ノルウェーのビンテージデザインを紹介する展覧会「NORWEGIAN ICONS(ノルウェージャン・アイコンズ)」が、6月21日、代官山のヒルサイドフォーラムにて開催。「北欧デザイン」というくくりの中で、これまでなかなか名前があがることのなかったノルウェーの、その時代のアイコンとなるデザインの数々が日本に上陸。計314点もの作品が披露されました。
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展覧会「NORWEGIAN ICONS」は、ノルウェー・オスロにある人気コーヒーバーFuglen(フグレン)が中心となって主催にあたっています。昨年5月には海外初出店、Fuglenとして第2号店となるFuglen Tokyoをオープン。ノルウェーのビンテージ家具やインテリアに囲まれたおしゃれな空間で美味しいコーヒーやカクテルをいただけるということで話題となっています。 オスロは世界最高品質のコーヒーが飲めるといわれるコーヒー王国。ニューヨークタイムズ紙のコラムニスト、オリバー・ストランド氏が、「飛行機に乗ってまで試しに行く価値がある」と絶賛しています。 |
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コーヒーバーFuglen は1963年創業。今年で50周年を迎えます。Fuglenでは、ノルウェー・バリスタ・チャンピオンのEinar Kleppe Holthe (アイナル・クレッペ・ホルテ)さんが厳選したノルウェーの4つのベストロースターのコーヒーが使用されています。 こちらは、昨年2012年5月のFuglen Tokyoオープニングのひとコマ。ちょうど来日されていたノルウェーのトロン・ギスケ貿易産業大臣が、Fuglen Tokyoのお客様第一号として、東京で初めて提供されるFuglenのコーヒーを召し上がるところです。 共同経営者であるバーマネージャーHalvor Skiftun Digernes (ハルヴォール・シフトゥン・ディーゲルネス)さんやヴィンテージエキスパートのPeppe Trulsen(ペッペ・トルルセン)さんたちも興味津々で覗き込んでいます。 |
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Fuglen Tokyoオーナーの小島さんから 提供されるFuglen Tokyo初のコーヒー |
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こちらがFuglenの共同オーナーの一人、アイナルさん。 1940~60年代、ノルウェーでは多くの革新的なデザイン家具やプロダクトが次々と誕生。デンマークやスウェーデン、フィンランドといった他の北欧諸国と共に成長しつつあったノルウェーデザイン界でしたが、北海油田の発見により、国自身が安定した収入を得ることができるようになってしまったことにより、1970年代以降めっきりとノルウェーのデザインビジネスは衰退してしまいました。 |
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現在の北欧デザイン界において、すっかり存在が小さくなってしまったノルウェーデザイン。ノルウェー人でさえ、忘れ去られつつあったノルウェー生まれのデザインたちをまずは母国ノルウェーの人々に知ってもらいたいということで、オスロを皮切りに「NORWEGIAN ICONS」がスタートしました。 日本の後は、第3号店を予定している米NYへと巡回します。 |
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オスロ会場の様子 |
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展覧会では、伝統的な彫金技法を用いたジュエリーをはじめ、ガラス器や陶器、照明、絵画、テーブルやチェアといった家具類など、ノルウェーの各時代を象徴するデザインがずらり。 印象的だったのは、和のテイストを思わせる黒い竹のディスプレイ。間仕切りのようになっていたため、ところどころに小さな空間が生まれ、思わず覗きたくなってしまいます。 |
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こちらは60年代を代表するアイコン的なチェア。Hans Brattrud(ハンス・ブラットルゥ)の「Scandia Sr.」。細く帯状にカットした木を曲げる技術により生まれました。非常にシンプルなフォルムでミニマムなデザイン。実験的な家具が多く生まれた時代だったとか。 「Scandia Jr.」(下画像参照)もブラットルゥの作品。なんでも国立工芸美術学校の学生時代にデザインしたものだとか。この日に行われたプレス向けのカンファレンスのときに、私たちが座っていたチェアが「Scandia Jr.」でした。とてもしなやかな座り心地。 |
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Scandia Sr.(1961年) |
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Scandia Jr.(1960年) | 奥に見えるのが「Scandia Jr.」 | ||
ノルウェーデザイナーの中でもかなり多くの作品を生み出しているのが、Sven Ivar Dysthe(スヴェン・イーヴァル・デュステ)。品質にこだわり、鉄やレザー、木材などを組み合わせるデザインが特徴的。60年代当時、輸出業にも活躍したデザイナーで、平らな形で輸出できる組み立て式の家具を考案しています。こちらの白いチェアは「Popcorn(1968年)」。 「Popcorn」はかつて、ノルウェーのアートギャラリーに置かれていましたが、1990年代、新しいアートディレクターの就任をきっかけに全て撤去。その後のチェアはヤコブセンのセブンチェアになってしまったという複雑な思いになるエピソードも。スヴェンは、80歳超えた今でも現役だそうです。 |
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「ノルウェー人でさえ、自国の作品に 無関心だった」とヴィンテージ担当の ペッペさん。 |
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壁にかかる絵画とテーブル真ん中にある 絵柄のある器は、多ジャンルで活躍した Hermann Bongard(ヘルマン・ボンガード)の 作品。 |
色とりどりのガラスの器やテーブルウェア。 大手ガラス工房Hadeland Glassverkはじめ、 ノルウェーには300以上ものガラス工房が あるのだそうです。 |
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今年2013年が生誕150周年ということで 「ノルウェーの近代芸術の父」と呼ばれた エドヴァルド・ムンクの絵画も並んでいます。 有名な「マドンナ」も展示(真ん中あたり)。 手前のカラフルな器はBjørn Engø(ビョルン・ エンゴ)作 |
ノルウェーデザインの特徴は「変化に富んでいる こと」「革新的であること」「多様性があること」 そして、「茶目っ気があること」だと、アイナルさん。 北欧デザインの流れを感じつつも、ノルウェー デザインの底知れぬ奥深さに惹かれてしまう 魅力的な内容となっています。 |
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NOREWEGIAN ICONS (ノルウェージャン・アイコンズ) 会期:2013年6月21日(金)~2013年7月7日(日) 開館時間:11:00~19:00 (最終日は16:00で閉館) ※会期中休館日なし 会場:ヒルサイドフォーラム & ギャラリー 東京都渋谷区猿楽町 18-8 ヒルサイドテラス 内容:ノルウェーのヴィンテージ家具、陶器、ガラス作品、アートなどの展示販売及び、リプロダクトの展示販売。カタログ、関連アイテムの販売。 主催:Norwegian Icons、FUGLEN 協力:Blomqvist、駐日ノルウェー王国大使館 Facebookページ: https://www.facebook.com/NorwegianIcons |
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参考ブログ記事:
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