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2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロとウトヤ島で発生した連続テロ事件から今年で11年を迎えるにあたり、77人の犠牲者を追悼する記念碑がウトヤ島に建てられた。
6月18日に行われた追悼式には、ホーコン皇太子、ヨーナス=ガール・ストーレ首相のほか、生存者や家族、犠牲になった人々と深い親交のある人々が参列。記念碑は、ウトヤ島に上陸する時に使うドック(船着場)のすぐそばにあり、犠牲になった77人を示す77本のブロンズの柱で構成されたものになっている。
当初、記念碑は、別の場所に別のものを建てる計画だったが、それが白紙になり、ドックに建てることになったという。
ドック脇に建てられた記念碑だが、これが問題となっている。ウトヤ島近郊に住む住民らは、ノルウェーと多くの犠牲者が所属していた労働党の青年部に、記念碑の移転を求める異議申し立てを行ったという。理由としては、当時、救助活動に参加し、今のなおトラウマになっている人が多く、記念碑がそのトラウマを長引かせる可能性があると主張している。
ノルウェー連続テロ事件は、2011年7月22日、オスロの政府機関の近くで、トラック爆弾により8人が犠牲になり、さらには、ウトヤ島で69人が射殺された事件。ノルウェーで発生したものとしては戦後最悪の大量殺人事件といわれる。
同事件の罪で収監されている極右過激派のアンネシュ・ベーリング・ブレイビク受刑者は、2012年にノルウェーの最高刑である禁錮21年の刑が言い渡されている。しかし、社会を脅かす存在と判断された場合、任期は無期限に延長される。
そして今年2月、裁判所はブレイビク受刑者の仮釈放申請を却下。事件について反省の姿勢がなく、7月22日のような行為を繰り返す危険性があると判断された。
同受刑者は当時ネオナチ運動に傾倒しており、多文化主義を支持していた被害者に対して犯行に及んだという。
▼参考記事
ノルウェーの最高刑は、なぜ禁錮21年なのか?(北欧ニュース:2012/09/04)
北欧ニュース編集員
その事件を忘れないよう、事件で亡くなった人たちを追悼する記念碑ですが、建てる場所の選定もなかなか大変なのかもしれません。
この式典の約1週間後となる6月26日に、オスロで2人死亡、20人以上が負傷するというショッキングな銃乱射事件が起こりました。調べによると、犯行に及んだのはイラン系ノルウェー人の男性で、イスラム過激派によるテロの疑いもあるとのことです。