photo by Elina Sirparanta |
2010年にヘルシンキ工科大学、ヘルシンキ経済大学、さらにヘルシンキ芸術デザイン大学が合併して創設された「アールト大学」。今年の秋より、なんと大学院(School of Business)の学位プログラムの授業がすべて英語のみで行なわれることになったという。
極端に言えば、英語ができればアールト大学のビジネススクールの修士号が取得できるということになる。
しかし、大学で主として提供される言語とえば、フィンランドの法律では「フィンランド語とスウェーデン語」という2つの“国語”が国で定められているため、この一件について、アールト大学とフィンランド教育文化省で議論がはじまったという。
アールト大学副学長であるMartti Raevaara氏は、すでに学士号の学位プログラムで、フィンランド語での教育は十分満たされているのではないかと主張。
世界を見渡しても、国際的な研究や教育で使われる言語は英語が多い。修士プログラムをすべて英語で実施し、より多くの外国からの学生を受け入れたいというのが大きな理由だ。
外国の学生にもっとフィンランドに来てもらいたい。さらには、フィンランドの学生にも、交換留学など、もっと国外に出て行って勉強してほしいという。
「国際化」が、教育の質をさらに飛躍的に向上させることになるというのが大学側の考えだ。
安定した高い教育水準で、世界から注目されるフィンランド教育。英語で修士号が取得できるのは、外国の学生にとって非常に魅力的な話だ。世界の優秀な研究者などからも、アールト大学に熱い視線が送られている。
フィンランド語とスウェーデン語という、2つの国の言葉以外の言語での修士号取得。
これが法律的に可能かどうかという論点も、非常に気になるところ。
フィンランドの国としての今後の対応、アールト大学の国際化教育にも注目したい。
アールト大学
http://www.aalto.fi/en/
北欧ニュース編集員
アールト大学の大学名は、偉大な建築家であるアルヴァ・アールトに由来しているそうです。
アルヴァ・アールトについては、「アアルト」と、「アールト」という表記があったりしますが、ここでは、「アールト」で記載させていただきました。
フィンランドに興味ある学生や研究者にとって、アールト大学の修士課程が英語で受けられるのは、かなりの朗報ですよね。ここ数年のフィンランドの海外へ向けてのアプローチ、マーケティングの力の入り方はものすごく感じます。国際化していくフィンランドですが、古きものをきちんと敬い、新しきものを上手く取り入れていくという精神で進んで行くのではないかと。今後の動向が気になりますね。