11月30日~12月6日まで、渋谷ユーロスペースにて開催されていた
スウェーデン映画祭2013。同じ建物2F
オーディトリウムでは中国インディペンデント映画祭2013が12月13日まで開催、さらに、イメージフォーラムではポルトガル映画祭2013も開催されていたという、まさに映画祭三昧な東京・渋谷でした!
映画祭を渋谷でハシゴできちゃうなんて!なんて贅沢な!
というわけで、本日のブログは、
スウェーデン映画祭2013の続きです。
こちらもご参考に!
【特集】スウェーデン映画祭2013より「シーモンとオークの木」「四年間(Q&Aあり)」 まずはこちら。画像がないのですが、パトリック・エークルンド監督の長編デビュー作「
フリッカー」から。こちらは国内では、沖縄国際映画祭で公開されている作品ですが、東京では初公開。
「非常にスウェーデンらしいブラックユーモアの代表作」とオススメの「フリッカー」。「配給が付くことを祈ります」と、スウェーデン大使館さん。
Flickerは「瞬く」「光り輝く」「ゆらゆらする」「ちらちらする」という意味。
「電気」を通じて、その町に住むいろんな人のストーリーがオムニバス調に展開。まず、電気や通信を商売道具にしている人たち、電気や通信に雇われる人た
ち、電気や通信にトラブルがあった際に最も危険な目に遭う可能性の高い人たち、電気や通信に反発し、破壊をもくろむ人たち。
みんなそれぞれにトラウマや問題を抱えていて、不器用で繊細。随所にクスクスと笑えるコミカルな部分と、シリアスの面のバランスが可笑しい。
突如何かが起こって、不便な境遇になっても、身近にいる大切な人を思いやり、気づいて、語り合うこと。“壊れたらおしまい”のものよりも、永遠に続くものを大切にと、実は深いことを教えてくれるような。
人間って単純で、フクザツで。振り回して、振り回されて。翻弄されながらも生きてゆく人間の様をユーモラスに描いた作品。
「フリッカー」
http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/-sys2/-sys/-sys11/ リカルド・ホーベット監督作「
アンチーブまでの片道」は、父・イエオリの財産目当てで実の息子と娘が父をだまし、家を勝手に売りに出すといったところからスタート。冒頭から複雑な思いにさせられます。
年寄りはやはり弱者なのだろうか・・・そんなストーリー展開を感じていたら、旅に出る頃のイエオリには悲しみ以上に、何か吹っ切れた強さを持ち合わせた人
に。一方で、ちょっとした変化に対して文句ばかりを並べ、人のせいにし、自分が置かれている環境に顔を背けていた若者もまた、旅とともに徐々に心を動かさ
れ、変化していくさまが清々しく感じた作品。
騙されていることがわかっていても、わざと騙されてあげたり、相手を思いやるイエオリ。でも最終的には・・・?イエオリの知恵と経験が勝り、してやったり、なシーンも面白い。
結局、イエオリは息子と娘に家を渡し、孤独になった自分は昔の恋人が住むフランスのアンチーブを訪れ、新しい人生を送ることに。恋人には会えたのでしょうか・・・?イエオリは、フランスだと発音が「ジョルジ」に。
「アンチーブまでの片道」
http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/-sys2/-sys/-sys2/ 最後に観たのが「
セッベ」。こちらはスウェーデン大使館のベイェさんもイチオシの作品のひとつ。反響もたくさんあったようで、見逃せない作品だと楽しみにしていました。
初めに言ってしまいますけど、ラスト5分間ほど、泣きっぱなしでした。わ・・・どうしよう・・・といわんばかりに涙が止まらず、焦ってヘンな汗も出たほど(笑)。
静かに、静かに流れゆく映像の中にある、孤独感、持って行きようのない怒り、嫌悪感。この母と息子は、とにかくそっとしていてほしいだけなのに。貧しいながらも、穏やかで幸せなひとときを誰にも邪魔されたくないだけなのに。世間はそう上手くほっといてはくれない。
近所、学校、社会。相手からしてみると、ある程度の距離を保ちつつも、この親子を気にしてあげているのだけれど、実際この親子にとっては何の助けにもなっていない・・・そんなところも、非常に現代社会に潜む闇をあらわしているかのようでリアル。
採掘場やスクラップ場を、自分の秘密基地にしているセッベ。あるのは、不要なもの、捨てられてなんの役に立たないもの、そして爆音。殺風景な灰色の景色がセッベの心の内を描写しているようにも思える。
貧しさゆえに生んでしまった母の嘘。必死に息子に愛を示したかっただけなのに、その愛を守るために嘘をついてしまった母。そのことが2人を苦しめることになり、別離を招く結果に。
どうしようもなく、やるせない思いをどこに持っていけばいいのか。何か他にいい方法はなかったのか・・・。非常に胸が締めつけられました。
親は本能的に子供のために何かしてあげたい。それをしてあげられないと自分を責める。でも子供は親にそんなことは求めておらず、親にはただそばにいて欲しいだけ。親子の気持ちの食い違いが絶妙に描かれた作品。
ババク・ナジャフィ監督が手がけたこの「セッベ」、なんと監督デビュー作だそうです!作品が生まれた背景など、監督に伺ってみたかったですね。非常に興味深く、引き込まれた内容でした。
「セッベ」
http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/-sys2/-sys/-sys7/ 「ぜひ今後も続けていきたい。東京とその他の場所での開催も実現できれば」というスウェーデン映画祭。ジャンルもバラエティ豊かで、現在のいろんなスウェーデンの光と影を、時に真剣に、時にユーモラスに楽しませてくれるスウェーデン映画。来年にも期待です!
参考記事:
「シーモンとオークの木」「四年間(Q&Aあり)」 @ スウェーデン映画祭2013 本日11/30開幕!スウェーデン映画祭2013(オープニングパーティーの模様あり)
【11/30-12/6】スウェーデン映画祭2013 【祝・グランプリ受賞】ウィ・アー・ザ・ベスト! @東京国際映画祭2013 Svenska filmfestivalen 2013
スウェーデン映画祭2013会期:2013年11月30日(土)~12月6日(金)
会場:
ユーロスペースEUROSPACE(映画祭は終了しています)
公式HP:
http://www.swedenabroad.com/ja-JP/Embassies/Tokyo/4/-sys2/ トレーラー:
http://youtu.be/CE6VhaKzWYk