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第72回を迎えるカンヌ映画祭が、5月14日から25日まで開催される。コンペ部門には、レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットらが出演するクエンティン・タランティーノ監督最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年8月30日日本公開)などの作品が注目される中、今年も北欧からの長編コンペ部門での出品はなかったものの、着々と力を伸ばしてきた監督たちの作品が随所で上映される。
まず、2011年のカンヌ映画祭で上映された『ドライヴ』で監督賞を受賞したデンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督による『TOO OLD TO DIE YOUNG - NORTH OF HOLLYWOOD, WEST OF HELL』は、アウト・オブ・コンペティション部門で上映されるが、今回のカンヌで目立つのは短編映画といえるかもしれない。
短編コーナーのCannes Court Métrage部門では、フィンランドのテーム・ニッキ監督最新作『ALL INCLUSIVE』(15分)、スウェーデンのElin ÖVERGAARD監督による『INGEN LYSSNAR(WHO TALKS)』(14分)が披露される。
テーム・ニッキ監督は、『ペット安楽死請負人』がフィンランド映画祭2017で上映され、同年の第30回東京国際映画祭の長編コンペ部門にて最優秀脚本賞を受賞。今回の最新作には、『ペット安楽死請負人』でも存在感を示した女優ハンナマイヤ・ニカンデルが出演している。
もう一人のElin ÖVERGAARD監督は、1994年、スウェーデン・ウプサラ生まれの新鋭。『INGEN LYSSNAR(WHO TALKS)』は、今年のヨーテボリ映画祭でプレミア上映され、最優秀短編映画賞を受賞。さらに、スウェーデン短編映画祭で最優秀映画賞と最優秀監督賞を受賞している話題作である。
さらに注目したいのが、多くの北欧監督作品がノミネートしている5月15日から23日まで開催中のカンヌ映画祭・批評家週間。
長編コンペ部門では、Hlynur Pálmason監督の『Hvítur, Hvítur Dagur(A White, White Day)』(アイスランド/デンマーク/スウェーデン)、短編コンペ部門では、Andrias Høgenni監督の『Ikki illa meint(No ill will)』(デンマーク/フェロー諸島)、Johanna Pyykkö監督の『The Manila Lover』(ノルウェー/フィリピン)が上映される。
日本の作品は、日本最初のカラー長編アニメ映画と言われる藪下泰司監督の『白蛇伝』が、過去の名作を紹介するカンヌ・クラシック部門で上映。また、富田克也監督の『典座-TENZO-』(今秋日本公開予定)が、批評家週間の特別招待部門で登場する。
大舞台を踏み、経験を積み上げていく北欧の若手監督らの作品が、さらに飛躍していくのを期待したい。
第72回カンヌ映画祭(5月14日~25日)
https://www.festival-cannes.com/
第58回国際批評家週間(5月15日~23日)
http://www.semainedelacritique.com/
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北欧ニュース編集員
今年もカンヌの季節ですね!今回は日本からも北欧からも長編コンペ部門でのノミネートがなく、少し残念ですが、期待大な注目監督による作品が続々と披露されるようですので、今後が楽しみですね!