2016/05/02

【特集】一度行ったらまた行きたくなる!スウェーデン人の心のふるさと「ダーラナ」

スウェーデンらしいスウェーデンを感じたいなら、ちょっぴり足を伸ばして郊外へ!
スウェーデン人が心から愛する「ダーラナ」の魅力を5つのキーワードで紹介。



シンプルミニマムなデザイン、ノーベル賞、発明大国、美しい大自然、オーロラ、男女平等、クリーンで信頼される政治、国民に愛されるロイヤルファミリーの存在、独自のライフスタイルなど、常に世界から注目され、観光地としても海外からの旅行客に人気の高いスウェーデン。ヨーロッパ以外の旅行客も、ここ最近増加傾向にあるようです。

北は北極圏から、南は群島などが広がる海。南北に細長い国は、約80%の人がスウェーデンの半分から南に住んでいます。首都ストックホルムをはじめ、第2の都市、ヨーテボリ、さらにはマルメもまた、スウェーデンの南のほうに位置します。

スウェーデンは、ざっくり大きくわけて、ストックホルムのある都市部のほか、スウェーデン・ラップランド、アビスコ、ルレオ、キールナといった、大自然とたわむれるアウトドアアクティビティが楽しめる北部、さらには、スコーネ地方やスモーランド地方、マルメ、ヨーテボリのある南部があります。

北はオーロラ、南は街があるけれど、ではスウェーデンの真ん中には何があるの?実は、北欧ファンにもなじみのある絵付けされた木製の馬「ダーラナホース(スウェーデン語:ダーラヘスト/英語:ダーラホース)」の故郷、ダーラナ地方があります。

先日、旅行業界向けセミナー&ワークショップ「SWEDEN TRAVEL DAY 2016」が、スウェーデン大使館にて開催。会場には、旅行業界やメディアから総勢100人以上もの参加者があり、それぞれ熱心に耳を傾けていました。スウェーデン貿易投資公団のAnn-Sofie Jonsson観光担当投資官に、これからの季節、“スウェーデンで行っておくべき、おすすめのスポット”はどこか尋ねてみたところ、「もちろん全部おすすめだけど(笑)、一番スウェーデンらしさを感じたいなら、ダーラナかしら」との回答が。

童話『みにくいあひるの子』や『人魚姫』で知られるデンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンは、ダーラナをこよなく愛した著名人の一人。1849年の訪問以来、ダーラナに魅了されたアンデルセンは、ぜひ行ってみてほしいと周りの人々にすすめていたとか。それからというもの、ダーラナにとって観光業は、大変重要な要素になっていったといいます。

スウェーデン郊外、ダーラナ地方って気になるけど、どんなところなのかよくわからない・・・そんな方も多いのではないでしょうか。そんな気になるダーラナ地方の知られざる魅力を知りたい!レクサンドコミューン担当、Hanna Brasarさんにお話を聞きました。


民族衣装に身を包んだHannaさん。素敵ですね!

「ハート・オブ・スウェーデンカルチャー」と呼ばれるダーラナは、スウェーデン人にとって、何度も帰ってきたくなる“心のふるさと”と言われており、スウェーデンで最も人気のスポットのひとつ。19世紀後半から訪れる人々を魅了し続け、最近では国外からも愛されている場所。いったいどんなところが“心のふるさと”なのでしょうか。ダーラナを5つのキーワードで紹介!

①ミッドサマー(夏至祭)
古くからの伝統行事を大切にするダーラナの人々。毎年、夏の到来を祝う夏至祭では、民族衣装をまとった老若男女が集まり、白樺の葉と野の花で飾った大きなメイポールを囲み、伝統的な音楽にあわせてフォークダンスを踊ります。このスウェーデンらしさ満点の伝統行事を体感するために、夏至祭の時期は多くの観光客でにぎわいます。

②ダーラナホース(ダーラヘスト/ダーラホース)
日本でもスウェーデンを象徴するモチーフとして知られる幸運を呼ぶ馬。スウェーデンのアイコン的デザインパターン「クルビッツ」の柄を施したオレンジ色の木製の馬は、ここダーラナで生まれました。ダーラナホースは18世紀頃に誕生。暗い冬の間、暖炉の前に腰をかけ、子供たちのために木を削って作った馬がダーラナホースのはじまり。スウェーデン語でダーラヘスト。そう呼べるのは、ダーラナ地方で作られたものだけを指します。

③テキスタイル
ダーラナには、森や湖に囲まれた美しいシリアン湖があります。その湖畔にあるレクサンド市の外れで1940年代から手刷りで作られているのが「ヨブス」。植物などがあしらわれたカラフルで心躍る鮮やかなプリントは、スウェーデン織物の遺産となっています。古くから使われている色彩やフォルム、パターンは、アーティストやデザイナーによってモダンな形となって継承されています。

④ダールハッラ(音楽ホール)
シリアン湖の周りには、鳥やヘラジカ、クマ、オオカミ、ビーバーといった動物たちが数多く生息していますが、そこは、ちょっと変わった場所でもあります。なんと、直径50kmほどの大きな隕石が落下したところなのだとか。クレーターは広範囲にわたり、シリアン湖もその一部。その地層を利用して石灰岩を採掘した跡地が、コンサートホール「ダールハッラ」。ここには、オペラからロックまで、世界の有名アーティストがやってくるとか。隕石が落下したときに作り上げられたという地層も必見です。http://dalhalla.se/en/ (後方のフォトギャラリー参照)

⑤ローカルフード
ダーラナを訪れたらぜひトライしてみたいのが伝統的なローカルフード。薄くて硬いクリスプブレッド「Knackebrod(クネッケブロード)」や「Falukorv(ファルーコルヴ)」と呼ばれる人気のソーセージ。ソーセージはスウェーデンの食卓の定番。フライドポテトやパスタと一緒にいただきます。ソーセージは、ダーラナ地方にあるFalun(ファールン)という街が起源なのだとか。ファールンは、17世紀に世界一の規模を誇る銅山があり、2001年にはユネスコの世界遺産に登録されています。また、薄くて柔らかいパン「Tunnbrod(トゥンブロード)」も外せません。小麦とジャガイモを使った、ダーラナで大変人気のパン。地元の伝統的なレシピで焼き上げられるそうです。

「SWEDEN TRAVEL DAY 2016」当日、スウェーデン大使館では、「世界で一番臭い食べ物」として知られる「シュールストレミング」の試食会が行われました。トルティーヤのような薄くて柔らかいパン「トゥンブロード」に、ジャガイモ・トマト・サワークリーム・ディル、そして1年もののシュールストレミングを乗せていただきました。

ちなみに、シュールストレミングは北スウェーデンの発酵食品。バルト海の小型ニシンを塩漬けにしてゆっくりと発酵させたのち、缶詰に。缶が膨らむほど発酵が進むと「シュールストレミング」が完成。

缶詰なのに解禁日があるのをご存知でしたか?8月の終わりに野外でいただくのが一般的。スウェーデン人でも食べたことのない人が多い珍味ですが、スウェーデン商工会議所(SCCJ)専務理事のハンス・ロディーネルさんは大好物だとか!好き嫌いははっきりと分かれるよう。



<シュールストレミングを地元流でいただこう!>
①缶の圧力が高いので、水の中で開ける。(室内で開けないこと)
②水洗いし、はらわたを抜き、バターをつけたトゥンブロードに、スライスしたジャガイモやみじん切りした
紫オニオンなどと一緒に盛り付ける。
③ビールやアルコール度数の高いシュナップスで乾杯!

<もっとシュールストレミングを知りたい方へ!おすすめスポット&イベント>
シュールストレミング博物館「Fiskevistet」 http://www.fiskevistet.se/
シュールストレミング祭り(8月下旬) http://www.surstommingsskivan.se/



缶を開けたときから、風下にいるとかなりの臭いが(生ゴミ?排水溝?)。漂ってくる臭いに一瞬むせましたが、思い切って口に入れてみると、臭みよりも塩気の強さにびっくり。でも、パンやジャガイモ・トマトなどと一緒にいただくと、ちょうどよいあんばいに。これはお酒に合いそう!くれぐれも、シュールストレミングの汁が服につかないよう注意してください。

<ダーラナフォトギャラリー>

夏至祭 (c)siljan.se

ダーラナホース(ダーラヘスト/ダーラホース) (c)Amanda Westerbom/imagebank.sweden.se

よく見られる特徴的な赤い小屋。壁面が赤いのは、銅で作られた顔料が使われているため。
(c)Synove Borlaug Dufva/imagebank.sweden.se
 
隕石の穴で作られた音楽ホール「ダールハッラ」 7/29~30に音楽フェス開催。(c)Siljan Turism

ダーラナを語る上で欠かせない人々の憩いの場、シリアン湖

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