2014/04/25

【特集】フィンランドを拠点に活動する3人のテキスタイルデザイナーによる合同展示会「フィンランド発 新たなテキスタイルの世界 手と手展」

フィンランドを拠点に活動する3人のテキスタイルデザイナー
角井みどり、アイノマリア・ハータヤ、サラ・ルンデンによる合同展示会

「フィンランド発 新たなテキスタイルの世界 手と手展」

会期:2014年4月17日~27日 会場:CASE gallery

フィンランドを拠点に活動する3人のテキスタイルデザイナー、角井みどり、アイノマリア・ハータヤ、サラ・ルンデンによる合同展示会「フィンランド発 新たなテキスタイルの世界 手と手展」へ行ってきました。

フィンランド国内での製作にこだわったというテキスタイル製品たち。テキスタイルという同じ分野を共に同じ学校で学んだ3人が、今年立ち上げたそれぞれのブランドの製品を初披露!

3つのブランドがフィンランドのテキスタイルを通じて伝えたいこと、3人のデザイナーの関係について、いろいろとお話を伺ってきました。

あたたかく迎えてくださったのは、フィンランドから来日中の角井みどりさんとサラ・ルンデンさん。みどりさんはご予定が入っていたのであまりお話ができず残念でしたが、サラさんがそれぞれのブランドについて、とってもていねいに教えてくださり、ついつい長居気味に(笑)ケースギャラリーさんにはそんなゆったりとした空気が流れているんですよね。


会場風景 photo:CASE gallery

●midori(ミドリ)
フィンランドに渡り25年になるという日本人デザイナー、角井みどりさんが手がけるブランド。ふだんは快適な都市部で生活し、仕事をしながらも、週末になると湖のほとりのサマーハウスでゆったりと過ごすフィンランド人のバランスのよいライフスタイルから生まれたそうです。
フィンランドの自然の中でのみどりさん自身の体験や視点がデザインに反映されているというミニタオルは素材にもこだわり、軽量で吸収力の高い竹の繊維を使用。さらには、オーガニックコットンを使ったミニタオルシリーズも展開。「フィンランド人には見えない、みどりさんならではの視点で表現されたデザインが素晴らしい」とサラさん。

●A.HAA(ア・ハー)
ア・ハーというブランド名はアイノマリア・ハータヤさんの名前と苗字の頭文字からとったもの。「なるほど!」という感嘆詞にも使われる言葉。伝統的なテキスタイル製品が、まったく新しい形となって生まれ変わり、人に「なるほど!」と思わせるような製品を提案しているそうです。
素材はフィンランドの織工房で織られたもの。東フィンランド地方の民族衣装で使われる、シャツ前部の飾りからインスパイアされた付け襟「レッコ」や、手首を冷えから守り、袖口の汚れも防ぐとこができる付け袖「ランネ」、男女使用できる先がネクタイのように三角に尖がっているマフラー「クラカ」を展開。

●täti h(タティ・ホー)
「タティ」はフィンランド語で叔母という意味。デザイナーのサラ・ルンデンさんが大好きな大叔母さんの名前の頭文字「h」をとってつけられたブランド名です。大叔母さんが身に着けていた衣服や好きな花、食べ物や雑貨などからインスピレーションを得てデザインされているとか。
今回会場で見られたのは、北欧の伝統的なノルディック柄・幾何学模様をあしらったデイリーユースのソフトルームソックスやハイソックス。古くから伝わる手編み物に使われてきたノルディック柄の小さな細かいモチーフを拡大し、新たな命を吹き込んだモダンなデザインにアレンジ。馴染みやすい優しいカラーも特徴的。


サラ・ルンデンさん(左)と角井みどりさんが来日!(右)
photo:CASE gallery

サラさんの自宅は、タンペレから少し離れたとても静かな場所にあるそうです。寒いフィンランドでは冬の間、靴下はとっても重要なアイテムのひとつ。毎日使うもの、常に身近にあるものを作りたかったとか。

今回2度目の来日だというサラさん。初めての日本は6年前。京都を訪れたそう。東京の印象はとにかく大きな大きな街!展示会終了後、サラさんは翌日28日にはフィンランドへ帰国されるそうで、「次回来くるときは自由に動ける日を作りたいですね」とおっしゃっていました。何か日本でお気に入りのものは見つかりましたか?と伺うと、「人!人が素敵です」と嬉しいお言葉。「あとは食べ物もね!」とサラさん。

みどりさんは、在フィンランド歴25年。フィンランド事情をお聞きしてみたところ、やはりここ最近、フィンランドにやって来る日本人が増えているそうです。「ここ何年かずっと、北欧ブームって聞いてますけど、果たして実際に日本のどのくらいの人が北欧ファンなんだろう?って気になっていました(笑)」とみどりさん。

ブームやトレンドを超えて、「北欧」はすっかり、日本の暮らしの中で一つのジャンルとして確立してきましたよね。

今回残念ながら、もう一人のデザイナー、アイノマリアさんは来日されていません。小さなお子様が4人いらっしゃるそうです。上質なウールとコットンでていねいに織られたテキスタイルはとっても柔らかい手触り。

表現方法が3者それぞれ異なりますが、皆さんどこかにフィンランドスタイルをきちんと踏まえています。みどりさんの「フィンランドの自然」、アイノマリアさんの「伝統的な技法」、サラさんの「ノルディックパターン」。

「同じ学校で学んで、3人いたから今までがんばって来れたし、お互いに話し合ったり、刺激しあえる関係です」

誰かの新作が誕生する瞬間や、その過程をお互いに知っているという「しあわせ」を共有しあえる関係。素敵ですね!

「今年ブランドを立ち上げたばかりの3人が揃って開催する展示会は初めてのことですし、しかもそれを日本で実現できるなんて!」と、とっても嬉しそうに語るサラさん。北欧・フィンランドのテキスタイルの「原点」を伝えてくださったような気がします。私も出会えてよかったです。


角井みどりさんとサラ・ルンデンさん直接指導によるワークショップも開催されていました。
(※ワークショップは好評につき受付終了)

●手作り糸ボタン●

木のリングにぐるぐるとカラフルな糸を巻きつけたボタン。袖や襟ぐりに付けるデコレーションとして使われていた昔からある装飾モチーフをアレンジ。オリジナルサイズは直径1cmくらいの糸のみで出来たモチーフ。それを大きく拡大化して、カラフルな糸を使ってボタン風に。後ろにピンをつけてブローチにしても素敵!

●裂き布リース●

使わなくなったシャツなどの布を再利用。布を裂いて作ったリースです。まるでふわりとした大きなお花のよう。全部生地で出来ているので洗濯も可能?!要らなくなったお父さんのシャツがこんな風に生まれ変わっちゃいますよ!

●ホビーホース●

ウマの頭に棒がついたフィンランドに古くからあるおもちゃ。フィンランド人にとってとてもウマは大切な存在。サラさんのノルディック柄ソックスに装飾した愛嬌あふれるおもちゃです。インテリアにしてもかわいいですね!

フィンランドを拠点に活動する3人のテキスタイルデザイナー、角井みどり、アイノマリア・ハータヤ、サラ・ルンデンによるテキスタイル製品の合同展示会「フィンランド発 新たなテキスタイルの世界 手と手展」は、4月27日(日)まで!(会場:CASE gallery)みどりさんとサラさんに会いたい方はぜひ!

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