2018年に来日時のリューベン・オストルンド監督 © FDC / Philippe Savoir (www.filifox.com) |
第75回カンヌ国際映画祭が5月28日に閉幕。スウェーデンのリューベン・オストルンド監督作『Triangle of Sadness』が最高賞となるパルムドールを獲得した。前作の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に続き、2作連続でパルムドールを受賞したことになる。
舞台はファッション業界。物語は、モデルとインフルエンサーのカップルらが乗船する豪華客船が遭難し、生存者らでの無人島生活が始まると、これまでの乗客と従業員という立場だったパワーバランスが崩れ、逆転していく様子を描いたもの。父権制社会だったファッションモデル業界から、無人島では母権制社会へと移っていったときの人々はどう行動するのか。オストルンド監督ならではの鋭い人間考察と絶妙なユーモアを楽しめる作品になっている。
『ザ・スクエア 思いやりの聖域』の日本劇場公開に来日した際、オストルンド監督はインタビューで『Triangle of Sadness』にも触れていた。その中で、ファッション・カメラマンであるオストルンド監督の妻がファッション業界の面白い話をしてくれるとのことで、そこから今作のインスピレーションを得たようだ。
また、北欧では、タリク・サレ(Tarik SALEH)監督作『BOY FROM HEAVEN』が脚本賞に輝くなど、スウェーデンにゆかりのある監督作品が目立った。
スウェーデン映画『ボーダー 二つの世界』で2018年にある視点部門を受賞し、話題をさらった注目のアリ・アッバシ監督の最新作『HOLY SPIDER』は、イラン出身のザーラ・アミール・エブラヒミ(Zar AMIR EBRAHIMI)が主演女優賞を獲得。『HOLY SPIDER』は、イランで実際にあった娼婦の連続殺人事件を元に描かれた作品である。
日本関連では、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』で、主演を務めたソン・ガンホが主演男優賞を受賞。また同作は、カンヌ国際映画祭の独立部門の一つで、キリスト教関連団体から贈られるエキュメニカル審査員賞を受賞した。
ある視点部門にノミネートされていた早川千絵監督の『PLAN 75』もまた会場を魅了し、カメラドール(新人監督賞)の特別賞を受賞している。
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北欧ニュース編集員
前作『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に続き、またまたパルムドールを受賞!おめでとうございます!
来日時も、とても話し好きで、明るく楽しい雰囲気の方でしたので、受賞時は大興奮だったのではないかと想像します。
それにしても、オストルンド監督、強い。
前回は「ザ・スクエア~」で「四角」でしたが、最新作は「トライアングル~」で「三角」?もし意識的にタイトルをつけていたら面白いですね。