9月1日より、今日のデンマーク・デザインに影響を与えたデザイナー、ボーエ・モーエンセンと、デンマーク・デザイン史を語るのに重要なキーワードのひとつである家具メーカー、FDBモブラーに焦点を当てた「ボーエ・モーエンセンとFDBモブラー展」が、リビングデザインセンターOZONEにて開催されます。
ボーエ・モーエンセンとFDBモブラーは、現在のデンマーク・デザインにいったいどのような影響を与えたのでしょうか？デザインだけでなく、デンマーク社会にとっても、重要な役目を果たしているようです。
デンマークの高品質で美しい家具はどのようにして生まれたのか？
1800年代半ばごろ、とても貧しい国だったデンマークは、一般の人たちが日用品や食品を手に入れられるよう、「協同組合」を作りました。イギリスに続き、デンマークも世界でいち早くこの仕組みを取り入れたそうです。
その後、デンマーク生活協同組合連合会（FDB）が誕生し、各地にスーパーマーケットをオープン。各商品が、良い品質かつ適正価格で多くの人々に行き渡るように。製造から流通・販売・購入に至るまで管理する形態は、現在のCOOPに当たります。特徴的なのは、食品や日用品だけではなく、雑貨、薬品、出版、家具、芸術、ガソリンなど、日常生活すべてに関わる様々な部門が存在しました。
当時デンマークの家具は、オーダー家具か、低価格で質の悪いものか、どちらかのみ。そこで1942年、FDBは、インテリア事業の角度から消費者の生活レベル向上を目指し、自社で家具の製造から販売に至るプロセスをすべて担う「FDBモブラー」を立ち上げ、若き日のボーエ・モーエンセンが初代企画デザイン担当責任者に抜擢されました。FDBモブラーの家具を使った素敵な暮らしをメディアを使って国民に訴求。作り手・売り手・買い手ともに、高い感性と美意識を持つデンマークの国民と社会を作り上げていったのです。
その後、FDBモブラーで経験を積んだハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンといった、若きデザイナーたちによる家具が賞賛を浴び、デンマーク・デザインが世界でその名を知られるようになったというわけです。
「ボーエ・モーエンセンとFDBモブラー展」は、モノだけに焦点を当てた展示ではなく、ものづくりの背景や仕組みを通して、デザインとは何か、豊かさとはどういうことかを追求していく内容になっています。会期中、会場では、モニターでセミナー内容（6月から全4回開催）を上映予定（セミナーについてはこちら）。セミナーに参加できなかった人も内容に触れられるチャンスです。
さらに、現在デンマーク デザイン ミュージアムで開催中の「Learning from Japan展」（※）で紹介されている情報をもとに、デンマークのデザイン（仕組み・造形）に影響を与えたのは、日本のモノづくりや文化だったという、知られざるデンマークと日本の接点にも注目です。
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ボーエ・モーエンセンとFDBモブラー展
会期：2017年9月1日（金）～26日（火） 水休
会場：リビングデザインセンターOZONE3F
東京都新宿区西新宿3-7-1新宿パークタワー
https://www.ozone.co.jp/
企画展公式HP：http://www.fdbmobler.jp/150th/
＜関連イベント＞
■2017年9月3日（日）14:00～16:00
内容： ドキュメンタリーフィルム Børge Mogensen DESIGN FOR LIFE（約70分）上映会とトークセッション
登壇者： 島崎信×多田羅景太（京都工芸繊維大学 デザイン・建築学系 助教）
■2017年9月17日（日）14:00～15:30
内容： 企画展メインテーマ ボーエ・モーエンセンとFDBモブラー ギャラリートーク
登壇者： 島崎信×Leon Esben Ota（Bo Bedre Japan 編集長）
※上映会とトークセッション、ギャラリートークは各回定員50名で事前予約制です。予約がなくても参加いただけますが、席に限りがございますので、ご案内出来ない場合がございます。ご了承ください。
※イベントの参加申し込みは、こちらをご確認ください。
＜全4回シリーズ関連セミナー＞
■2017年6月15日（終了）、7月14日（終了）、8月25日、9月1日
場所： 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー
リビングデザインセンターOZONE8F セミナールーム
※セミナーの詳細、参加申し込みはこちらをご確認ください。
