錦織圭選手や大坂なおみ選手など、日本人テニス選手たちも世界で躍動中!多くのファンを魅了するテニス。中でも毎年イギリスで開催されるウィンブルドン選手権(全英オープン)は、雨が降って中断したりと、天候に左右されがちで、コートの状態一つでプレーが変わってくる天然芝を使うことで知られています。そのセンターコートに立てる、選ばれし者たちによる紳士な戦い。テレビ越しからも、凄まじい緊張感と気迫を感じます。
1980年、スウェーデンの美しき絶対王者ビヨン・ボルグと、悪童と呼ばれたアメリカの野生児ジョン・マッケンローがウィンブルドン決勝で対戦しました。3時間55分にも及ぶ、魂と魂が音を立ててぶつかり合う死闘を描いた映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』が、この夏、日本にやってきます。
誰にも理解されない孤独との闘い
両者ともに人生を注いだ伝説の名勝負
ウィンブルドンで4連覇を達成し、冷静沈着かつクールな立ち振る舞いから“氷の男”と呼ばれ、当時絶対王者として君臨していたボルグ。そんなボルグの5連覇を阻止するべく現れたのが、世界ランク2位でありながらも、その悪態ぶりに“悪童”とバッシングされたジョン・マッケンローでした。
対極な二人の戦いはメディアの注目の的。そこに至るまでに、どんな少年時代を過ごしてきたのでしょうか。真逆に見える二人は、果たして本当に対極だったのでしょうか。両者の内なる苦悩がひしひしと映像から伝わってくるドラマチックな展開。圧巻のテニスシーンは心を揺さぶられること間違いなし!
二人の俳優による入魂の演技は、
世界中から“最高のハマリ役”と絶賛
ボルグ役は、『ストックホルムでワルツを』でバンドのベースを務めるストゥーレ役で出演したスベリル・グドナソン(Sverrir Gudnason)。スウェーデン・ルンド生まれ、幼少時代はアイスランドのレイキャヴィークで過ごし、12歳頃に再びスウェーデンへ。身体を鍛え、セクシーなロングヘアー&髭という、王者の風格たっぷりのボルグを好演。『ドラゴン・タトゥーの女』シリーズの話題の最新作『蜘蛛の巣を払う女』にも出演し、今最も注目されている俳優の一人です。孤独、怒り、そして悲しみ。高みを目指す自身との闘い、内に秘めた苦しみを見事に演じています。
マッケンロー役は、『トランスフォーマー』の主演で人気を獲得し、近年では『フューリー』や『ニンフォマニアック』で演技派としても高い評価を得ているシャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)。悪態をつき、どこにいってもブーイングの嵐。そんな悪童っぷりの中に見え隠れする、繊細さ、切なさ。少年時代からずっと心の奥にある、父親に認められたい健気なマッケンローは必見です。
また、意外にも、すぐ激高する性格だったという少年ボルグの才能を見出し、激情を最高のプレーに変える術を教えたコーチのレナート・ベルゲリン役には、『アベンジャーズ』シリーズから『マンマ・ミーア!』まで、幅広い役柄を演じるスウェーデンの名優、ステラン・スカルスガルド(Stellan Skarsgård)。ボルグの婚約者で、ルーマニア出身の元テニスプレーヤー、マリアナ・シミオネスク役は、『ヒトラーに屈しなかった国王』でノルウェーのマッタ王太子妃を演じたスウェーデン人女優ツヴァ・ノヴォトニー。さらには、ボルグの実の息子レオ・ボルグが、9~13歳の頃のビヨン・ボルグを演じているのも見逃せません。
監督は、戦場ドキュメンタリー映画『アルマジロ』で、第63回カンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを受賞したヤヌス・メッツ。本作は自身初の長編ドラマ映画作品となります。1974年、デンマーク生まれのメッツ監督は、まだ子供だったにもかかわらず、リアルタイムでビヨン・ボルグとジョン・マッケンローの試合を覚えていたそうで、本作の監督を喜んで引き受けたとか。ハンディカムやステディカムカメラを巧みに使い、さまざまな角度から捉えたテニスシーンは臨場感たっぷり。ボルグとマッケンローの表情、内なる葛藤も絶妙に映し出されています。
勝つこと以外許されないポジションに君臨するボルグにのしかかる重圧。憧れの人に追いつき追い越すために、何も無くすものはない挑戦者マッケンロー。極限の中で一球一球テニスボールを打ち合いながら、互いに思いを交わしているようにも見え、ゾクゾクしました。最後の最後までしびれる展開。
リアルタイムで内容や結果を知っている人も、テニスや彼らのことを知らない人も、きっと、いつの間にか歯を食いしばって二人の行方を見守っていることでしょう。まだまだ暑い8月の終わりに、心燃やすスポーツ映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』、お見逃しなく!
ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男
監督:ヤヌス・メッツ
出演:スベリル・グドナソン、シャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド、ツヴァ・ノヴォトニー、レオ・ボルグ
原題:Borg McEnroe/2017年/スウェーデン、デンマーク、フィンランド/カラー/シネスコ 5.1chデジタル/108分/字幕翻訳:アンゼたかし
配給:ギャガ
© AB Svensk Filmindustri 2017
8月31日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開!