9月上旬、ユニセフ(国連児童基金)より、新しい報告書「レポートカード16」が発表された。20年続くレポートシリーズで、経済協力開発機構(OECD)または欧州連合(EU)に加盟する41カ国の子供の状況を、精神的な健康、身体的な健康、学力・社会的スキルの3つの項目をもとにランク付けしたもの。北欧諸国は、アイスランド以外の4カ国がトップ10に入った。
精神的な健康の項目では、多くの国で「生活に満足している」と答えた子供は5人中4人以下。自殺は、15から19歳の子供と若者の死亡の主要な要因となっているという。この項目のワースト3は、ニュージランド、日本、リトアニア。トップ3は、オランダ、キプロス、スペイン。北欧諸国では、デンマークの5位がトップ。ノルウェーが11位、フィンランド12位、アイスランド20位、スウェーデンが22位。
身体的な健康の項目では、肥満や過体重の子供たちの割合が近年増加していることが判明。ほぼ全ての国で約3人に1人の子供が、肥満または過体重の状態にあるという。ワースト3は、米国、ブルガリア、チリ。トップ3は、日本、ルクセンブルク、スイス。北欧諸国はこの項目もデンマークが4位でトップ。続いてスウェーデンが5位、フィランド6位、ノルウェー8位、アイスランドが16位。
学力・社会的スキルの項目では、15歳の時点で、読解力と数学の基礎的学力が身についていない子供が平均40%もいるという。また、ほとんどの国で、少なくとも5人に1人の子供が、新しい友達を作るという社会的スキルに自信がないと答えている。ワースト3は、チリ、ブルガリア、スロバキア。トップ3は、ノルウェー、スロベニア、オランダ。北欧諸国では、全体でトップのノルウェーが1位、デンマークが7位、フィンランド9位、スウェーデン14位、アイスランドが34位。
子供の幸福度を支えるための政策や、経済、社会、環境面が整っているかどうかのランク付けでは、ノルウェーが1位、アイスランド2位、フィンランド3位、デンマーク5位、スウェーデン6位と、北欧諸国が上位を占めた。
今回のデータは新型コロナウイルス感染症発生前のものが用いられているが、今年の新型コロナウイルス感染症の発生により、今後、子供たちの心身の健康や成長、幸福度に大きな影響が出てくると推測されている。今各国の政府が、子供たちの幸福度を守るための行動をとれば、子供の貧困などのリスクは回避できる可能性があるといわれている。
<子供の幸福度総合ランキング(一部)>
(精神的健康、身体的健康、学力・社会的スキル)
1.オランダ
2.デンマーク
3.ノルウェー
4.スイス
5.フィンランド
6.スペイン
7.フランス
8.ベルギー
9.スロベニア
10.スウェーデン
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20.日本
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24.アイスランド
▼報告書の詳細はこちら
Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries
http://www.unicef-irc.org/child-well-being-report-card-16
北欧ニュース編集員
先進国の15歳の子供たちの多くが「友達を作るスキルに自信がない」と感じているとか。友達を作りやすいと感じている子供が多い国は、ノルウェーが全体で2位。それに対し、アイスランドは全体の下から3番目。(日本は下から2番目)。北欧諸国内で対照的な結果が出ているのも興味深いです。
※来週はお休みです。