2015/03/25

【特集】自然と文化の街ユヴァスキュラから異才を放つデザイナー ヨナス・ハカニエミの作品展『Hakaniemi Helsingissä』

フィンランドで今最も注目される多才なデザイナー、
ヨナス・ハカニエミのシンプルでしなやかな世界。

『Hakaniemi Helsingissä(ハカニエミ・ヘルシンギッサ)』
会期:2015年3月12日(木)~29日(日)
会場:デザインフォーラム(ヘルシンキ)


(デザインフォーラム・ショールームの入り口)

フィンランドデザインの中核を担うデザインフォーラムのショールームでは随時、注目すべき実力派デザイナーの特別展が開催されています。今回は中でも、デザイナー歴5年にして実に多くのフィンランドブランドに対して優秀なデザインの数々を提供し続けてきたヨナス・ハカニエミ(1975~)に白羽の矢が立ちました。

表題の『Hakaniemi Helsingissä(ハカニエミ・ヘルシンギッサ)』とは「ヘルシンキの中のハカニエミ」という意味。ハカニエミといえば、映画『かもめ食堂』のロケ地になったハカニエミ・マーケットのことが頭に浮かびますが、「そのハカニエミではなくて、デザイナーのハカニエミですよ」「ユヴァスキュラのハカニエミが、ヘルシンキにいますよ」というユーモアがこめられています。

広告会社に勤務し、グラッフィックデザインや企業ロゴの制作などに携わってきたヨナスは、ラハティ応用科学大学在学中の2007年にミラノのメッセに出展した『Box Light(ボックスライト)』で頭角を現しました。2009年に大学卒業後すぐに「Design Office Hakaniemi(デザインオフィス・ハカニエミ)」を設立し、以来破竹の勢いでデザイン活動を続けてきたヨナス。彼のモットー「Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)」にもあるように、無駄のない、本質を引き出すデザインを心がけているそうです。


(手でスライドさせて光の量を調節できる『Box Light(ボックスライト)』)

大学の先輩でもあるハッリ・コスキネンについて共にデザイン活動を手がけた経験もあるヨナスにとって、良いデザインとは「耐久性があり、機能性とユーザビリティーが高く、タイムレスであること」。あまり多くを語らない素朴なフィランド人らしさと、機能美を敬うフィンランドデザインの伝統の継承者らしさが感じられます。


(「インスピレーションはどこからでも、何からでも生まれてきます」と熱く語るヨナス・ハカニエミ)

Design Office Hakaniemiのクライアントは、ユヴァスキュラ市、Glass Refining Finland(グラス・リファインディング・フィンランド)Lahtiset(ラハティセット)myKolme design(マイコルメ・デザイン)Pomus(ポモウス)Kera Interior(ケラ・インテリア)Design House Stockholm(デザインハウスストックホルム)Finn-Savotta(フィンサヴォッタ)Leksan Lastu(レクサン・ラストゥ)Uhtua Design(ウフトゥア・デザイン)、そしてUpwood Design(アップウッド・デザイン)など。これだけの多種多様な顧客に対して、バッグにファーニチャー、時計からステーショナリーまで、多岐にわたるプロダクトのデザインを手がけてきました。

ショールームには、レッド・ドット賞で選外佳作、のちにDesign House Stockholm(デザインハウスストックホルム)で商品化された『Box Light』などの代表作をはじめ、フィンランドの学校施設で愛用されている姿勢矯正チェアブランドmyKolme design(マイコルメ・デザイン)から昨年末に発売された『ILOA One(イロア・ワン)』、今年2月にミラノの「Micam Fair(ミカム・フェアー)」で発表された、Lahtiset(ラハティセット)のフェルトバッグシリーズに、Upwood Design(アップウッド・デザイン)の『Cube(キューブ)』と『Twig(トゥウィグ)』ランプに、サウナグッズからステーショナリーまでを取り扱う、木工デザインブランドLeksan Lastu(レクサン・ラストゥ)のコレクションなどの新作の数々も披露されました。


(フィンランドの教育施設で愛用されている、myKolme design 〔マイコルメ・デザイン〕のILOA〔イロア〕チェアシリーズ。ガスシリンダーで自在に高さを調節し、姿勢が正しく座れるデザイン。中央が新作のILOA One)

会場にはLahtiset(ラハティセット)のカラフルなフェルトバッグを肩に、花束とスパークリングワインを手渡すファンや関係者が集まり、先輩ハッリ・コスキネンもお祝いにかけつけてくれました。各自シャンパンで乾杯をし、ギターの生演奏に耳を傾けた後、活動5年をふり返っての感謝の言葉と「今後はさらに意欲的に海外市場にも働きかけたい」と大きな志を聞かせてくれたヨナス・ハカニエミ。彼を囲んだ来場者からは、大きな期待を込めて盛大な拍手がおくられました。


多くの人でにぎわったオープニングイベント!

       
会場で初のお披露目となったUpwood Design
(アップウッド・デザイン)
の『Twig (トゥウィグ)』。
  Upwood Design(アップウッド・デザイン)
『Cube(キューブ)』。立方体から光がもれる
様子が洗練されたデザイン。 
 

       
ヨナス・ハカニエミが手がけた
ユヴァスキュラ市の公共施設用家具。
  Kera Interior(ケラ・インテリア)の温かくやさしい光が
拡散する『Lampppa(ランッパ)』 。

       
Glass Refining Finland(グラス・リファインディング・
フィンランド)
の『イイヴァン(Iivan)』と
『ムトゥカ(Mutka)』。
 

初公開!Leksan Lastu(レクサン・ラストゥ)
のステーショナリーシリーズ。
机の上に大小のキノコの森が広がります。

       
Leksan Lastu(レクサン・ラストゥ)
木製のペン『Nuijaa(ヌイヤー)』は小槌という意味。
デスクワークで疲れた肩をたたいても気持ちがいい?
  Leksan Lastu(レクサン・ラストゥ)の木製の壁かけ
時計も同会場でローンチしました。 

       
2013年から既におなじみのLahtiset(ラハティセット)
のフェルトバッグシリーズ。
  ハッリ・コスキネンに続いて、Finn-Savotta
(フィンサヴォッタ)
からもリュックサックと鞄の
コレクションを発表。 


【取材・文・写真】
靴家さちこ(フィンランド在住フリーライター)


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