2014/12/11

【特集】「男女ともに」がキーワード!ノルウェー王国大使館のママ参事官が語る、北欧の働くママ事情

「男女ともに」がキーワード!
ノルウェー王国大使館のママ参事官が語る、北欧の働くママ事情

ジュリエット・ビノシュ主演映画「おやすみなさいを言いたくて」
トークショー付きイベント試写会
ゲスト:スノーフリッド・B・エムテルード参事官(ノルウェー王国大使館)



12月上旬、ノルウェー王国大使館にて、ジュリエット・ビノシュ主演「おやすみなさいを言いたくて」(12月13日公開)のトークショー付きイベント試写会が開催されました。ゲストは、2児の母であるノルウェー王国大使館のスノーフリッド・B・エムテルード参事官。社会福祉・女性の社会進出・男女平等など、数々の面で世界のトップに名前を連ねるノルウェーで、国としてどんな施策が導入され、どんな風に女性は仕事・家事育児を両立させているのか。今の日本にとっても、大変興味深いテーマです。

―― 女性の社会進出率が高く、女性にやさしい社会のノルウェーですが、家庭での家族のサポート、社会でのサポートにはどんなものがあるのか教えてください。

エムテルード参事官:
60年代はノルウェーでも家事育児は女性がやっていて、70年代も女性の社会進出の割合がヨーロッパで一番低い国だったんです。なぜトップ入りを果たしたかというと、この40年間、ノルウェーでは男女平等について焦点をあててきました。家庭にやさしい、さまざまな法整備がなされました。そのおかげで、女性が仕事を持ちながら、きちんと家庭を保つことができるようになったのです。
例えば、育児休暇が充実したこと。そして必ず保育園に入れるような施策。さらに大きいのは、男女ともに、仕事も家事も両立し、家事育児に参加する、という共通の認識があることです。

―― ノルウェーでは、夫は当たり前のように家事育児に協力するのですか?

エムテルード参事官:
夫が妻の家事育児を“支える”、“協力する”ということではなく、男女ともに責任を持つ、シェアするものだという認識があります。中でも、「パパ・クオータ制度(※)」は重要な役割を担っています。90年代初頭に設けられ、約90%の男性がこの制度を利用しています。これは強制ではなく、皆さん自ら利用しています。幼少期の頃から子供と関わることで、絆が深まるだけでなく、家事育児に積極的に関わることに価値を見出しています。子育ては負担ではなく、ギフト。贈り物だという認識を持っています。

(※)「パパ・クオータ制度」とは、1993年にノルウェーが導入した、育児休暇の一定期間を父親に割り当てる制度。参考記事:北欧ニュース 制度導入から約20年。もはやノルウェーでイクメンは当然?



―― 参事官は2人のお子さんのお母さんでもいらっしゃいますが、日本のノルウェー王国大使館に赴任するにあたり、ご家族の反応はどうでしたか?日本では妻が海外のどこかに赴任するというのはなかなか困難のようです。参事官のようなケースはノルウェーでは多いのでしょうか?

エムテルード参事官:
私はとてもラッキーで、旦那さんが日本についてきてくれました。一般論ではないかもしれませんが、例えば大使館では男性と女性の比率が半分半分。場合よっては、夫が妻についていくケースもおおいにありえます。

―― 働くお母さんに向けて、家事育児両立のコツがあれば教えてください。

エムテルード参事官:
幼少期から家事のお手伝いをさせるといいですね。男の子は家事に参加することが普通に感じるようになると思います。また、物事に優先順位をつけてみるとか。夫から言われた「家は多少汚くても大丈夫だよ」という言葉にとても救われました。あと、保育園に預けることはポジティブなことだと考えましょう。大切なのは、子供と過ごすのを時間量ではかるのではなく、どのように過ごすのか、どういったアクティビティに一緒に参加するのか、というのが大事なのではないかと思います。例えば、夕食を一緒に作ってみると、楽しいことも一緒に共有できるし、子供も料理を身につけることができますよね。

【お話を聞いて】
参事官のお話を伺っていると、「女性は」「男性が」といった、一人称ではなく、「男性と女性が」「私たちは」といった二人称を使っていることに気づきます。そうです、どうしても日本では「パパが育児参加する」や「夫が家事に協力する」といった言葉を使ってしまいがち。どちらが、ではなく、どちらもがやる、というのがノルウェーでは自然と体に馴染んでいるようです。

しかし、ノルウェーも突如そんな風に変わったわけではありません。40年間もの歳月を費やし、ここまで変化を遂げてきました。ノルウェーと日本とでは、国の施策や制度などを見るだけでもまだまだ大きく異なります。そして時間もかかることでしょう。それでは今、我々が出来ることは何か?幼少期の過ごし方で、少しずつ少しずつ、家庭レベルで変えていくことも可能だということです。パパやママと一緒に何かやった、という経験は、確実に未来へとつながっていきそうです。

【12/13公開】ジュリエット・ビノシュ主演映画『おやすみなさいを言いたくて』
報道写真家として世界を飛び回る主人公レベッカが、母として妻として、ひたむきに生きる姿を描いた感動の話題作。元報道写真家のノルウェー人監督作品です。


(c) paradox/newgrange pictures/zentropa international sweden 2013
PHOTOS (c) Paradox/Terje Bringedal

『おやすみなさいを言いたくて』
(原題:A Thousand Times Good Night)

監督:エーリク・ポッペ『卵の番人』(撮影)
脚本:アルマン・アマール『オーケストラ!』
出演:ジュリエット・ビノシュ『イングリッシュ・ペイシェント』、ニコライ・コスター=ワルドー『オブリビオン』、ラリー・マレン・ジュニア(U2ドラマー)
2013 年/ノルウェー・アイルランド・スウェーデン/118 分/カラー/スコープサイズ
後援:ノルウェー王国大使館
配給:KADOKAWA
公式HP:http://oyasumi-movie.jp/

2014年12月13日(土)角川シネマ有楽町・渋谷シネパレス他全国ロードショー!

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