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「ご病気で亡くなられた粟辻先生の事務所(粟辻デザイン室)には、3年半いました。学校とは違う印象で、かなり怖くて。先生の車の運転と生地巻きだけは褒められました(笑)」 影響を受けた粟辻先生の作品がこちらの生地。巨大な柄なので、「刷るのがとても大変だったはず」と鈴木さん。 このあたりから徐々に専門的な目線での「テキスタイル愛」トークがヒートアップしていきます。 |
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「羨ましいのは、フィンランドの生活のど真ん中に、生地があるということ」 フィンランドではカーテンやテーブルクロスをはじめ、家の中はテキスタイルだらけ。真冬の寒い時でも、ウールではなく、綿のプリント生地に中綿詰めてコートにしたり。とにかく小さな空間でも綿や麻の生地を取り入れているフィンランド衝撃を受けたという鈴木さん。 粟辻デザイン室勤務のあと、カーテンなどのクラシック柄や花柄の図案を描く仕事をこなし、奥様とショップ兼事務所も兼ねたウンピアットを設立。企業相手のデザインも手がけながら、プライベートファブリックブランドOTTAIPNUを立ち上げました。 10年ほど前に「デザイナーズテキスタイル展」に参加。オリジナルを作るということに一瞬戸惑ったという鈴木さん。このときはあまり売れなかったそうですが、オリジナル制作に楽しさを見いだし、「日本にテキスタイルを浸透させたい」という想いからオリジナル作品を作り出しました。 |
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憧れ続けたマリメッコ社のデザインを手がけることになった鈴木さん。夢が叶った今も「半信半疑」。いまだに信じられないとか。 フィンランドを訪れると、観光地よりも、マリメッコショップ、マリメッコファクトリー、Vuokkoなど、テキスタイル関連をとにかく梯子したそうです。 左画像は、マイヤ・イソラが当時手がけたというヴィンテージ生地。 「花柄はマリメッコがあるから、自分は動物柄で行こうかなと(笑)」 |
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右画像は、鈴木マサルさんデザインの人気の生地「hitsuji」。リネンメーカーラプアン・カンクリ(Lapuan Kankurit)社向けに手がけたデザインです。 生地いっぱいに描かれた羊が可愛い作品。 |
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ここからは、鈴木さんが影響を受けたデザイナーの作品や、貴重なヴィンテージテキスタイルを、鈴木さんと築地さんに解説していただきましょう。 鈴木さんが影響を受けたデザイナーとして、マイヤ・イソラ、石本藤雄、粟辻博、ヨーゼフ・フランクという4人の名前があがりました。 |
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「4日間の滞在中、お店に5回も通いました(笑)」 こちらの生地は、ヨーゼフ・フランクがデザインしたスウェーデンのテキスタイルメーカースヴェンスクテンのもの(悩んだあげくご購入。ものすごい高価だそうです!)。 衝撃を受けたというこちらの生地は60年代にデザインされたもので、たった5色しか使っていないのにこのクオリティ。美しくリピートされたパターンに大絶賛の鈴木さん。 |
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「自分にはない世界観。ただただカッコイイ」 次に鈴木さんが取り出してくれたのは、石本藤雄さんの復刻版の生地。水墨画のような繊細なラインと、わび・さびを感じるデザインです。 「一番最初にマリメッコから出した生地を、石本さんが褒めてくださったんです」と嬉しそうにお話していました。(傘展最終日、石本さんが会場にいらしたそうです!) |
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次々と出てくるゴージャスな生地たちによる「テキスタイル劇場」に、ますます引き込まれていく会場。 ここで聞き手役の築地さんが披露してくれたのが、なんとデンマークの巨匠アルネ・ヤコブセンの生地。グリーンの爽やかな色あいに会場も釘付け。 「こんなうまい絵、描けない!テキスタイルを心得てますよね。見とれてしまうほどうまい・・・!」と唸りまくりの鈴木さん。 さすがに数も少なく、大変貴重なものだそうです。 |
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ムーミンのテキスタイルの仕事でも活躍中の鈴木さん。今度はムーミンにまつわる生地を見せていただきました。 トーベ・ヤンソンが手がけたムーミンのヴィンテージファブリックです。こちらも数がない貴重なもの。 褪せた感じが味わい深い一品。 |
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グリーンのムーミンというだけでも珍しいのですが、よくご覧ください。ゴキゲンなポーズのムーミンですが、あまりゴキゲンには見えません。ムーミンの目が入っていないのです。 実は目にはグレーの色が入っていたそうなのですが、消えてしまっているのだとか。となりのミィの洋服も元はもっと濃い色だった可能性があります。 |
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テキスタイルというフィルターを通して鈴木さん自身が歩んできた歴史とともに、伝わってきたのは「鈴木マサルさんのテキスタイル道」。 テキスタイルへの真摯な姿勢、まっすぐでひたむきな気持ち、好奇心、行動力、情熱が、夢を手繰り寄せる・・・それを鈴木さんは見事に証明されています。 数年後、10年後、もっと未来に、いろんなシーンで目にすることになるであろう鈴木マサルさんのテキスタイル。今後の活躍が楽しみです。 |
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【番外編:鈴木マサル流 テキスタイルへのこだわり】 その一) 耳(両端部分)の処理は、両側に穴のあいていないものが好み。 そのニ) フィンランドに行った際、フリマで売られているのを譲ってもらう。 その三) 生地は四角いままクリップで吊り下げて、生地本来のデザインを楽しんでもらいたい。 その四) 生地はそっと引き出しに閉まって、たまに開けて見て楽しむのが理想形(笑)。 |
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【プロフィール】 | ||||||||||||||||||
鈴木マサル(すずき まさる) |
千葉県生まれ 多摩美術大学染織デザイン科卒業後、粟辻博デザイン室に勤務 1995年に独立、2002年有限会社ウンピアット設立 国内外のインテリアテキスタイルの企画、デザインを手掛けながら2005年からファブリックブランドOTTAIPNUを主催 2006年より、今治のタオルメーカーの㈱吉井タオルと提携し、OTTAIPNU TOWEL COLLECTIONをスタート 2009年、北欧最大の展示会 HABITARE ahead!(フィンランド)にて作品発表 2009年SSより、リネンメーカー ラプアン・カンクリ社(フィンランド)のデザインを手掛ける 2010年、AMBIENTE(ドイツ)にて経済産業省主催の connectjapanデザイナーに選ばれ作品を発表 2010年AWコレクションから日本人としては3人目のデザイナーとしてマリメッコ社(フィンランド) のデザインを手掛ける 2011年より㈱ムーンバットからOTTAIPNU Umbrella & Parasol COLLECTIONをスタート 2012年、ムーミンとのコラボ企画、(株)クォーターリポートのMOOMIN TRIBUTE WORKSを手掛ける 現在は日本、フィンランドを中心にプリントファブリックを主体にしたモノ作りを行っている 有限会社ウンピアット取締役 東京造形大学准教授 ブログ「テキスタイル獣道」 http://ameblo.jp/ottaipnu/ |
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鈴木マサル傘展 - 持ち歩くテキスタイル - 会期:2012年5月12日(土)~5 月27日(日) 11:00~18:00 会場:OYAMACHO18-23(+case gallery) 〒151-0065 東京都渋谷区大山町18-23 コートアネックス大山町1F |
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【参考記事】
【特集】石本藤雄展「布と陶に咲く花」レポート!
【写真掲載】
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未掲載フォトもあり!
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