2018/01/22

【特集】北欧モデル最新情報――北欧5カ国大使による共同記者会見(前編)

『北欧モデル最新情報』
2017年12月13日(水)@ 日本記者クラブ

スウェーデン : マグヌス・ローバック大使
ノルウェー : トム・クナップスクーグ参事官
(アーリン・リーメスタ大使代理) 
アイスランド : ハンネス・ヘイミソン大使
フィンランド : ユッカ・シウコサーリ大使
デンマーク : フレディ・スヴェイネ大使
司会:石川洋氏(日本記者クラブ)


左からフレディ・スヴェイネ デンマーク大使、ユッカ・シウコサーリ フィンランド大使、ハンネス・ヘイミソン アイスランド大使、アーリン・リーメスタ ノルウェー大使代理 トム・クナップスクーグ参事官、マグヌス・ローバック スウェーデン大使、石川洋氏(日本記者クラブ)


昨年末の12月13日、2016年に続き、日本記者クラブにて北欧5カ国の駐日大使による共同会見が行われました。各国の大使が、それぞれ移民問題、男女平等、教育、社会保障、労働市場政策といったテーマで、メリット・デメリット、課題を含め、自国の最新事情を話してくれました。幸福度や住みやすい国ランキング上位の常連国である北欧の気になる取り組みとは?国民がより住みやすく、働きやすく、幸せに暮らせるための具体的な施策、考え方は?その裏に潜む課題は?前編では、移民問題(スウェーデン)と男女平等(ノルウェー)についてお届けします。


まずは、スウェーデン編をお届け。「移民問題―社会向けのストレステスト」と題し、マグヌス・ローバック スウェーデン駐日大使が、長きにわたり受け入れてきたスウェーデンの移民の歴史、現在の移民問題について話しました。移民を受け入れて良かった点、課題は?



●移民問題――社会向けのストレステスト(マグヌス・ローバック スウェーデン大使)

移民の受け入れは国にとってメリット?それともデメリット?

スウェーデンは長い間、移民を受け入れ、移民とともに歩んできた国。1960年頃から今日まで、欧州の中でも多くの移民の数を受け入れています。移民を受け入れたことにより、サービス業、製造系の労働力を補うことができ、国として非常に助かっている面が大きいといいます。

異なる文化や背景の人たちと上手く付き合っていくために、スウェーデンに来たら、どうやって生活していけば良いのか、どうしたら成功できるのかというヒントやアイデアといった必要な情報を伝えながら、グローバル化を進めていきました。

しかし、ピーク時の2015年には16万2000人の移民が押し寄せてくるなど、価値観の緊張が高まり、国民からの政治的な反発も出てきました。あまりの移民の多さに、住宅や教育、医療費などはいったいどうするのかという問題も浮上し、在留許可にも国境にも規制がかかることになりました。

移民問題は、今の欧州連合のトップテーマであり、最もセンシティブな課題の一つ。「移民に対して、こういった“一時的なもの”が長引くのはよくないと思う」とローバック大使。言語の教育もまた最優先課題となっています。

それでも大使は、「短期的には負担だが、長期的には良い結果が出ている。受け入れは経済的にもメリットがあり、世界が我々のところに来てくれている」と、スウェーデンでは、移民の受け入れを非常に前向きに捉えていることがわかりました。


次に、ノルウェー編をお届け。「機会均等、労働市場参入、出生率」と題し、アーリン・リーメスタ ノルウェー大使代理のトム・クナップスクーグ参事官が、ノルウェーの男女平等施策、理想郷の中に潜む課題を冷静に指摘しました。



●機会均等、労働市場参入、出生率
(アーリン・リーメスタ ノルウェー大使代理 トム・クナップスクーグ参事官)

整った育児休暇に男女平等の制度。それでも掲げるノルウェーの課題とは?

男女平等の法制度を、高い意識で整えてきたノルウェー。男女平等とは、「機会均等だけでなく、その責任を負うこと」だといいます。現在、国会内の4割以上が女性。重要閣僚も女性。また、1997年生まれ以降の女性は、1年間の兵役を担います。(3分の1が女性)。

ノルウェーの育児休暇は49週間。その間、100%受給されます。両親はそれぞれ、最低10週間は取得する必要があり、残りの日数はどちらが取ってもいいという制度。1歳から6歳の子供には、保育施設へ入れる保障もあります。整った育児休暇制度、保育施設入園保障など、すでに理想郷が作られているようですが、ノルウェーとしては、まだまだ課題があるといいます。

育児休暇を取得する比率が、父より母のほうが長い傾向にあり、そのため母となった後、フルタイムで働くのがハードだと感じる女性が多く、パートタイムを選ぶ女性が増えているという問題が出ています。

待機児童なども無く、保育施設制度が整っているにも関わらず、出生率は低下傾向にあるというノルウェー。しかし低いとはいえ、ノルウェーを含め、北欧の出生率は少なくとも日本よりは高い(約1.9人/日本は約1.4人)。「今のところ、出生率をグンと上げる奇跡的な解決策はないけれど、出生率の高い移民のおかげで補われており、出生率が急激に低下することは確実に避けられている」といいます。

また、課題としては、政界での女性の割合は増えているものの、一般企業のリーダーの女性登用はまだまだ。「人材を最大限に活用することが重要」だと話しました。


▼後編では、アイスランド、フィンランド、デンマークの駐日大使のお話をお届けします。

▼2016年の共同会見の模様はこちら!
【特集】北欧5カ国の駐日大使、北欧の旬な話題を語る!

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