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欧州では、新型コロナウイルスの感染を恐れ、混雑した公共交通機関の利用を避けるために、自転車の需要が増えている。特に厳しいロックダウンの間に、エクササイズも兼ねて自転車にシフトする人が急増したという。
しかし現在、世界の自転車の供給数は記録的な低水準にあり、自転車を手に入れるのに数カ月、または1年以上待たなければならないという状況。なぜ自転車が手に入りにくくなっているのか。
地元紙によると、コロナの影響で、世界の自転車市場のほぼ全体を占めている中国での製造ラインが停止、または減っている。ヘルメットやロック類、自転車部品や付属品を製造する工場の拠点が、中国をはじめとするアジアにあり、供給不足または遅れが出ているため、多くの人々が2021年内に自転車を購入することができない可能性がある。
船の輸送量も減っているため、自転車部品や付属品がアジアの港で数カ月停滞していることも原因と見られている。需要はあるものの、発注したものがなかなか欧州に入ってこないというわけだ。
ならば、製造ラインをアジアから移せば良いのではないかというと、そう簡単にはいかない模様。自転車の付属品類は特に、短期間でアジアから製造拠点を移すことは非常に難しく、その動きも今のところないと言われている。
欧州の人口比率では、オランダの人々が最も自転車を所有する数が多いという。デンマークのコペンハーゲンもまた、住民のうち自転車で通勤する人が約半数以上いるという、世界でも最も自転車にやさしい街として知られる。また、ベルギー、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、スイスでも自転車利用率は高い。
欧州で最も多く自転車を製造している国はポルトガル。自転車関連のスタートアップも多く見られるものの、中国との競争に勝つのは非常に厳しいのが現状のようだ。
北欧ニュース編集員
健康にも環境にも良い自転車の需要が高まっているのに、自転車が手に入りにくいというのはなんとも皮肉。コロナが落ち着いた後でも、自転車へのムーブメントが続くといいですね。コペンハーゲンのように自転車専用レーンがしっかりと整っている街が増えますように!