2015/06/17

【特集】小海フィンランド夏至祭2015 会場レポート!

第14回小海フィンランド夏至祭
日程:2015年6月6日(土)
会場:長野県南佐久郡小海町 松原湖湖畔特設会場

2015年6月6日、小海フィンランド協会/こうみ塾主催のもと、長野県南佐久郡小海町松原湖の湖畔特設会場にて、今年で14回目となるフィンランド夏至祭が開催されました。



ここ八ヶ岳の麓や松原湖高原が、森と湖の国フィンランドと似ているというところから、フィンランド人が湖畔に本場のフィンランドサウナやログハウスを建設し、「フィンランドビレッジ」として親しまれていた場所でもあります。

当日は、さまざまなフィンランドにまつわる催しが開催されました。
会場で販売されていたのは、Makkaraマッカラ(ソーセージ)やLihakeittoリハケイット(牛肉スープ)といった、フィンランドの料理にちなんだ料理たち。環境にやさしいリユース食器で振る舞われました。



フィンランドを象徴する木でもある‘白樺’でつくられたゲーム「モルック」の体験会もまた、日本モルック協会の協賛のもと開催。モルックは、本場フィンランドではサマーコテージやピクニックに行くときに持っていって遊ばれたりするような、誰でも気軽に楽しむことができるゲームです。

会場では、5-6歳くらいのお子さんが興味を持って近づき参加したところ、親御さんの方が途中から夢中になるような場面もあり(笑)、和気あいあいとした時間を過ごしていました。

   
   
日本におけるフィンランドの民族楽器「カンテレ」演奏の第一人者、はざた雅子氏のカンテレ演奏会も行われました。湖畔に響き渡る繊細なカンテレの音色は、会場の人々を優しい気持ちにし、フィンランドへの造詣を深めるきっかけとなりました。



公益社団法人サウナ・スパ協会によるサウナコタ(サウナ小屋)やテントサウナも楽しみました。

こちらのサウナはどちらもフィンランド製で、薪を燃やして温める薪ストーブタイプのサウナ。電気のサウナとは違い、急激に暑くなることなく、じんわりと温まります。サウナから出た後も身体が冷えない、とご家族にも男性グループにも大好評。

   
   
そして注目は、今年作られたばかりのサウナ小屋。
実は中で二つに分かれており、サウナだけではなく、グリルも楽しむことができます!

   

   
   
フィンランド人ゲストのカトリーナさんから、フィンランドの夏至=Juhannus(ユハンヌス)についての紹介もありました。

夏至の前日の夜に、女性は8種類の花を摘んで枕下に敷いて寝ると、将来の配偶者が夢に出てくるというロマンチックなおまじないのお話から、女性は好きな人の家の畑で裸で転がったら、その人と結婚できるという、ドキッとするような大胆なお話まで…チャーミングなカトリーナさんの口からそのような話が出るので、会場の男性陣たちからどよめきが上がっていました(笑)



筆者は、「フィンランドトレンドレポート2015」として、ここ最近フィンランドで話題になっているトピックを、写真スライドとともにお話しました。

2014年はムーミンの作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年、今年2015年はムーミンの出版から70周年。フィンランド・日本双方でさまざまな動きがあったこと、フィンランドのトレンドは切手でわかる!として、まずはムーミンの切手から、ゲイ・アートの巨匠と言われるトム・オブ・フィンランドの切手と2014年11月に成立した同棲婚法について。

さらには、ドキュメンタリー映画化もされた知的障害者パンクバンド「ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト」がヨーロッパNO.1を決めるソングコンテスト「ユーロビジョン」のフィンランド代表になり、切手化されたこと、フィンランドのオウル限定で昨年のエアギター選手権で最年少グランプリに輝いた日本人女性、名倉七海さんの切手化など、“切手からみるフィンランドカルチャー”という切り口で、文化的事情も含めながら紹介。

また、フィンランドを象徴する「サウナ・シス(※)・シベリウス(3S)」に触れ、特に音楽家シベリウスは今年生誕150周年という記念の年でもあり、今までも様々な切手として登場しているそうです。

※シス(sisu)は「フィンランド魂」とよく訳される。粘り強い、不屈の精神の意。

   
   
フィンランドの夏至のシンボルであり、小海の夏至祭でも焚かれている大きなかがり火「kokko(コッコ)」の解説も行いました。



フィンランドは、キリスト教が入ってくるまでは、昔の日本同様に自然信仰のようなものがありました。現在は土葬ですが、その頃は火葬が行われていました。身体を燃やすことで、人は次の生命に移っていけると考えられていたのです。(このあたりは日本の輪廻転生の死生観にも似ています)

つまり、死は終わりでもあり、始まりでもあったと。

そして焼畑をすることで、畑の栄養が戻り、命に欠かせない「食」が確保できます。  昔の人にとって「食」にも「死」にも関わってきた「火」は命の問題でもあったのです。

こうしたお話を通して、参加者の方がフィンランドの風習に触れ、“いのちのつながり”や、人と人、人と自然とのつながりを考えたり、今そして未来に繋げていくきっかけを考える夏至祭になっていたら、たいへん嬉しく思います。

文:川崎亜利沙
写真提供:油井和幸(小海フィンランド協会)、八ッ賀千穂(日本モルック協会)、川崎亜利沙

 【プロフィール】
川﨑 亜利沙(かわさき ありさ)
北欧/フィンランド文化専門家、ムーミン研究家

フィンランド・ラハティ市内の小学校、特別養護学級、成人学校で教師として日本文化の授業を行う。現地旅行会社の北極圏オーロラリゾート地やシリヤラインに勤務。帰国後、駐日フィンランド大使館、千代田区立日比谷図書文化館を経て、2015年3月より株式会社ムーミン物語勤務。 日本のムーミンパーク準備委員会にも所属している。
 
   

北欧区ブログ:http://ameblo.jp/hokuwalk/entry-12039975805.html
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