」会場より)

       
         
     
まずは、ムーミンたちの向こう側に見え隠れする“トーベ・ヤンソン”を読み解く作業をしっかり行った後に、制作作業に入ったそうです。

ヤンソンは自分のことを「画家」と呼んでいたように、絵には彼女なりのこだわりがあった模様。背景が濃い色のときは、容赦なくキャラを白抜きにしてしまったり、服の色をコロッと変えてしまったり。

こちらはトゥーティッキ。モデルはヤンソンのパートナーだったとか。
(展示会ポストカードより)
     
         

         
         


ムーミンの原作者であり、画家であるヤンソンと対話をしながら、制作されたムーミンとその仲間たち。ムーミンパパやムーミンママ、スニフやモラン、ご先祖さま、ニョロニョロ、スティンキー、ミムラ、フィリフヨンカなどが、見る人の目線で楽しめる展示方法も反響を呼びました。
 

     (「YOSHiNOBUがおくる羊毛フェルトのムーミン展」会場より)     
         
         
   
   
         
    『ムーミンパパ海へ行く』のワンシーン。触れるものを凍りつかせてしまう氷の魔女「モラン」と、ムーミン。
   
      (「YOSHiNOBUがおくる羊毛フェルトのムーミン展」会場より)    
         
         
         
         
    画家「ヤンソン」との対話の末、ついに完成。
他のムーミンシリーズで今後も展示会を


「造形の作家が、画家のヤンソンを追いかけました」と語るYOSHiNOBUさん。彼女の言いたかったこと、表現したかったことと対話しながら。こうしてYOSHiNOBUさんのフェルトムーミンは完成したのです。

自身の羊毛フェルト作品を通じて、もっとムーミンを楽しんでもらえたらと願うYOSHiNOBUさん。展示会で並んでいたムーミンたちはもちろん購入可。オーダーが入ってから1体につき約3日間をかけ、じっくり、ていねいに仕上げます。(購入情報はページ最後に記載)

「大人のインテリアとして、デザイン家具に囲まれて飾られていても素敵だと思います。今回は『ムーミンパパ海へ行く』をイメージした展示でしたが、他のシリーズでも展示会をしてみたいですね。いろんなシーンやポーズの異なるものも作ってみたいです」
   
         
         

      愛称は“動物のYOSHiNOBUさん”

動物を作ることで知られるYOSHiNOBUさん。なぜ動物かというと、「みんなが知っているものを作りたかった」そうです。

動物を立体で作るとなると、骨格や筋肉のつき方、生態なども学びたい、ということで、本や写真だけでなく、動物園の年間パスポートを持ち、お目当ての動物たちを観察。それだけにとどまらず、キリンを制作するときにはなんと、キリンの飼育員の体験に応募。自ら世話をしながらキリンに触れることができたときは、 とてつもない感動があったとか。

「顔の中でも部分によって毛の感じが違うんです。触ったときの手から伝わる情報量はものすごい」
         
         
 
立体を作り続けて6年。
迷わなくなり、体が自然と動くようになってきたというYOSHiNOBUさん。鏡のように反射させながら形にして仕上げていきます。

たとえばこちらの「オオカミ」。筋肉や骨格を知り尽くしたうえで制作されているため、「犬」っぽくなりがちなところ、しっかり「オオカミ」とわかります。この迫力。高い技術が伺えます。
     
         
         
 



 
 
「馬」っぽくなりがちな「ロバ」もまた、「ロバ」であると区別がつきます。これも豊富な知識と確かな技術があるからこそ。

地球が創りだす生き物、その造形の美しさにあらためて気づかせてもらえるYOSHiNOBUさんの作品。今後もYOSHiNOBUさんの活動に注目です。
 

         

       

          YOSHiNOBU(ヨシノブ)

造形作家。
動物をモチーフに立体作品を制作。企画展参加や展示会・ワークショップを開催。インテリア誌やファッション誌をはじめ、メディアにも多数作品掲載。

2007・2008・2010年 阪急百貨店うめだ本店ショーウインドウに作品提供
2010年 NHK教育「おしゃれ工房」に出演
2010年 名古屋港水族館、「カメ」の企画展に作品出展
2011年 ホビーショーにてサンフェルト株式会社にディスプレイ提供
2011年 名古屋港水族館、「カエル」の企画展に作品出展
2012年 4月より東京を拠点に活動開始
2013年 
ムーミンキャラクターズと正式にライセンス契約をして、「羊毛フェルトのムーミンシリーズ」がスタート 

オフィシャルHP:http://yoshinobu.aikotoba.jp/ 
Facebookページ:羊毛フェルトのムーミン by Yoshinobu
   
               
               
               
               
               
取材&写真協力:CASE gallery 


【購入に関するお問合せ】
有限会社ケース
〒151-0065
渋谷区大山町18-23コートアネックス大山町1F
TEL : 03-5452-3171
MAIL : mail@casedepon.com
HP :
http://www.casedepon.com



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