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毎年、この時期になると、アイスランドの首都レイキャビク市から、人々にこのような忠告が出る。
「鳥たちにパンを与えないように」
レイキャビク市によると、チョルトニン湖(Tjörnin)でカモの子どもにパンを与えると、そのパンだけでなく、雑食性のあるさまざまな種類の鳥類、例えば、カモメたちのターゲットになる可能性があるため、特にこの時期はパンを与えないよう呼び掛けているという(パンは鳥用のパンのこと)。カモ、ガチョウ、白鳥など、数多くの野鳥が生息しているチョルトニン湖は、冬には水面が凍り、観光客だけでなく、地元の人々もスケート場として楽しめる憩いの場となっている。
チョルトニン湖では、全長約60センチもあるセグロカモメが増加しており、春に生まれたばかりのカモの子らが餌食となる可能性が高まっているとのこと。今の時期、カモの親たちは子どもたちに十分な餌を与えているため、人が餌を与える必要がない。また、パンの量が多いと、特にセグロカモメが集まり、鳥の数が増え、パンだけでなく鳥の糞の量も湖の有機汚染に繋がる可能性があるという。
また、暑い夏の時期に藻類が大量発生すると、水生植物の成長が阻害され、雛だけでなく、他の鳥たちにも重要な食料である昆虫や他の水生動物に悪影響を与えてしまう可能性がある。
レイキャビク市は、5月中旬から8月中旬まで、約3か月間、カモに餌を与えないよう忠告しているが、その他の期間、例えば、秋から冬は、湖の鳥に餌をあげる行為を良しとしている。それは、冬の寒い時期は鳥の餌が不足するため、サポート的に餌を与えるのはOKというわけだ。できれば、パン以外に、トウモロコシや米といった栄養のある穀物、種などをあげたほうが良いという話もある。
親鳥に連れられて、歩く可愛らしい雛鳥たちを見ると、思わず餌をあげたくなる気持ちが大きくなってしまいそうだが、ここは彼らのためにも、他の野鳥たち、周辺環境の生態系を乱さないよう、勝手な行動は控え、ルールを守ることが大切だ。
北欧ニュース編集員
湖の訪問者に対して、夏季はこのような理由で餌やりはNGだけど、冬季はOKなど、わかりやすく伝えてくれるのは助かりますよね。完全にNGでもなく、自由にどうぞでもなく。このやり取りから、アイスランドでは人と自然の動物がバランスを取りながら共存しているのを感じます。ちなみに、この湖の主な鳥の種類は、マガモとキンクロハジロという鳥だそうですよ。