北欧総合情報サイト【北欧区】hokuwalk.com - 【映画】フィンランドの名脇役が初主演映画の感想を静かに語る!第30回東京国際映画祭記者会見
HOME > What’s New > 2017年 > 2017年11月01日

【映画】フィンランドの名脇役が初主演映画の感想を静かに語る!第30回東京国際映画祭記者会見



10月25日に開幕した第30回「東京国際映画祭」も残り数日!11月3日のクロージングセレモニーでは、各部門受賞者が発表されます。

昨今は社会情勢が色濃く出た作品が多く見られ、今年もその流れはあるようですが、今年は、個の内面、心の内側に迫る内容を描いた作品が目立ったとのこと。北欧から唯一、コンペティション部門にノミネートされたフィンランド映画『ペット安楽死請負人』もまた、まさに「個」の内面や、主人公をはじめ、出てくる人物の生き方、生き様に目が向けられていたように感じます。

『ペット安楽死請負人』は、表向きの仕事は自動車修理工、裏の顔はペットの安楽死サービスを請け負う主人公が、自分勝手な依頼主を処罰していくという物語。主人公のヴェイヨ役を演じたのは、アキ・カウリスマキ監督の「浮き雲」「街のあかり」で知られるフィンランドの名脇役、マッティ・オンニスマー。監督は、以前フィンランド映画祭2015でも作品が上映され来日しているテーム・ニッキ。記者会見では、制作エピソードや見どころを聞くことができました。(※マイクが苦手なマッティさんは地声で)


マッティ・オンニスマー(左)、テーム・ニッキ監督(右)

■満を持してマッティを主役に抜擢。人間臭い人物像を作りたかった。

主人公ヴェイヨのキャラクターはどこから着想を得たかという笠井アナの質問に、「自分自身の醜い部分ばかりを持ち合わせた人物です」とテーム監督。どんなに素晴らしい人でも酷い部分があり、逆にどんなに酷い人でも良い部分があるという、人間臭い人物像を作りたかったのだとか。

また、マッティさんとは16年来の付き合いだというテーム監督は、「マッティとは色んな映像作品で一緒に仕事をしてきたけれど、チャールズ・ブロンソンやクリント・イーストウッドのような役をやってもらいたい」と思っていたそうです。「マッティに演じてもらいたくて、『ペット安楽死請負人』を書いたようなもの」とテーム監督。

■古いものと新しいもの、合わない音楽をわざと掛け合わせた。

音楽にも狙いがあるとテーム監督。ヘルシンキのエレクトロ・ロックバンド「K-X-P」のティモ・カウコランピによる楽曲を使用しており、「わざとハードな音楽を持ってきたかった」といいます。フィンランドの夏の柔らかな光の差す美しい森や草原。その幻想的な雰囲気にそぐわない、「雪崩のように逃げ場を作らない重い音楽をわざわざつけた」そうです。

新しい音楽と、伝統的な楽器を使った古い音楽を掛け合わせたり、昔ながらの表現を取り入れたりすること。それもこの映画の狙いだったとテーム監督。

■フィンランドの名脇役、本作で初主演。大きなスクリーンに長時間映る自分の姿にショック?!

ヴェイヨを演じたマッティさんは、数々の作品で名脇役を演じてきましたが、意外にも本作が初めての主演。笠井アナに、“フィンランドの有名俳優”と紹介してもらったことに「そんなに有名じゃない。ただ、たくさんの作品に出てきただけ」と、照れながら主役を演じた気持ちを問われたマッティさんは、「役者をやっているからには、大きな長い映画に主役で出てみたいとは思っていました。夢が叶って嬉しいです」とコメントしていました。

(褒められるのが得意じゃないマッティさん。やはりあのフィンランド人の「マッティ」と一緒?!)

「大きなスクリーンに、長時間映っている自分を見るのが可笑しかったですね。なんでこんなことしてるんだろう自分は?って、そんなことばかり(笑)」というマッティさん。違和感がなくなるには、何年くらいかかりそう?という質問に、「5~10年くらいかかるのでは?(笑)見ないでいる時間が長ければいいかも。いったん忘れたいかも」とのこと。役者人生の中でも、かなりのインパクトを残す役柄だったようです。

(C)2017TIFF
マッティ・オンニスマー(左)、テーム・ニッキ監督(右)


動物の権利や命の尊さ、人間の愚かさを描いた『ペット安楽死請負人』。バイオレンス(暴力)なシーンはありますが、その狙いは、バイオレンスは結局、たくさんの大切なものを失ってしまうんだよということを伝えたかったといいます。暴力は、身近な動物や家族、同僚、仕事、自尊心まで、なにもかも。そして、それはぐるぐると巡り巡って、自分に返ってくるまで、人は気づかないのかもしれない。

東京国際映画祭での上映は終了しましたが、フィンランド映画祭2017では、11月4日(土)、5日(日)に上映があります。東京国際映画祭でのマッティさんやテーム監督の記者会見での話を聞いた後に見ると、より深く楽しめるのではないでしょうか。(※ちなみに映画では、動物にはいっさい暴力は与えていません、とのことです)

(c)It's Alive Films 

ペット安楽死請負人

原題:Armomurhaaja/英題:Euthanizer
83分/フィンランド/フィンランド語/2017年/カラー
監督:テーム・ニッキ
主演:マッティ・オンニスマー、ヤリ・バーマン、ハンナマイヤ・ニカンデル


▼関連記事
選りすぐりの6本を見に行こう!フィンランド映画祭2017(11/4-8)
北欧からはフィンランド映画がコンペ部門に選出!第30回東京国際映画祭(10/25-11/3)



(2017年11月02日更新)
このページの先頭へ