5月30日(水)から6月1日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて開催された国際インテリア家具見本市「インテリア ライフスタイル」。3日間の来場者数は合計25,302名。世界29カ国・地域から810社(国内615社、海外195社)が出展し、家具やテキスタイル、雑貨、ファッションなど、多岐にわたるジャンルのプロダクトが登場。各ブースでは、今秋冬ものや来春リリースの自慢のアイテムが華やかにお披露目されていました。
毎年恒例となった、北欧のプロダクトが集う「Nordic Lifestyle」エリアや特別企画の「アトリウム」、その他のエリアでも北欧関連プロダクトを発見。前編では、インテリア ライフスタイル会場のほか、青山のショールームでの株式会社スキャンデックスの展示会会場から、ノルウェーやデンマークのブランドを紹介しました。後編では、初登場を含む、注目のフィンランドブランドをお届けします。
<SAGALAGA DESIGN(サガラガ・デザイン>
フィンランドの静寂や、森で感じる不思議な空気をデザインに
まずは、インテリア ライフスタイル初登場。デザイナー本人も初来日というフィンランドのテキスタイルブランド「SAGALAGA DESIGN」。2013年に創業、ブランドのデザインすべて担うデザイナー兼イラストレーターのSatu Enstedt(サトゥ・エンステッド)さんは初来日、初出展。「ずっと日本に来たかった。来ることができて本当に嬉しいです」と満面の笑み。
毎日使うことのできる、質の良いデザイン雑貨をつくりたいという情熱から誕生したSAGALAGA DESIGNのモチーフは、オーロラ、蝶々、フクロウ、モミの木に積もった雪など、フィンランドの自然のなかに感じる静寂や、北欧の森にあるマジカルな空気から生まれました。「自然豊かな場所で育ったので、自然はいつも身近な存在です」というSatuさんは、エスポー出身。SAGALAGA DESIGNのプロダクトはすべてフィンランドで作られています。
テキスタイルだけでなく、バーチ(白樺)のトレイ、コースターといったキッチンアイテムも展開。シンプルでどこにでもなじむカラー。日本の伝統的な市松模様などに似ていると言うと、他の人からもそういった話があったようで、「そう言われて、とても驚いています!」と目をぱちくりさせていました。
フレンドリーでやさしげな雰囲気に、一瞬日本語が通じるんじゃないかと感じてしまった不思議なオーラを放つSatuさん。「Satu」という珍しい名前は、フィンランド語で「Fairy Tale」(おとぎ話)という意味だそう。
日本公式HP:https://sagalagajapan.com/
フィンランド公式HP:https://www.sagalaga.com/
<Myssy Farmi(ミッシーファルミ)>
選ぶもの、口にするものは全て、その人の価値に繋がる
フィンランドのデザインポスターがところせましと並ぶ「カムトゥフィンランド」のブースでは今回、フィンランドのニット帽ブランド「Myssy Farmi」(ミッシーファルミ)から、ハンナさんが来日。日本代理店の㈱アイ・フェローズ代表のダールマン容子さんと「北欧のエシカルシンキング」についての対話形式のトークが行われました。
ミッシーファルミは、元プロのウィンドサーファーの夫ヤンネ氏と、ヘルシンキで15年間広告業界に携わっていた妻アンナ氏が立ち上げたブランド。4人の子供を持つ親であるヤンネ&アンナ夫妻は、素材や製造方法、デザインなど製品全てにこだわった、完全フィンランド製の最高品質のウール製品を作り上げます。
シンプルなデザインと自然を感じる美しいカラー。フィンランドのファームが発信する最高の素材と丁寧な製法で生まれるこだわりのニット帽は、農場地域の熟練の編み技術をもつ「おばあちゃん」職人たちによってひとつ一つ編まれています。全ての製品には製造を行った職人の手書きのサインが入ったミニブック付き。
「フィンランドの人は高価でも良いものにこだわる傾向にありますが、若い人は、プチプラやファストファッションに興味が行ったりしないんですか?」という話で、フィンランドではどちらかというと、若い世代の人のほうが、「その製品はどこから来ていて、どんな素材で作られているか」といったことへの意識が高いといいます。例えば、その企業が良くない過酷な労働環境を従業員に強制しているといった報道があると、SNSでその情報が拡散され、買わなくなるのだとか。若い世代のほうが、自分が身につけるもの、体に入れるものはどこから来て、どんなものなのかについての関心度が非常に高い。
「日本では、“ハイブランドを身につけたり、所持することで自分の価値が上がる”という感覚の人がいます。フィンランドにそういった人はいないのですか?」と振られると、ハンナさんは、「ブランドによります。とにかく、大小問わず、倫理的に正しいものづくりをしていて、良いことをしている会社が“ブランドバリューがある”と考えます」とのこと。
良いことしている会社の製品を持つことが自分の価値に繋がる。価値を下げる会社のものは自分自身を下げることになり、悪い会社のものを持つということは、そのブランドをサポートしていることになるため、「そういう人なんだ」と見られてしまうらしい。
こういった意識づけは、学校で習うわけではなく、ほぼすべてSNSだとハンナさん。良いことを影響しあい、共有する環境。そのため、ここ5年くらいで一気にその考えが若い人の間で広がり、良質なものに加え、デザインや見た目も良いものが増えてきたのだそうです。
Myssy Farmi(ミッシーファルミ):https://www.myssyfarmi.fi/
株式会社アイ・フェローズ:http://www.ditt-datt.com/
<Kauniste(カウニステ)>
今年7月発売だという新作の靴下を初披露!早速バイヤーたちの注目を集めていました。どの柄も足元を楽しく彩ってくれそう。ベビーやキッズ用もほしいという声もあったとか。カウニステは今年2018年で創業10周年。それを記念して、ヘルシンキのいろんなスポットが登場した柄「Helsinki」を披露。デザインを手がけたのは、イラストレーターのマリカ・マイヤラ。
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<Lapuan Kankurit(ラプアン カンクリ)>
テキスタイルブランド「ラプアン カンクリ」のブースでは、この春登場したての新作リネンのストールのほか、スペシャルパッケージやカードが付いたギフトを提案するコーナーもありました。ラプアン カンクリが日本でギフト提案するのは、初めての試みだそう。今年のクリスマスプレゼントはラプアン カンクリに決定?!
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<フィンランドパビリオンより(Hukka Design、Be&Liv)>
フィンランドパビリオンとして、今回は8社が出展。20億年以上前からあるフィンランドのユニークな天然石を使ったサウナ用品やキッチン用品を揃える「Hukka Design」では、カスタマイズされたユニークなプレートを披露。縁がワイルドにカットされた石のプレートはフランスのシェフに、丸い凸凹したプレートはシンガポールで刺身を盛りつける皿としてオーダーを受けたものだとか。隣は、イルッカ・スッパネンやアルベルト・メダといったデザイナーと協働しながら作り上げられた美しいプロダクトを提案する「Be&Liv」。照明やインテリアなど、洗練された美しいデコレーションが並んでいました。
<Mustakivi(ムスタキビ)>
「Kitchen Life」ゾーンでは、元マリメッコのデザイナーで、現在はアラビア・アート部門で陶芸作品に励む石本藤雄さんが、地元愛媛でプロデュースしたギャラリー&カフェ「Mustakivi」のブースを発見。石本さんの陶芸作品をモチーフにした羊羹、落雁、最中、お茶は、ちょっとしたお土産にぴったり。パッケージデザインは全て石本さんによるものです。
また、石本さんが幼少の頃を過ごした砥部町の名産「砥部焼」とコラボレーションしたオリジナルプロダクトもあります。角型や丸型のプレート、そばちょこにもぴったりな器も人気。石本さんの大きな陶芸作品がモチーフになった手前の花のブローチもやさしい風合いです。
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石本藤雄氏プロデュースのギャラリー「MUSTAKIVI(ムスタキビ)」が郷里・松山にオープン!
Interior Lifestyle Tokyo/インテリア ライフスタイル ※終了しました
会期:2018年 5月30日(水)~ 6月1日(金)
開催時間:10:00~18:00 (最終日は16:30まで)
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場) 西 1・2・3・4ホール + アトリウム
https://interiorlifestyle-tokyo.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja.html
▼前編は、デンマーク、ノルウェーのブランドを中心にお届け!
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