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24年目となるデザインの祭典「東京デザイナーズウィーク2009」が10月30日より、明治神宮外苑ほか、都内80ヶ所で開催されました。
11月2日に訪れた北欧区プレススタッフ。あいにくの雨模様で肌寒かった日でしたが、幸運なことに、会場にいたころは雨はやんでいました!
まずは、お目当ての最新のコンテンポラリーインテリア・デザイントレードショー「100% Design Tokyo」のテント内へ。どんよりお天気で暗い表情もパアッと明るくなるような、ハッピーな展示がいっぱい!
こちらの木のぬくもりがうれしい、木製のハートのゲートがお出迎え。→
ハートゲートをくぐると、今年のテーマ「LOVE GREEN」がもう目の前に。
四角い中に個性的な「LOVE GREEN」がギュッと詰まった「キューブ・エキシビジョン」が私達を和ませてくれました。
今年は“環境に対してデザインができること”がコンセプト。
今回唯一北欧からの出展だったのが、フィンランドの家具メーカーPIIROINEN(ピロイネン)社でした。
この日16時より、新素材家具「COMPOS(コンポス)コレクション」誕生秘話や製作の舞台裏といった貴重なお話を、デザイナー、サムリ・ナーマンカ氏自ら披露してくださいました。
都市計画・ランドスケープのプロジェクトに携わり、その功績で知られるサムリ・ナーマンカさん。
昨秋、リビングデザインセンターOZONEにて開催された「サムリ・ナーマンカ - アート・アンド・インダストリー展」でも披露されたように、ナーマンカさんはコンクリートにグラフィックデザインや色付けを施すことができる“グラフィックコンクリートデザイン技術”や“コンクリート染色技術”を編み出しました。
壁面にいろんなデザインが施せる技術です。
【参照】
「サムリ・ナーマンカ - アート・アンド・インダストリー展」については「デザイナーの特許技術でひろがるデザインの世界」をご覧ください。
建築界とインテリアデザイン界に大きな可能性を与えることになった、ナーマンカさんの特殊技術。
いろんな建築家がその技法を使ってくれるので、「とてもハッピー」だと語っていました。
たとえば、ヘルシンキ市内のパーキングの外壁や、最近手がけたプロジェクトなら、ヘルシンキ図書館。ヨーロッパやアメリカでも普及しつつあるので、ぜひ日本でも実現したいとナーマンカさん。
コンクリート技法に携わっていたこともあり、仲間内からもらったニックネームはなんと、“コンクリート・ナーマンカ”。
コンクリートの仕事が一段落したころ、コンクリートから少し離れてみようと、家具やテキスタイルのデザインも手がけるようになったそうです。
昨秋OZONEでも展示されたテキスタイル作品の画像も見せてくださいました。
そこで取りかかってみたのが、100%生分解できるイスの座面の開発。プラスチックは一部リサイクル可能ですが、100%リサイクルは出来ません。
100%生分解できる理想の素材の開発には、かなり苦労したナーマンカさん。完成まで、約3年の歳月がかかったといいます。
ナーマンカさんがたどり着いた素材は、フィンランド産の麻、トウモロコシの澱粉などを混ぜ合わせたもの。天然素材なので、口に入れても大丈夫のよう。でも、「味見はしてないけどね(笑)」とお茶目なナーマンカさん。
非常に丈夫で、長く使えると評判のピロイネン社の100%リサイクル可能なスチールとタッグを組み、ついにコンポスコレクションが誕生しました。
コンポスチェアの特徴としては、吸音性が高いこと、また、自然素材なので、プラスチックのイスに座るよりは、吸汗性があるそうです。
確かに、汗だくでプラスチックのイスに座っていたり、暑い時期、長時間プラスチックのイスに座っていると、オシリが気持ち悪くなりますよね。
まるで、「麻の洋服を身にまとうように心地良いと思います」とナーマンカさん。
今揃っているのは、カフェチェア、ロビーチェア、そしてテーブル。まだまだこれから“コンポス・ファミリー”(色やラインナップ)を増やしていきたいそうです。
質問コーナーでは、まず「色づけについて」があがっていました。今あるカラーは自然素材そのままのナチュラル、そしてブラックとホワイト。
染料はどうするのかという質問に、トウモロコシの油を使って染料を加えていくとのことです。
これ以上は企業秘密なので、言えないそうです。
次に「接着面はどうなっているのか。接着剤の使用は?」という質問には、接着剤は一切使ってないとのこと。座面とスチール足をつないでいるのは、やはりこれもリサイクル100%のネジ、だそうです。
また、たとえばずっと屋外に置きっぱなしにしておいた場合に、コンポスチェアはどうなってしまうのか?溶けてなくなってしまうのか?「耐候性・耐水性・耐火性は?」という質問には、「それは無垢材と同じで、合板よりは水を吸収して分解していきます」とナーマンカさん。
お聞きしていると、“生きている家具”という感じがしました。
私達と同じ、命ある家具。
コンポスコレクションは、今年6月に発表されたばかり。なんとフィンランドでもまだ見られない新素材家具なんです。今回の東京デザイナーズウィークで、世界初お披露目となりました。
座らせていただきましたが、見た目すっきりしているのに、ふわっと、すっぽりと体を包んでくれるような包容力あるチェアでした。
サンドウィッチ・チェーンのサブウェイが“植物工場”を併設し、近未来型飲食店舗デザインを披露した「100% cafe」でも、コンポス・カフェチェアが使われていました。
カフェは超満員!みなさんサンドウィッチにかぶりつき、ドリンクを飲みながら、とってもリラックス状態。(さすがに写真は控えさせていただきました 汗)
コンポス・カフェチェア、ものすごく、ハマりきっていましたよ!
■PIIROINEN(ピロイネン)
1949年創業。自社ブランドの家具コレクションを国内・ヨーロッパ・米国・日本に輸出している。
http://www.piiroinen.com/
【お問い合わせ】casE (ケース)
http://www.casedepon.com/
世界のデザイナーによる展示ショップ「Designboom Mart」も賑わいをみせていました!
また直接購入できる「100% Shop」も、インテリア雑貨を中心にユニークなものがずらり!
目に留まったのは、Hacoaさんの木製パソコンキーボード。ぬくもりを感じるのはもちろん、まるで小さい頃に遊んだ積木やパズルの感触を思い出しました。
Hacoaさんは、木をベースに、見て“判り易く”、“感動”、“楽しく”をテーマに商品企画・デザインから、製造・販売まで行っているブランドです。
http://www.hacoa.com/
今年も華やかに幕を閉じた東京デザイナーズウィーク。25年目となる2010年には、一体どんなサプライズが待っているのでしょうか。みなさんも、ぜひ!