2023/08/30 今日は「ノルウェー」よりこんなニュースが届きました!

トナカイの越境を阻止しなければ……北極圏のノルウェー国境で起こっていること


Photo by Annika Thierfeld / pexels

198キロメートルにわたって国境を接しているノルウェーとロシア。北極圏の国境沿いには、1954年から150キロメートルにわたる「トナカイ柵」と呼ばれる柵が建てられている。

約70年も経つため、さすがに柵の老朽化が進み、ノルウェー政府は約7キロメートル分の柵を修復することを決定した。建設費は約370万クローネ(約32万ユーロ)。今年の10月1日までに完成する予定とのこと。

なぜ早急に柵の修復が必要になったかというと、ノルウェー当局の話では、今年になってから柵をくぐり抜けて、42頭のトナカイが国境を越えてロシア側に渡ってしまったというのだ。

トナカイは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにわたるラップランドに住む先住民族であるサーミの人々によって飼育されており、季節ごとに食べ物を求めて広い距離を移動していく。北極地域では、大多数がノルウェー側に住んでいるという。

より良い牧草地や放牧地を求めて国境を越えてしまうトナカイは、今年ロシアに渡った42頭のうち、40頭がノルウェーにすでに帰還。残りの2頭も間もなく戻ってくる予定だという。

トナカイがロシア側に入り、自然保護地区の草を食べてしまうと、ノルウェーはトナカイ1頭につき約5万クローネ(約4300ユーロ)の損害賠償を支払わなければならない。その上、返還されたトナカイたちは、柵の修復中も再び国境を越えて徘徊してしまうというリスクがあるため、安全性を考慮し、屠殺の対象となるとのこと。

トナカイがこのように再び国境を越えてしまうことを防がなければならないと同時に、柵の建設中にも苦労が絶えない。作業にあたる労働者は、ロシアのビザなしでロシア領土に入国した場合は不法入国となるため、労働者は常にノルウェー側で作業することが求められるという。

※レート換算は8月29日時点


北欧ニュース編集員


ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4カ国にわたる北極圏に住む先住民族のサーミの人々が飼育するトナカイたち。
エサとなる草を求めて季節ごとに広大な土地を移動していくわけですが、現在、ロシアとの事があるため、トナカイたちはどのように過ごしているのかと、つい最近、気になっていました。
随分前からトナカイ用の柵があったようですが、トナカイたちはすり抜けてしまっていたんですね。。大変だと思いますが、とにかく早急に柵の修復が終わりますように!

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