2015/02/19

【特集】ジャパンプレミア&国内劇場初上映!貴重な初ものづくし鑑賞レビュー@ TNLF2015

ジャパンプレミア&国内劇場初上映!
貴重な初ものづくし鑑賞レビュー!

トーキョーノーザンライツフェスティバル2015(※終了しました)
期間:2015年 1月31日(土)~2月13日(金)
会場:渋谷ユーロスペース 、渋谷アップリンク・ファクトリー ほか


2/13で閉幕した、トーキョーノーザンライツフェスティバル2015のレポートです。

今回は、昨年公開され、リピート率も高く、今でもなお大ヒット上映中のスウェーデン映画、「シンプル・シモン」を手がけたアンドレアス・エーマン監督の未公開作品が2作上映されました。

 
会場では、「シンプル・シモン」のDVDが先行発売!(3/4発売)


「シンプル・シモン」は、日本語吹替版および、目や耳が不自由な方でも一緒に楽しめるガイド付きで上映。「シンプル・シモン」の次に公開された「ビッチハグ」(2012年)も、TNLF2015でとっても好評だったとか!「ビッチハグ」はもしかすると、配給がつくかも??

北欧区が鑑賞したのは、アンドレアス・エーマン監督の長編第3作目となる「リメイク」(2014年)。こちらは、エーマン監督がSKIPシティ国際映画祭2011で来日されたときに、この「リメイク」を撮影しているとの情報があったので、ぜひとも見たい!と、かなり前から心に決めていた作品でした。

SKIPシティ国際映画祭2011で、審査員特別賞を受賞。Q&Aの様子。
スウェーデン映画「シンプル・シモン」、審査員特別賞受賞!

「リメイク」には、「シンプル・シモン」で優しいシモンのお兄ちゃん、サム役のマッティン・ヴァルストレムが出演。主演のリサの恋人役マッティンを演じていました。まず、この映画の見どころ、注目ポイントは、俳優の名前がそのまま役名になっていること。さらに、脚本はなんと、セリフなしのアウトラインのみというから驚き!ということは・・・セリフは俳優のアドリブってこと?

また、TNLF2015公式HPの解説によると、エーマン監督が短編「MY LIFE AS A TRAILER」(未/2009年)で取り入れた撮影法が使われていたそうです。それは、俳優同士が交代でお互いのシーンを撮影する手法。役者が役者を撮影している映像は、その目線や表情、間合いなどから、そのときの心情や心の距離感がリアルに描写されていて、見ている側も引き込まれてしまいます。

お互いにカメラを渡しあって撮る手法は「最初のうちだけかな?」と思っていたんです。どこかで違和感があるというか。まさかそれでずーっと最後まで行くとは!まったく想像していなかったので、驚きました。その演出にいつの間にかすっかり慣れてきたころに、まさかの仕掛けが!!まんまとやられました。

ユニークな撮影法は、命が危ぶまれるのではないかと思わせるサスペンス的な空気が漂っているので、常になぜかハラハラ・・・(※ラブストーリーなのに)。

男性が持つ純粋さ、女性が持つしたたかさ。
男女の“あるある”をリアルに、静かに、人の心の内を描いた作品だと感じました。「シンプル・シモン」はハッピーエンドでしたが、これは北欧映画ならではの独特な余韻を残す作品でした。

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リメイク(ジャパンプレミア)
原題:Remake(英題:Remake)
監督:アンドレアス・エーマン、ペール・ガヴァティン (Andreas Ohman, Per Gavatin)
出演:リサ・ヘンニ(Lisa Henni)/マッティン・ヴァルストレム(Martin Wallstrom)/Lucas Hazlett
2014年 スウェーデン/73min
言語:スウェーデン語、英語(Swedish, English)
字幕:日本語・英語(With English subtitles)

【ストーリー】(TNLF2015公式HPより抜粋)
日常のすべてを映像に記録し続けているリサ。恋人のマッティンは呆れながらも、なんとか対処できるようになっていた。付き合い始めてから2年後、ふたりは休暇でNYを訪れる。ケンカをしながらも、楽しい時間を過ごしていた。ある日、リサが夜の町へ出かけようと提案すると、疲れていたマッティンは、彼女をひとりで行かせ、借りているアパートに先に帰ってしまう。ひとりで街をぶらついていたリサは、カメラに偶然映り込んだルーカスに、なぜ自分を撮るのかと問いつめられてしまう。しかし、話をする内に意気投合し、リサはルーカスと夜の町に繰り出す。そして、ルーカスに惹かれて行き…。

「REMAKE (2014) 」トレーラー


【アンドレアス・エーマン(Andreas Ohman)プロフィール】
1985年、スウェーデン北部クラムフォッシュ生まれ。ポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」に影響を受け、16歳で映画の道を志す。2本の短編映画が国際映画祭で受賞。2010年の「シンプル・シモン」で長編映画デビュー。4作目のロード・ムービー「Ododliga」は2015年リリース予定。
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こちらも見たかった作品!「劇場版 ニルスのふしぎな旅」。

1980年からNHKで放送された同名TVアニメの長編作品。TV版の再編集ではなく、新たに作られた劇場版だとか。劇場版とはいえ、国内ではテレビで放映されただけで、正式な劇場公開は今回が初!ということで、記憶の奥底に眠っていた「ニルス」に会いにいきました。制作に押井守監督の名前も発見。日本が世界に誇るアニメ・クリエイターたちが手がけているそうです。

スウェーデン南部からラップランドを目指す旅に出る物語ですが、原作者のセルマ・ラーゲルレーヴは、実際にスウェーデン各地を旅して、この作品を書いたとか。セルマ・ラーゲルレーヴは、女性初、スウェーデン人初のノーベル文学賞を受賞しています。

「ニルスのふしぎな旅」は、美しいスウェーデンが舞台。鳥にまたがって旅に出るなんて、子供にとっては夢のような物語。空を自由に飛びまわる鳥目線から景色を見られるなんて・・・憧れますよね。

挿入曲のような形で劇中で流れていましたが、TVアニメと同じあのオープニング曲が聞けず、そこがちょっと残念。でも、随所に見られる懐かしいコミカルな笑いと、ユーモア。登場する悪役っぷりもなんだかほっこりします。

旅を終え、帰ってきたニルスは、究極の選択を迫られます。大切なことを教えてくれる最後のシーンは会場で涙している方の姿も。日本で作られたアニメ映画ですが、原作はスウェーデン。人々に伝えたいエッセンスを随所に感じました。大人になって見るべきアニメって、ありますね。貴重な作品、上映ありがとうございます。

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劇場版 ニルスのふしぎな旅(国内劇場初上映)
英題:The Wonderful Adventures of Nils
監督:鳥海永行(Hisayuki Toriumi) 他
1983年/日本/日本語(Japanese)/97min

【ストーリー】(TNLF2015公式HPより抜粋)
スウェーデン南部の農村に住む、いたずら好きの少年ニルスとペットのハムスター、キャロット。ニルスの両親の留守中、妖精に魔法をかけられ体を小さくされてしまう。しかし、そのおかげでニルスは動物たちの言葉が理解できるように。そんな時、ガンの群れに「飛べない鳥」とバカにされ、悔しさから必死で飛び立ったガチョウのモルテンに捕まり、ニルスも一緒に飛び立ってしまう。ガンの群れの女隊長アッカに認められたニルスとキャロットとモルテン。そのまま共に野鳥の故郷ラップランドを目指す旅に出た。
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トーキョーノーザンライツフェスティバル2015(※終了しました)
期間:2015年 1月31日(土)~2月13日(金)
会場:渋谷ユーロスペース 、渋谷アップリンク・ファクトリー ほか
主催・運営:トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
http://www.tnlf.jp

【参考記事】
【1/31-2/13】トーキョーノーザンライツフェスティバル2015
【2/8-14】トーキョーノーザンライツフェスティバル2014
【2/9-15】トーキョーノーザンライツフェスティバル2013
【2/11-17】トーキョーノーザンライツフェスティバル2012
【2/12-20】トーキョーノーザンライツフェスティバル2011

参考記事:http://ameblo.jp/hokuwalk/entry-11990667895.html

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