2015/10/09

【特集】ムーミンマグを手がけて26年!陶芸家・デザイナー、トーベ・スロッテさんインタビュー

アラビア ムーミンマグを手がけて26年!
陶芸家・デザイナー、トーベ・スロッテさんインタビュー

どのようにして絵柄を決めていくの?苦労する点は?
フィンランド人にとってムーミンマグとは?
今後やってみたいことなどなど、たっぷりとお話をお聞きしました!


特別展示「MOOMIN MUG STORY」


9月17日から23日まで、ムーミン出版70周年記念「MOOMIN! ムーミン STORY」が松屋銀座にて開催されました。300アイテム以上の「ムーミングッズ」コーナーやムーミンの絵本の世界が体験ができる高さ1800mmパネル『それから どうなるの?』(講談社)など、バラエティに富んだ内容で多くのファンを魅了。

中でも注目が集まったのは、特別展示「MOOMIN MUG STORY」。初日のオープニングセレモニーでは、フィンランドからアラビア ムーミンマグを26年間手がけてきた陶芸家でデザイナーのトーベ・スロッテさんが、フィスカルス社ムーミン担当ノーラ・ハータイネンさんとともに姿を現しました。

この日、ムーミン研究家としてもおなじみ、森下圭子さんを通訳に迎え、フィスカルス社のノーラさんにも同席していただき、スロッテさんに特別にお時間をいただきました。スロッテさんは、どんな風にして絵柄を決めていくのでしょう?苦労する点は?フィンランド人にとってムーミンマグとは?今後やってみたいことなどを、スロッテさんにお聞きしました!


「MOOMIN! ムーミン STORY」オープニングセレモニーでテープカットを行ったスロッテさん

名前はノルウェーがルーツ?!
ヤンソンと同名に「ご縁を感じる」

母親がスウェーデン語で読み聞かせてくれたトーベ・ヤンソンの絵本『それから どうなるの?』が大のお気に入りだったというスロッテさん。ムーミンが大好きな女の子でした。デザイナー・陶芸家として、主に装飾品に携わり、造形よりも絵柄を担当。あるとき、アラビアがムーミンのチルドレンセットとマグを発売することになり、そのデザインをやらないか?と声をかけられたのがきっかけでした。

プロトタイプを持って、憧れのトーベ・ヤンソンに会ったときの印象を、トークイベントで「小さくて、とても華奢で、優しくて、個性的な家に住んでいて。今でも忘れません」と話していたスロッテさん。とても緊張したそうです。ムーミンマグやチルドレンセットだけでなく、カトラリーや鍋、ハサミなど、多くのアイテムのデザインも手がけています。

“トーベ”という名前はなんとノルウェーがルーツだとか。「私も知らなかったのよ」とスロッテさん。今ではフィンランドにもスウェーデンでもある名前だそうですが、珍しい名前ではあるようです。大好きなムーミンの原作者と同じ名前。幼いころから自然と何かのご縁を感じていたことでしょう。

ムーミンマグのデザインは、
「コミックから探すのが好き」

ムーミンの物語にはいろんな名シーンがありますが、一体どこからアイデアを引き出してくるのでしょうか。挿絵そのままを、マグのデザインにするというわけにはいかなようです。

「ムーミンの本はよく読んでいるので、頭の中にはムーミンがしっかりと入っているんです」とスロッテさん。「テーマにもよるけれど、コミックから絵柄を探し出すのが好き」なのだとか。たとえば、ムーミングッズには使われていないような柄やストーリー性のあるもの。雰囲気のある絵、人気のある絵、いろいろありますが、出来上がったときに、これまでに見たことがあるようなものではなく、常に新しく、新鮮だと感じてもらえるような色づかいを意識しているそうです。

トーベの挿絵はモノトーンの世界。それに色をつけていく作業は、なんともワクワクするものだとか。それでも、いつも心がけているのは、“トーベ・ヤンソンの世界観”。1つ発売されるまで、約1年半かかるというムーミンマグ。難しさはいつもあるけれど、26年間やっていると、立体の状態でデザインが頭の中に浮かぶようになったといいます。

好きなマグは時と場合にもよるようですが、好きなのは「アドベンチャー ムーブ」だとか。「いつ見ても新鮮味があるんですよね」というアドベンチャー ムーブは、シックな色づかいで、躍動感のある絵柄が特徴的。お客様に出したときにも喜ばれるそうです。

フィンランド人にとってムーミンマグとは?
スロッテさんが今後やってみたいこと

日本でもコレクターの多い、人気のあるムーミンマグ。フィンランド人にとって、ムーミンマグとはどんなもの・・・?

「ひとり一人に異なるマグを出してみると、そこに特別感が生まれます。ちょっとした気持ちのやりとり、コミュニケーションツールにもなりますね」

大人たちをも魅了するムーミンの世界。今でもやはり、ムーミントークは大人たちの間でも共通の話題となっています。飽きの来ない世界、誰でも当てはまるもの。心を解きほぐし、自然と会話が生まれます。ムーミンマグでのおもてなしは、フィンランド人にとってもやはり喜ばれ、特別なもののようです。

今後作ってみたいものを聞いてみると、「ムーミンマグ100個出来たら、自分の陶芸をやろうかな」とスロッテさん。ちなみに1990年から現在までに制作されたムーミンマグは全73点なのですが、75点という数え方もあるとか!

というのも、トーベ・ヤンソン生誕100周年記念で発売した“メガネマグ”が1点。2006年に登場した夏季限定のサマーマグは2種類のデザインが世に出ています。世に出たマグで数えると、この2つを足した75点ということになります。


デザインが2種類あった「サマーマグ(ストライプ)Summer seasonal mugs, Stripe」(2006-2011)

ちなみに、このサマーマグ。なぜ2種類あるのかというと、はじめに発売されたのは、ボーターの中に、貝殻などが散りばめられた背景にムーミンが泳いでいるデザインになっていましたが、途中で貝殻などを取り除き、ボーダーのみのすっきりとした背景のものに差し替えられたのだそうです。はじめに短期間だけ発売されたデザインのマグは数十個のみしかなく、非常にレアなものになっているそうです。

2015年のウィンターマグ「Hibernation(冬眠)」は11月に各店頭にお目見え予定。『ムーミン谷の冬』の場面がモチーフになっています。挿絵をそのままは使わないというスロッテさんは今回、原作のモノトーンの世界に、ムーミンママのエプロンやムーミンパパのハットを加えたデザインに仕上げました。もちろんこれからの新しいムーミンマグのデザインも動いているとか。

スロッテさんの来日によって知ることができたムーミンマグにまつわるさまざまなエピソードに終始ワクワク。フィンランド人にとっても、ムーミンマグは特別なものだというのもわかりました。これまで以上に、ムーミンマグに深い想いが生まれそうな予感。今後誕生するムーミンマグが、なんだか今から待ち遠しい!


トーベ・スロッテ
撮影:ホンマタカシ/協力:講談社・白泉社

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ムーミン出版70周年記念「MOOMIN! ムーミン STORY」
- 特別展示「MOOMIN MUG STORY」 - ※全国巡回中!

■松屋銀座8階イベントスクエア(東京)
2015年9月17日(木)~23日(祝・水) 10時~20時(最終日17時閉場)
あるあるCity5階催事場スペース(北九州)
2015年10月10日(土)~11月8日(日)
モラージュ佐賀(佐賀)
2015年11月14日(土)~29日(日)
あべのハルカス近鉄本店(大阪)
2015年12月9日(水)~27日(日)
トキハ百貨店(大分)
2016年1月2日(土)~12日(火)
博多阪急(博多)
2016年2月3日(水)~14日(日)
丸井今井 札幌本店
2016年3月15日(火)~28日(月)  
岡山天満屋
2016年4月27日(水)~5月9日(月)
広島三越
2016年7月26日(火)~8月7日(日)
松坂屋名古屋店
2016年8月17日(火)~8月29日(日)

他、全国各地にて巡回予定!
http://www.toei.co.jp/event/exhibition/moominmugstory.html
© Moomin Characters ™

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