Photo by Magnus Fröderberg/norden.org ©️2021 GO TO SHEEP |
北欧5カ国による「北欧理事会映画賞(Nordic Council Film Prize)」が11月1日に発表された。この映画賞は、北欧文化にルーツを持つ芸術性の高い長編映画に授与される賞で、毎年北欧5カ国から選出された計5作品のうち、1作品に贈られる賞である。
2022年の北欧理事会映画賞は、アイスランド映画『LAMB/ラム』に決定。フィンランドのヘルシンキで行われた授賞式にて、フィンランドのサンナ・マリン首相から賞が授与された。
同作は、監督兼脚本家のヴァルディミール・ヨハンソンによるデビュー作。脚本はヨハンソン監督とアイスランド人脚本家のショーンの二人で担当。プロデューサーのフレン・クリスティンスドティアとサラ・ナシムによって製作されたアイスランド映画で、2021年のカンヌ国際映画祭のある視点部門で「Prize of Originality」を受賞し、国際的にも評価の高い作品となった。
他の4カ国の候補作品はというと、デンマークからは、教会を建設し、その人々を撮影するためにアイスランドの僻地まで旅する若いデンマーク人司祭の物語『Godland』(Vanskabte Land / Volaða Land)。監督を務めたフリーヌル・パルマソンはアイスランドで生まれ、デンマーク国立映画学校を卒業。長編3作目となる『Godland』は、2022年のカンヌ国際映画祭のある視点部門でワールドプレミア上映されている。
フィンランドからは、テーム・ニッキ監督の『The Blind Man Who Did Not Want to See Titanic』(Sokea mies joka ei halunnut nähdä Titanicia)。電話のみでまだ直接会ったことはないが、愛する女性のもとに駆けつけるために、5つの場所で5人の見知らぬ人の力を借りることになる盲目の車いす生活の男性の物語。2022年ユッシ賞(フィンランド・アカデミー賞)最優秀主演男優賞、最優秀音響デザイン賞、ノルディスク・フィルム賞受賞作。
ノルウェーからは、2021年のカンヌ国際映画祭で女優賞を受賞、日本でも今年7月に劇場公開されたヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』(The Worst Person in the World / Verdens verste menneske)。オスロの美しい街を舞台に、理想と現実に揺れながらも、自分の気持ちに従って人生を選択していこうとする1人のアラサー女性の物語。
スウェーデンからの候補作品は『Clara Sola』。コスタリカの人里離れた村が舞台。引きこもりの40歳の女性が、彼女の人生を支配してきた抑圧的かつ宗教的な慣習から自分自身を解放するための旅を始め、性的で神秘的な目覚めを経験する物語。監督は、コスタリカで演劇の経験を積んだ後、ストックホルムの大学で学んだコスタリカ・スウェーデンの脚本家兼監督のナタリー・アルバレス・メセン。同作は監督の長編デビュー作で、2021年のカンヌ国際映画祭の監督週間部門でプレミア上映されている。
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北欧ニュース編集員
カンヌで上映されたり、受賞したりと、国際的にも評価を得た作品がずらりと候補に上がりましたね。フィンランド映画『The Blind Man Who Did Not Want to See Titanic』は、11月19日(土)より、渋谷のユーロスペースにて開催されるフィンランド映画祭2022にて『タイタニックを見たくなかった盲目の男』というタイトルで上映されますよ!
ちなみに、同作のテーム・ニッキ監督の『ペット安楽死請負人』は、第30回東京国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。フィンランド映画祭2017でも上映されました。『タイタニックを見たくなかった盲目の男』は再び、ヤニ・ペセ プロデューサーとタッグを組んだ作品となります。
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