展覧会「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」が開催されているギャラリー ル・ベインへ行ってきました。
エントランスをくぐると、目の前には「藤棚」をイメージしたという設計事務所imaによる傘のインスタレーションが。普段こうしてたくさん集まることもなく、こんなに吊り下げられることもないであろう傘たち(笑)。雨の日の渋谷のスクランブル交差点を上から見たときに、こんなにカラフルな傘たちが往来していたらどんなに楽しい光景だろう・・・そんなことをぼんやりと考えながらしばし見上げていました。
先輩傘から、新人の傘まで、それは楽しげにワイワイとお喋りしているかのよう。風でゆらゆらと動く傘たちの影が奥の白い壁に映りこみ、そのおだやかな揺らぎに癒されます。
(新作「savannah」(左)と、大きなトラが描かれている「butter」(右)。ネーミングから何を想像しますか?)
ユーモア溢れるモチーフ、ぱっと目と心を奪う色彩、大胆な構図が特徴の鈴木マサルさんのデザイン。異なる質感や素材で表現されたテキスタイルは、傘・ラグ・タオルへと展開。傘展から進化した4年目の展覧会となります。活動の場がどんどん増え、多忙でひっぱりだこのマサルさんですが、この展覧会にはやはり特別な思いがあるようです。
「今年は(展覧会の規模を)もう少し控えめにしようと思ってたんだけど(笑)」という鈴木さん。「人が喜ぶ顔を見るのがやっぱり好きですし、こうして来てくれた人の反応が見たい」と話すように、次々と来場者が訪れる会場で、傘をぱっと開いては鏡で見て、並べて、比べて、どの傘にしようか迷っている姿やリアクションを実際に見ることができるのは展覧会の醍醐味。
ラプアンカンクリ、マリメッコ、ムーミントリビュートワークス、アルフレックスジャパンなど、フィンランドをはじめ、国内外のテキスタイルブランドでデザインを手がける鈴木マサル氏。昨年は、家具や空間、ファッション、地方の町づくりプロジェクトなど、様々な分野にテキスタイルデザインを提供してきました。2012年より開催してきた「鈴木マサル傘展」は、空間、生活シーンへとステージを広げ、今年は「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」として5月24日まで開催されます。
(北欧区が印象に残った新作「mandorill」のピンク。開いて初めてわかる(笑)まさかのマンドリル。パステルカラーが新鮮!)
今回は傘だけでなく、会場では、ラグはスミノエ、タオルは鈴木さんと長い付き合いだという今治の吉井タオル、スピーカーカバーのデザインを手がけたBang & Olufsen Japan、チェアの生地を手がけたアルフレックスジャパンといった企業とのコラボデザインも披露。
テキスタイルとは?という質問に、鈴木マサルさんはこう答えています。
「テキスタイルは日々、服となって人を包み、裸でお風呂に入る時もタオルとなって人を包み、夜寝る時は布団となって人を包み、まさに毎日、365日、常に人に寄り添って存在しています。こんな人との距離がほとんど無い、あまりに身近な素材ををクールに、カッコ良くデザインするのは、実際とても難しい。どちらかと言えばクールだったりモダンなカッコ良いものではなく、もう少し人の“気分”とか“気持ち”とか、そういう曖昧な部分に寄り添って作用するようなもの」
ただデザインのことだけを考えているのではなく、周りへの気遣いをいつも忘れない鈴木マサルさん。マサルさんのテキスタイルにはいつも、向こう側に一緒に働いている人の顔や姿が見えるような、とてもあったかい気持ちになります。きっとそんな魅力が人を惹きつけるのでしょう。
いろんな姿になった鈴木さんのテキスタイルが一堂に楽しめる展覧会「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」は、2015年5月24日まで。気持ちに寄り添ってくれる、お気に入りのテキスタイルを探してみては?
≪2015年新作コレクション≫
●OTTAIPNU Umbrella & Parasol COLLECTION
「憂鬱な雨の日や、日差しが強い日でも、気分があがって出かけたくなるような」がコンセプトの傘コレクション。本展では、雨傘4柄(各3色)を新たに発表。この他、2011年から2014年までに発表した雨傘、日傘、晴雨兼用傘も展示販売。(一部完売商品もあり)
「部屋で相棒が待っている」と思えるような、家に帰って部屋のドアを開けるのが楽しくなるような存在を思い描きながらデザインされた、2014年デビューのラグシリーズ。オリジナルカラーの染糸を用い、刺繍のように基布にひと針ずつ刺してゆく製法により国内で織られている。今季は、円形、楕円形の小さなサイズのラグマットと、ArtekのSTOOL60のサイズに合わせたチェアパッドが新たに仲間入り。(STOOL60は全て鈴木さんの私物だそうです)
これまで、「puchipuchi」や「suna」「ishikoro」など、ユニークな織りや質感で、さまざまな楽しい感触をもつシリーズを展開。今回は、ブランケットバス、フェイスタオル、ハンカチに、グレイッシュなカラーで描かれた動物モチーフのシリーズで登場。
2012年のインテリア ライフスタイルにて、鈴木マサルさんのオリジナルブランドOTTAIPNU(オッタイピイヌ)のマットを吉井タオルさんのブースで発見!↓
>>【特集】インテリア ライフスタイルで出逢った「Nordic Lifestyle」
●Masaru Suzuki × BeoPlay A9 Limited Edition
Bang & OlufsenのカジュアルブランドB&O PLAYのミュージックシステムBeoPlay A9のアップデートを記念し、日本限定で発売されたスピーカーカバーを展示。会場では本展のために作曲された音楽をBeoPlay A9で楽しめる。
【鈴木マサルプロフィール】
多摩美術大学染織デザイン科卒業後、粟辻博デザイン室に勤務。1995年に独立し2002年有限会社ウンピアット設立。2005年からファブリックブランドOTTAIPNUを主催。色鮮やかなハンドプリントによるファブリックを中心に、タオルやバスマット、ハンカチ、傘など、生地本来が持つ魅力にあふれたコレクションを展開。自身のブランド以外にも、2010年よりフィンランドの老舗ブランドであるマリメッコや、ラプアンカンクリ、ムーミントリビュートワークスなど多くのブランドからテキスタイルを発表。この他、国内外の様々なメーカー、ブランドのプロジェクトに参画し、ファニチャー、プロダクト、アパレル、空間など様々なシーンに向けたテキスタイルデザインを提供。2010年より、東京造形大学造形学部デザイン学科准教授。
http://masarusuzuki.com/
http://ottaipnu.com/
鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと
会期:2015年5月12日(火)~24日(日) 時間:11:00~19:00
※初日5/12(火)は15:00~ 5/18(月)は休館 入場無料
会場:ギャラリール・ベイン/ギャラリーMITATE
港区西麻布3-16-28 tel.03-3479-3842 http://www.le-bain.com/
主催:株式会社リラインス
協力:ムーンバット株式会社、株式会社スミノエ、吉井タオル株式会社、Bang & Olufsen Japan
会場構成:小林恭+マナ(設計事務所ima)
DM/ポスターデザイン:石岡良治(enamel.)
音響設計/作曲:高橋琢哉(OysterInc.)
参考記事:
2012年 【5/12-27】鈴木マサル傘展 - 持ち歩くテキスタイル -
2013年 【5/11-5/26】鈴木マサル傘展2013 - 持ち歩くテキスタイル -
2014年 【5/8-5/18】鈴木マサル傘展2014 - 持ち歩くテキスタイル - @ スパイラルガーデン
2014年 特集記事:3回目の開催となる傘展!展示会の魅力を紹介 @ 鈴木マサル傘展2014 - 持ち歩くテキスタイル -(スパイラルホール)
鈴木さんがテキスタイルに目覚めたきっかけや、テキスタイルデザイナーとしてのこだわりなど、貴重なお話が満載です!
2012年 【特集】トークイベント@鈴木マサル傘展 - 持ち歩くテキスタイル -