2014/10/21

【特集】スウェーデン映画祭2014より「山賊のむすめローニャ」「青空の背後」鑑賞レビュー

Svenska Filmfestivalen 2014
スウェーデン映画祭2014 
会期:2014年10月11日(土)~17日(金)
会場:渋谷ユーロスペース、大阪シネ・ヌーヴォ

10月11日より、渋谷ユーロスペースと大阪シネ・ヌーヴォにて開催されていたスウェーデン映画祭2014が10月17日で閉幕。みなさん、チェックしていた映画は見ることができたでしょうか?

スウェーデン映画の歴史は相当長く、ラインナップを見ているだけで、そのジャンルの幅の広さには驚くばかり。どれを見ようか迷ってしまいますよね。ここでは、北欧区が鑑賞した2作品をご紹介します。


想像を超えたスケール感に感動!
実写版「山賊のむすめローニャ」

まずは、スウェーデン児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン原作の「山賊のむすめローニャ」の実写版。原作を読んで以来、すっかりお気に入りの作品になりました!

ローニャ役の少女の大きな瞳がとにかく印象的。怒りに満ちたするどい眼光も、喜びにあふれたキラキラとした眼差しが本当に素晴らしい。

山賊の頭マッティス族の娘として生まれたローニャは、マッティスと敵対するボルカ族のビルクと恋に落ちてしまいます。子供の冒険、成長とともに、大人たちも共に学び、はじめて直面することがいっぱい。家族、仲間、親子の心のやりとりに泣いたり、笑ったり。なんとも豊かで、心地よい。

深い森に、険しい崖。花咲く森も、川も、そして、いつ転がって落ちるかわからないようなゴツゴツとした岩の斜面も、まさに原作から飛び出したような、想像していた景色と重なるスケール感・・・いや、それ以上の映像で感動の連続でした。

公開は1984年。ちょうど30年前の作品です。スウェーデン国内の興行成績第1 位、翌年のベルリン国際映画祭においては、銀熊賞に輝いています。

「山賊のむすめローニャ」は、今月からNHKBSプレミアムでテレビアニメとして放送中。監督は宮崎吾朗氏、シリーズ構成は川崎ヒロユキ氏です。こちらは毎週土曜放送。日本が誇る美しいアニメーションでローニャが見られるなんて、嬉しいですね。

山賊のむすめローニャ(Ronja Rovardotter)
監督:ターゲ・ダニエルソン
出演:ハンナ・ツェッテルベリ、ダン・ハフストローム、ボルゲ・アールステッツ、レナ・ナイマン
1984年/126分



素朴な青年がスウェーデン史最大規模の犯罪に巻き込まれる!
「シンプル・シモン」のビル・スカルスガルド主演「青空の背後」

もう1作は、この春日本で公開され、大好評の映画「シンプル・シモン」のシモン役を演じた、ビル・スカルスガルド主演の「青空の背後」。

この物語は、スウェーデンのある夏の表社会と裏社会を、1人の青年を通して描いたもので、1975年に発覚したスウェーデン最大のスキャンダルの真相を解明するという、実話に基づいた作品です。

ビル・スカルスガルド演じる若き主人公マッティンは、夏のアルバイトをするため、ストックホルムの群島にある高級ヨットクラブで働くことに。ここで彼は、ひと夏の間に大人社会のイロハを学ぶことになります。

酒の呑み方、先輩後輩関係、いち社会人として働くということ、そして、初めての恋。

そこまではよかったものの、知るべきではなかった、行かなくてもよいところまで足を踏み入れてしまい、なんとスウェーデンの犯罪史上最大のスキャンダルへと巻き込まれることに・・・。

一人の青年の成長物語でもある一方で、アルコール中毒、家庭内暴力といった、社会問題なども包み隠さず描くところがスウェーデン映画らしい。

大切なものを守るために、手に入れるために、いつもオドオドしていた青年マッティンが最後に出る行動とは・・・?

随所に、「いろんな愛のかたち」が見えるところにも注目したい作品です。

昨年のスウェーデン映画祭2013でも、ビル・スカルスガルド主演の「シーモンとオークの木」が上映されています。>>【特集】スウェーデン映画祭2013より「シーモンとオークの木」「四年間(Q&Aあり)」 

 
青空の背後(Himlen ar oskyldigt bla)
監督:ハンネス・ホルム
出演:ビル・スカーシュゴード(ビル・スカルスガルド)、ペーテル・ダッレ、ヨセフィーン・ユングマン、アダム・ポールソン
2010年/107分



来年はどんなラインナップが待ち受けているのでしょうか?
スウェーデンの過去や現在を知ることができる映画。スウェーデン語の勉強にもぜひ!

Svenska Filmfestivalen 2014
スウェーデン映画祭2014 
会期:2014年10月11日(土)~17日(金)
共催:スウェーデン大使館、スウェーデン文化交流機関(SI)
協力:東京国立フィルムセンター、パラディソ、マックス総研(NPO)、
アテネ・フランセ文化センター制作室、トーキョーノーザンライツフェスティバル
公式HP:http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/-sys2/
映画祭トレーラー:http://youtu.be/hz4UzpUCHO0

【上映作品】
青空の背後/アヴァロン/もだえ/ラスト・センテンス(死者への裁き)/山賊のむすめローニャ/アイスドラゴン/夜のたわむれ/エロティコン/子供たちの短編映画(7本)/パルメ/理想の国/コールガール/TPB AFK/Big Boys Gone Bananas!/スウェーデン映画祭2014短編映画(8本) 



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【スウェーデン映画祭2014閉幕】「山賊のむすめローニャ」「青空の背後」鑑賞レビュー
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